優秀な若者はハイリスクな資格試験にそっぽ
会計士試験の合格者を減らしてきたことを批判する解説記事。
まず、合格者の大幅増員後の急激な絞り込みについて。
「会計士も弁護士も、かつては試験に合格したら一生食うのに困らないというのが当たり前だった。それが大幅な合格者増で、苦労して資格を取っても就職すらままならない。試験をもう一度「超難関」に戻して人員を絞り込めというわけだ。要するに、合格者を減らしている背景には、既存の資格保持者が食いっぱぐれないようにしたい、という本音があるのである。」
しかし、再び風向きが変わっているのだそうです。
「「もう一度、試験制度を見直さなければいけないと思う」と会計士の増田宏一氏は言う。増田氏は会計士の余剰が問題になった当時、日本公認会計士協会の会長だった。合格者を減らす要望を金融庁に出した背景には、単なる人員抑制だけでなく、試験に受かった人に研修を受けさせる物理的なキャパシティが足らないという問題があったと振り返るが、「それでも失敗だった」と嘆く。
最近、会計士業界の幹部の口から共通して聞かれるのは「優秀な学生が会計士にならなくなった」という危機感だ。
試験を超難関にすれば、当然、現役の大学生が合格する可能性は低くなる。試験浪人することになれば、他の就職を断念して、会計士だけを目指さねばならなくなるのだ。人生設計としてはかなりのリスクを背負い込むことになる。最近の学生気質の変化もあり、そんなリスクは取れないという。かつて、会計士の量産を担うために各地の大学に設置された会計大学院も、ほとんどのところで閑古鳥が鳴いている。
さらに、ここにきて若年人口の減少が本格化している。昨年秋段階の人口推計で、65歳以上の割合が初めて25%を突破し、働く世代である生産人口も大きく減り始めている。つまり、そもそも働く人の数が減っている。少子化は止まらず、優秀な大学生はもはや「金の卵」なのだ。
その金の卵に、さらに超難関な試験を受けろと言っても酷である。これまでとは一変して、優秀な人材の囲い込みが始まっているから、ますます会計士試験を受けようという優秀な学生は少なくなる。」
「会計士業界の幹部」というのは、50~60歳代と思われますが、その人たちが会計士試験に合格したころは、毎年300人程度の合格者しかいなかったはずです。いまは減ったとはいえ1000~1500人の合格者(難関試験に合格したのですからそれなりに優秀なはず)がいるわけですから、人が足りないというのはおかしな話です。
日本全体で考えれば、少子化で、若い層の人口は限られているわけですから、会計士業界が優秀な人材を囲い込む(しかも使い捨てる)というのがいいこととは思えません。制度をいじるより先に、合格者の就職先となっている大手監査法人が、人材育成法をよく考えればいいのではないでしょうか。
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