会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

企業会計審議会総会・第46回監査部会議事録(金融庁)

企業会計審議会総会・第46回監査部会議事録

2019年12月6日開催の企業会計審議会総会・第46回監査部会の議事録が、金融庁のサイトで公開されています。

この日の会議では、内部統制基準・同実施基準の改訂が承認されましたが、その議論はまったくなく、監査のリスク・アプローチに関する最近の状況に関する事務局からの説明(その他の国際監査基準改正の動向やそれに対応する日本の基準の改正状況の説明を含む)と意見交換で、ほとんどの時間を費やしたようです。

リスクアプローチについては...

「ISA315につきましては、今年の9月にIAASBが改訂案を承認し、2021年の12月15日以降の事業年度から適用となっています。

改訂の背景となる主な課題でございますけれども、特に、監査人によるリスクの識別及び評価に関する要求事項の適用に一貫性がなく、実際に識別されるSignificant Risk、すなわち、日本でいうところの「特別な検討を必要とするリスク」として識別されたリスクの数にばらつきがあり、結果こうしたリスクへの対応にも影響が生じているという指摘がございました。その背景として、このSignificant Riskの定義が「特別な監査上の検討が必要と監査人が判断したリスク」ということで、ある意味循環したような定義になっており、リスクそのものの本質をとらえた定義となっておらず、不明確との指摘がなされていたところでございます。」

「...このような課題への対応としまして、先ほどの会計上の見積りに関するISA540でも触れられていたとおり、重要な虚偽表示のリスクの識別及び評価の強化がより一般化された形で整理されております。監査人がどのような形でリスクを識別し、それを評価すべきかについて、より汎用性の高い原則的なアプローチという形で整理がなされております。具体的にはアサーションと呼ばれる経営者が提示する財務諸表項目において、重要な虚偽の表示の生じやすさに影響を及ぼし得る個々のリスクにつきまして、2次元の図をイメージしていただければと思うのですけれども、横軸に虚偽の表示の発生可能性、縦軸に虚偽の表示の重要性をイメージした上で、1つ目のチェックマークでは、想定されるあらゆるリスクをそれぞれ識別・評価していくのではなく、統制が何ら機能してないという前提において、そもそも虚偽の表示の発生可能性や、その重要性が合理的な可能性、英語でReasonable Possibilityと呼ばれていますけれども、こういった合理的な可能性を持たないというようなネグリジブルなものについては、そもそも監査人は識別しなくてよいという整理がなされています。これが1つ目のチェックでございます。

そして2つ目のチェックでございますけれども、発生可能性及び重要性の観点から合理的な可能性を有するとして識別された財務諸表項目レベルのリスクについては固有リスクと統制リスクをそれぞれ別個に評価してくださいということが要求されています。...固有リスクが低いところから高いところに連続的に変化していくことを「固有リスクのスペクトラム」と表現し、概念上の整理がなされているところでございます。」

「こういった概念整理を前提としまして、先ほど申し上げたSignificant Riskについても定義の見直しがなされております。」

こうした論点を、今後の監査基準改訂に反映していく方針のようです(監査基準改訂までは不要という意見もあったようですが)。
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