日立製作所が上場子会社5社を完全子会社化することについての関連記事。
「日立は10年3月期も2700億円の最終赤字を見込んでいる。赤字体質からの脱却を目指す川村社長は、・・・人員削減も含めた不採算事業のリストラ策を矢継ぎ早に講じてきた。
一方、「リストラだけでは再成長は図れない」(アナリスト)。そこで、今回はデジタル機器やハイブリッド車向けなどに需要拡大が見込まれるリチウムイオン電池を手がける日立マクセルや、企業向け次世代情報システム構築で成長が期待される日立情報システムズなど、東証上場の有力5社を取り込むことで成長戦略を描くことにした。
完全子会社化により、少数株主への配当などで各社の利益がグループ外に流出することはなくなり、日立の収益底上げにつながるのは確実。」
完全子会社化の会計処理を考えてみると、日本基準では、子会社株式の追加取得として、のれんや場合によっては負ののれんが計上される場合があります。しかし、日立製作所は、米国基準採用会社ですから、少数株主持分も資本の一部であり、少数株主からの子会社株式追加取得は、おそらく資本の払い戻しという処理になるのでしょう(のれんの計上はない)。
損益計算書への影響(将来ののれんの減損など)を心配することなく、完全子会社化ができることになります。
事業再編に関する一部報道について(PDFファイル)
会社は正式決定したものではないといっていますが・・・。
当サイトの関連記事(ASBJの論点整理について)
(補足7月29日)
コメントをいただいたので、もう少し日立の有報やアニュアルレポートを調べてみました。そうすると、09年3月期の決算では、少数株主持分は負債と資本の間の区分になっていましたが、09年3月期のアニュアルレポートの新規会計基準の注記で以下のような説明がなされていました。
New Accounting Standards
・・・ Also, SFAS No. 160 clarifies that a noncontrolling interest in a subsidiary should be reported as equity in the consolidated financial statements and all the transactions for changes in a parent’s ownership interest in a subsidiary that do not result in deconsolidation are equity transactions. These statements are required to be adopted simultaneously and are effective for the first annual reporting period beginning on or after December 15, 2008. ・・・
「・・・SFAS No. 160は、子会社への非支配持分は連結財務諸表において持分(equity)として報告しなければならないこと、および、連結除外にならない親会社持分の変動は資本取引であることを明確にした。これらの基準はただちに採用され、2008年12月15日以後開始する最初の報告期間から適用される。・・・」
ということで、2010年3月期から新基準適用ということになります。そのタイミングを狙ったわけではないとは思いますが・・・。
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