11月8日に行われたオリンパスの記者会見の模様です。
以下、会計や監査に関係しそうな箇所を紹介します。
「「昨日夕方、当社、森取締役より報告を受けました。その中で、当社が1990年代頃から有価証券投資にかかわる損失の先送りを行っており、ジャイラス買収に際して助言会社に支払った優先株の買い戻し資金、国内新事業3社のアルティス、ニューズシェフ、ヒューマラボの買収資金について、複数のファンドを通すなどして損失計上の先送りで、投資有価証券の含み損を解消するために利用したことが判明しました。」」
「--損失隠しにあたるがいつからか、どれくらいの規模か
「先ほど説明した内容に重なるが、90年代ということは分かっている。第3者委員会に、昨日の段階ではすべての資料を提示できていない。第3者委員会の解明を受けてご報告させていただく」」
「--投資有価証券ということだが、どういう損失か、ケイマン諸島のファンドは起点になっているのか
「ファンドがいくつかありまして、すべてのファンドを調査できていない。ケイマン諸島のファンドが関係している可能性あるが、昨日、情報を第3者委員会に提示した」」
「--確認だが、一連の経緯について、粉飾決算だという認識はあるのか
「不適切な処理したことは事実でございます。この後、中間決算の発表もあるが、それに向けて、一生懸命やっているが、それ以降、どのような形になるか分からないが、そこのタイミングを見つつ、対処していくつもりでございます」」
「--飛ばしでは
「不適切な処理だったのは事実です。飛ばしだったかどうかは第三者委員会に評価して頂く次第です」」
「--損失の規模についてお答え頂きたい。100億円か500億円か1000億円レベルか
「大変申し訳ございません。これは第三者委員会に提示して、出てきた結果を報告いたします」
--昨日の森氏の自白で、当然、金額は出てくるはずだ。第三者委員会は警察のような捜査当局ではない。情報開示義務がある
「これも実は第三者委員会について、どういう風に理解すればいいか。私どもからこうしてほしい、ああしてほしいということはできない。森の昨日の内容についても、昨日の段階では集計できていなかった。従って、今日ここで不適切な数字をお知らせできないので、差し控えさせていただきます」」
「--確認だが、損失を隠していたということでいいか
「結果的には不適切な処理だが、見えていなかったということです」」
「--1990年代からということだが、20年にわたるのか、10年なのか
「昨日の段階では、過去10年までの資料しかなく、それ以上、認識していないが、過去、そうですね、もう少し前からと認識している。とくに、円高が推移する中で、日本企業全部そうだが、売り上げが伸びない、営業利益が大変厳しい中で、ある時期、ほとんどの日本企業が財テクに走った時代があった。その時からの状況だと。そのような状況の中で始まったことと認識している」」
「--3人が関係者といったが、3人が始めたことなのか、それ以前に誰かが始めて引き継いだものなのか
「引き継いだという認識です」」
「--含み損はすべて解消されたのか
「個人的にはそう思う。第三者委員会の調査対象となっているので、分かり次第、速やかに報告させていただく」」
「--先送りの理由は
「当時、損失が大きかったと思う。これを処分することで、会社に大きな影響があったと推測する」
--この3人、それ以前に損失を隠した人もそれを認識しているのか
「認識していると思う」」
「--ウッドフォード氏に関してだが、同氏が社長にならなければこの問題は表面化しなかったのか。独断専行ということだが、今から考えると正しい行動では
「報道の中でいろいろございますが、社長でありながら、9月は3日しか会社にいなかった。会議が延期され、会社として機能しなかった。ですから、社長としての資質、独断専行というのは、組織を超えてダイレクトに部下に指示したりしていたので、ウッドフォード氏の今の評価になった。必ずしもウッドフォード氏を社長にしなくても、監査の中でも分かる可能性があったと思います。たまたま早くなった」」
「--そもそも社長と総務担当しか知らなかったのだが
「委員会でも出ると思うが、経理的な数字を精度をもって監査していれば、出てきたかもしれません。そういった意味で、もう少しレベルを上げたガバナンス(企業統治)をやっていくべき。今後はこうしたことがないよう、一生懸命やっていきたい」
--複数のファンドで損失を解消したと判明した、と書いているが、文面以上に詳しいことはないのか
「私は完全には把握していません」」
「--含み損の解消規模についても全く承知していないということなのか
「明確になり次第、ご報告申し上げます」」
「--スキーム、内容は全く知らずに会見しているということでいいか
「今申し上げたが、事実としてはあるのは認識している。しかし、数字は委員会の活動に支障があるといけないので、正確でない数字を言えない。一部の数字は把握しているが、第三者委員会の活動に支障を与えてはいけないので、差し控える」」
「--菊川氏を含む3人が主導したということだが、恐らくこういう手続きは役員3人では出来ないと思う。部下を含めた会社ぐるみの行動か。監査法人が当然、四半期ごとに監査に入っているのに見抜けなかったのはなぜか
「監査法人から言われていることは知りません。それから、トップが関与しているので、会社ぐるみと言われればその通りかもしれないが、全員が認識していたわけでないという事実はある」」
「--監査法人が何故、見抜けなかったのか
「今、明言することは監査法人に影響あるので、控えさせて頂きます」」
バブルの亡霊が今頃出てくるとは思いませんでした。「財テク」というのも懐かしい言葉です。スキームの全体像、規模などが明らかになるまでは、混乱が続くことになるのでしょう。
約10年前の金融商品会計導入や連結の支配力基準導入の際に、きれいにしていれば、これほどの問題にはならなかったかもしれません。
また、監査人に責任転嫁しようとしている問答もあって、あきれました。
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