(書籍の宣伝記事のようですが)積水ハウスの地面師事件とその後の経営者交代を取り上げた記事。
「5月上梓の『保身 積水ハウス地面師事件の深層』には、詐欺グループの「地面師」たちに翻弄されたあげく、大規模な社内抗争に発展した積水ハウスの経営者の保身にまみれた姿が赤裸々に綴られている。著者の藤岡雅氏が、巨大企業で起きた騒動の「全深層」をレポート。」
結論部分。
「積水ハウスでは、社長が旗を振る不可解に過ぎる取引を、誰も止められなかった。
しかも、事件発覚後に調査対策委員会が社長の責任を明らかにした後で、阿部社長と彼に組する取締役たちによってクーデターが実行された。その後、阿部社長の責任が明記されている調査報告書は3年もの間、ひた隠しにされることになった。
責任を逃れようとガバナンスを否定してクーデターを起こし、人事権を掌握し会社を私物化するトップに異論を唱えずに付き従う役員たち。
積水ハウスの地面師事件とその後に続く内紛は、こんな日本のコーポレートガバナンスの破廉恥な実態を浮き彫りにした。」
こちらも同じ筆者によるもの。
《五反田地面師事件》取引相手が詐欺師だと知っていたとしか考えられない…関係者が明かす積水ハウス“不可解な人事”(文春オンライン)
「こんなアホなことが起こるなんて」地面師事件後に起きた積水ハウス“クーデター”の知られざる裏側(文春オンライン)
会社の調査委員会の調査範囲もあやしい部署を避けるなどしていたそうです。
「調査報告書を見るに、調査対策委員会が東京マンション事業部の実態まで調べを進めた様子はない。一方で、調査対策委員会の調査に関わった人物からは、次の証言が私に寄せられている。
「調査対策委員会の委員長・篠原祥哲さんは、当初から本社法務部の妨害を受けていると感じていた。事務局についたのは、阿部の腹心でもある法務部の吉本継蔵(現常務執行役員)だったからだ。篠原さんはこう言っていた。『我々の行動が経営陣に筒抜けだ』と。そこで篠原さんは、調査対策委員会のメンバーにもう1人、補助員として外部の公認会計士を任命した。資料などを隠蔽させないためだ。
一方で、篠原さんは、地面師事件で積水ハウスの誰かが汚職に手を染めたということまでは、調べる必要はないと考えていた。ヒアリングや稟議書などからうかがえる全体像から、社長の阿部に経営上の『重い責任がある』ことは、根拠がそろっていたからだ。
そこで、東京マンション事業部や海喜館に関するメールまで、調査対策委員会は厳密に精査をしていない。それを担当したのは、結局、法務部の吉本だった。よって東京マンション事業部の実態までは、解明するに至らなかった。篠原さんは、その後『まさか阿部がクーデターを起こすとは……』と、悔やんでいた」」
「末路」というと悲惨な末路を思い浮かべますが、当時の社長は、会長になり、今年からは特別顧問に就くそうですから、かなり恵まれています。会社の末路がどうなるかはよくわかりません。
積水ハウス、阿部会長が4月退任 地面師事件に区切り(3月4日)(Yahoo)
「積水ハウスは4日、2017年に55億円余りを同社がだまし取られた地面師事件当時の社長で現在会長を務める阿部俊則氏(69)が4月に退任すると発表した。事件の再発防止への取り組みに一定の区切りがついたためとしている。阿部氏は退任後に積水ハウスの特別顧問に就く。」