NTTが上場子会社のNTTドコモを完全子会社化するという記事。日経が電子版で報じたそうです。
「一般株主が持つ3割強の株式を株式公開買い付け(TOB)で取得するという。」
「完全子会社化が報じられると、ドコモの米国預託証券(ADR)は一時前週末比29%高となった。
ブルームバーグのデータによると、NTTは現在ドコモ株の66.21%を保有。残りの約34%を28日のドコモの株価終値2775円に30%のプレミアムを上乗せした金額で取得すると、買収規模は約4兆円となる。NTTの筆頭株主は財務省で3月31日時点で34.69%を保有している。」
ドコモはすでにNTTの子会社なので、一般株主からドコモ株を買い取る金額は、一種の資本の払い戻しということで、純資産からマイナスされ、のれんは計上されません(純資産の内訳は当然変わる)。したがって、4兆円投じたとしても、のれんの減損を心配する必要はありません(IFRSも日本基準も同じ)。
NTTの連結の純資産(資本)は11兆4600億円(2020年3月末)(うち非支配持分は2兆4000億円)ですから、4兆円払い戻しても、まだだいぶ残っています。しかし、自己資本比率などはかなり悪くなります。
ドコモの株価は下がり気味だったようです。
「菅義偉首相は大幅な引き下げを実現した諸外国の例を参考に官房長官時代から携帯電話料金の引き下げの早期実現を目指しており、18日には武田良太総務相に引き下げを指示した。前首相が8月に辞意を表明し、後任として菅氏が有力候補として取り沙汰されたのに合わせてドコモの株価は下げ足を強め、9月18日には約1年ぶりの安値水準を付けていた。」
ソフトバンクグループは2年前にソフトバンクを上場させましたが、NTTはドコモを完全子会社化して上場廃止にするということになり、対照的な財務戦略です。
NTT、ドコモを完全子会社化 TOB4兆円超
5Gに総力、携帯値下げへコスト削減(日経)(記事冒頭のみ)
(補足)
NTTから正式発表されました。
株式会社NTTドコモ株式等(証券コード9437)に対する公開買付けの開始及び資金の借入について(2020年9月29日)
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