会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

関電の報酬補填、注意義務違反3人認定 追加提訴検討(日経より)

関電の報酬補填、注意義務違反3人認定 追加提訴検討

(1週間ほど前のニュースですが)関西電力が減額された役員報酬の一部を退任後に補填していた問題に関する調査報告書が公表されたという記事。

「関西電力が東日本大震災後に減額していた役員報酬の一部を退任後に嘱託報酬などとして補填していた問題で、関電が金品受領問題を受けて新設した「コンプライアンス委員会」(委員長・中村直人弁護士)は17日、調査報告書を公表した。」

「報告書は、嘱託報酬が役員報酬の後払いといえるか断定は避けたうえで、森氏ら3人が取締役の報酬などについての会社法の規定に違反する可能性を指摘した。これとは別に、金品受領問題で発生した追加納税分を補填した問題で、岩根茂樹前社長の注意義務違反も認定した。

関電側は対象者に「世間的に誤解を生むおそれもあるため、嘱託委嘱については本人限りでお願いする」と説明していたといい、報告書は「明らかになった場合には非難されることを強く意識していた」と述べた。

報告書などによると、同社は震災後の業績悪化に伴い、12年3月~19年6月に役員報酬を計19億4千万円カット。業績が回復した16年7月~19年10月、常務執行役員以上の退任者18人に対し、計約2億6千万円を支払った。発覚を受け、既に全額の返還を受けている。

関電は13年度と15年度の2度にわたり、電気料金の値上げを実施した。関電の社員は震災後の賃金が約5%減額され、賞与も16年夏分まで7回見送られた。」

日産ゴーン事件があれだけ騒ぎになったことを考えると、「嘱託報酬が役員報酬の後払いといえるか」は非常に重要でしょう。仮に、表面上カットされたことになっている19億4千万円の報酬全額をあとで補填するというスキームであれば、役員報酬として開示された金額がそれだけ過少だったということになります(有報の虚偽記載)。さらに、実際に2億6千万円を支払っているわけですから、支払いがなされていないゴーン事件より悪質です。

金額は、関西電力の規模からすれば、重要性がないものですが、ゴーン事件でも年間約10億円の過少計上は金額的重要性はないにもかかわらず、重要な非財務情報の虚偽記載だということで厳しく批判されています。実際、関西電力は、役員報酬をカットしているのだからといって、電気料金を値上げしたり、社員の賃金を減額したりしているわけですから、金額以上に重要な情報といえます。

ただ、この補填に関しては、善管注意義務違反であり、違法なものだという結論のようです。そうだとすると、裏金作りのための架空経費と同じように考えて、会社の費用ではなく、したがって、未払いについて債務を計上する必要はなく(違法なのだから支払ってはいけないものであるため)、また支払ってしまった場合には、費用でなく相手先への未収入金を計上する(違法な支払いの返還を要求する債権として)ということになります。支払い自体は違法だけれども、役員報酬の虚偽記載には該当しないということです。

なお、当サイトは、ゴーン事件で役員報酬過小計上とされた金額は、ゴーン氏が退任後にもらえたらいいなあという金額を仲間内で紙に書いただけであって、会社の機関で正式決定されたものではなく、したがって会社に支払い義務はなく、会社の費用にはまだなっていない、したがって、虚偽記載に当たらないのではないかという立場です。

関電の報酬補塡、隠蔽前提で画策か 元会長の指示で立案(朝日)(記事前半のみ)

「コンプラ委員会の調査では、関電が東日本大震災後に電気料金を値上げし、役員報酬をカットした後の2015年10月ごろ、森氏が秘書室に対し、役員報酬の減額分について穴埋めするよう指示。これを受けて秘書室は16年春、「役員の報酬返上にかかる対応措置の取り扱いについて」と題した社内資料を作成。補塡と分からないようにする仕組みを考えた。

資料には「現役の間は役員報酬となるため、退任後に行う」と記載。元役員を嘱託として任用した後に補塡分を支払い、形式上は現役時の報酬の穴埋めに見えないようにした。「(補塡を知る)関係者が少なく漏洩(ろうえい)リスクは少ない」としながらも、「漏洩した場合、補塡と非難される」として、発覚を強く警戒していたことも明らかになった。」

関西電力秘書室は、検察や金融庁などと違って、退任後支払いであれば役員報酬にはならないという考え方だったということになります。

役員退任後の嘱託等の報酬に関するコンプライアンス委員会の調査結果について(関西電力)
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