銀行から提案された相続税節税策が当局から認められないという例が相次いでいるという記事。
銀行提案のスキームは...
「提案されるのは、Bさん(中小企業経営者)が持ち株会社(P社)を設立したり、既存の別会社を持ち株会社にしたりして、自身がもつ自社株(A社株)をP社へ移すというもの。そうすることで、P社株の評価額(株価)だけを下げておけば、A社株とP社株を相続する場合よりも相続税が節税されるという理屈だ。
具体的には、P社は取引銀行から借り入れをし、BさんからA社株を買い取る。国税庁通達はP社とA社を親子関係にしたり、P社の借金が増えたりすれば株式評価額は下がると規定しているため、通達を形式適用した場合のP社の株価は、A社株買い取り前よりも大幅に下がる。」
全体としてみれば、経営実態は変わらず、銀行から借り入れた資金が経営者個人の金融資産になるというだけの取引です。しかし、借入金は持ち株会社の負債にするので、金融資産の増加以上に株式評価を下げることができるという仕組みのようです(通達までは未確認ですが)。
「ところが税務訴訟を多く手がける都内の弁護士によると、こうして下落させた株価を国税当局が認めず更正処分(追徴課税)を行うケースが昨年ごろから徐々に増えているという。」
提案する銀行のメリットは...
「本来は他の株式会社を支配するために、その会社の株式を保有する「持ち株会社方式」を、節税策として提案することは、取引銀行にとっても数々のメリットが生まれる。P社に多額の融資を実行でき利息収入が入るほか、Bさんの手元に残るA社株譲渡代金を生命保険や投資信託などに振り向けさせることで、販売手数料も得られる。」
しかし、責任は経営者側の顧問税理士が負うそうです。
「銀行側は提案時、経営者に「具体的な税額計算は税理士にご確認を」と言い添えることが大半で、税務に関する最終的な責任は顧問税理士にあるとの立場だ。
銀行提案の節税策が失敗した場合、経営者にリスクを十分に説明しなかったとして、顧問税理士の責任が問われる可能性もある。」
銀行の儲けのために、税理士が危ない橋をわたるという図式でしょうか。
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