東芝の定時株主総会で、2人の社外取締役の再任が否決されたという記事。
「東芝の定時株主総会が25日、東京都内で開かれ、永山治・取締役会議長(中外製薬名誉会長)と社外取締役で監査委員の小林伸行氏の再任が否決された。株主総会で会社が提案した取締役候補が否決されるのは異例。東芝の経営立て直しを主導する永山氏が降板を余儀なくされたことで、混乱は必至の情勢となった。
東芝は、今回承認を得た9人の取締役の中から新たな議長を選任する見通しだ。永山氏は指名委員会の委員長を兼務していたため、綱川智社長最高経営責任者(CEO)の後継者選びなど、経営に大きな影響が及ぶのは必至だ。」
小林氏は公認会計士です。もしこれが、不正会計の問題か何かなら、適切に対応できたのでしょうが、専門外の事項で、大手弁護士事務所の調査を鵜呑みにせざるを得なかったということなのでしょうか。否認された2人は、不正に関与していたわけではないので、気の毒な感じもします。
東芝株主が突きつけた企業統治への不信感-永山議長の再任を否決(ブルームバーグ)
「同日の株主総会で諮った唯一の議案が取締役の選任議案。11人の取締役候補のうち、永山氏と小林伸行監査委員会委員の2人の再任が否決された。一連の問題に対する内部監査未達の責任を問われた形だ。」
「スマートカーマのアナリスト、トラビス・ランディ―氏は永山氏は不正行為を犯していないものの、「取締役会議長が監査委員会の失態に責任を負わなければならないという考えが重要であり、株主が永山氏に責任があると確認したという事実は非常に重要だ」と指摘した。」
「ガバナンス問題に詳しい牛島信弁護士は、国内のビジネス界で信用の高い永山氏の再任否決について、「日本のビジネス全体にとって相当強烈なインパクトのある事件だ」と指摘。同氏の退任を望む株主の意志が貫徹したとし、逆に「東芝はこれでついに立ち直るチャンスを得た」と話した。」
「東芝は25日夜、総会後に開いた取締役会で、綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)が暫定的に取締役会議長も兼務することを全会一致で決定したと発表した。また総会で取締役として承認されたジョージ・オルコット氏が取締役を辞任すると申し出があり、受理した。」
揺れる東芝、株主総会が取締役会議長の再任否決(BBC)
「永山氏が東芝の社外取締役として取締役会議長に就任したのは、昨年7月。海外株主への圧力があったとされる時期より、後のことだった。
永山氏は中外製薬名誉会長のほか、ソニーの社外取締役も務め、日本経済界では高い評価を受けてきた存在。ソニーも、ソニーで永山氏と共に社外取締役だった経験のあるジョン・ルース元駐日米大使も、共に永山氏の取締役会議長続投を支持すると表明していた。
ただし、東芝の海外株主エフィッシモ・キャピタル・マネージメントは、現経営陣が外部調査に抵抗を示したことについて、永山氏は責任を負うべきだと主張。「(永山氏は)候補の選定について最大の責任を追い、取締役会の行動について究極的な責任を負う」としていた。
東芝の経営側は取締役の候補者を11人指名した。25日の株主総会は、永山氏のほか、監査委員を務めてきた公認会計士、小林伸行氏の再任も否決した。」
総会前の記事ですが...
東芝問題を調査した弁護士、「一方的」との経産省批判に反論(ロイター)
「昨年7月の東芝株主総会について、株主から選任されて調査していた外部の弁護士は24日、調査報告書の内容は一方的とする経済産業省の主張に異議を唱えた。調査報告書は、東芝と経産省が一体となり海外投資家の議決権行使に不当な圧力をかけたと結論付けている。」
経産省、東芝の扱いは「当然」 持っている技術を根拠に(朝日)
「東芝と経済産業省が一体となって株主総会に介入していたと指摘されていることについて、梶山弘志経産相は15日、問題はなかったとして調査しない方針を示した。東芝は外部の弁護士による指摘を事実上受け入れており、経産省の説明責任が改めて問われる。
梶山経産相はこの日の会見で、東芝は原発や防衛関連の技術もある重要な企業だとした。安全保障に関わる技術を持つ企業の事業が停滞してはならないとして、通常ではない対応をすることがあるとした。東芝側とどのようなやり取りをしたのかは説明しなかったが、「東芝が担っている重要な事業、技術の安定的な発達をはかるため、経産省の政策として当然のことを行ったまでだ」と述べた。」
海外アクティビスト厳格に監視を、東芝の重要性を理解せず=自民・甘利氏(ロイター)
「自民党で経済安全保障の議論を主導する甘利明衆院議員は24日、海外株主に不当な圧力をかけたとされる東芝の問題に言及し、海外アクティビストは経済安保における同社の重要性を理解していないと語った。その上で、海外の「物言う株主」への監視体制を厳格化する必要性を訴えた。」
東芝がそんなに特別な存在なら、海外から巨額の出資を受けて、助けてもらう前に、ストップをかければよかったのに...。
あの八田教授まで、東芝問題に参戦しています。
「再び第三者委員会の出番だ!」東芝のガバナンス不全を問う(Yahoo)(中央公論配信)
「今回の報告書作成者は、会社の任意により設置される第三者委員会とは異なり、会社法上の「総会提出資料調査者」として株主総会で選任されており、取締役が調査を妨げた場合には、100万円以下の過料の対象となる。したがって、報告書からは、これまでの多くの第三者委員会報告書にみられたような依頼者に対する遠慮や忖度は一切排除されており、大変厳しい言葉で関係者を断罪している点に驚愕を覚える。
中でも、上記の「圧力問題」に関しては、事前に会社の監査委員会が外部弁護士事務所を使って調査し、経産省も巻き込んだ重層的な株主権行使に対しての問題行為を把握しつつも取締役会に報告もしていなかったことを挙げ、監査委員会の機能不全を指摘。」
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