会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

所得税の抜本改革先送り 与党大綱決定(日経より)

所得税の抜本改革先送り 与党大綱決定

与党の2017年度税制改正大綱が8日に決まったという記事。

「大綱の目玉は、配偶者控除の見直し。女性の社会進出を促す「働き方改革」の一環だ。

年収要件を103万円から150万円に事実上拡大する。103万円は企業の配偶者手当の基準になっている場合も多く、パート主婦が就業調整して働く時間を抑える傾向にあった。対象を拡大することで新たに300万世帯が減税になり、パート主婦も働く時間を増やしやすくなる。

財源を確保するため世帯主(夫)の年収が1120万円を超える世帯への適用は制限する。これまで減税を受けてきた100万世帯は増税となる。」

所得税改革は今後数年かけて取り組むとのことです。

(150万円というのは給与収入ベースで、所得では85万円です。)

法人課税は...

「賃上げや投資も税制で後押しする。給与を2%以上増やした中小企業は、給与総額の増加分の22%を法人税額から控除できる。15年に賃上げした企業は大企業の約9割に対し、中小は約6割で賃上げが遅れていた。

研究開発費を増やした企業と減らした企業で減税に差をつける。減税対象にIT(情報技術)サービスも加え、成長分野に投資を促す。利益や内部留保を賃上げや投資に振り向ける狙いだ。」

その他に、酒税の見直しもあります。

富裕層や多国籍企業の税逃れ対策強化 「パナマ文書」で税制不信が浮き彫り(sankeibiz)

「企業の過度な節税策では「タックスヘイブン対策税制」を見直す。現在は法人税率20%未満の国・地域に事業実体のないペーパー会社があると、親会社と所得を合算して日本で課税できるが、20%以上の国は対象外で税率差を利用した節税余地が残っていた。このため、税率20%以上の国でもペーパー会社には配当や知的財産などの所得に日本の税率で課税できるようにする。多国籍企業の課税逃れをめぐっては今後も順次、法整備が進む見通しだ。」

情報BOX:2017年度与党税制改正大綱全文(ロイター)(全文というよりは抜粋です。)

コーポレート・ガバナンス関連では...

「企業と投資家の対話の充実を図るため、上場企業等が株主総会の開催日を柔軟に設定できるよう、法人税等の申告期限の延長可能月数を拡大する。また、経営陣に中長期の企業価値創造を引き出すためのインセンティブを付与することができるよう、業績に連動した報酬等の柔軟な活用を可能とする。」

仮想通貨については...

「資金決済に関する法律の改正により仮想通貨が支払の手段として位置づけられることや、諸外国における課税関係等を踏まえ、仮想通貨の取引について、消費税を非課税とする。」

検討事項の中にはこういうのもあります。

「小規模企業等に係る税制のあり方については、個人事業主、同族会社、給与所得者の課税のバランス等にも配慮しつつ、個人と法人成り企業に対する課税のバランスを図るための外国の制度も参考に、今後の個人所得課税改革において給与所得控除などの「所得の種類に応じた控除」と「人的控除」のあり方を全体として見直すことを含め、所得税・法人税を通じて総合的に検討する。」

平成29年度税制改正大綱(自民党)(約140ページあります。)

配偶者控除 150万円に拡大(公明党)(大綱へのリンク付き)
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