会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

市場へのメッセージ(令和3年8月31日)(金融庁)

市場へのメッセージ(令和3年8月31日)
~当委員会では、活動状況や問題意識等を簡潔かつ分かりやすくまとめて「市場へのメッセージ」として配信しています~


金融庁の証券取引等監視委員会の広報資料です。

最近の虚偽記載事件や偽計事件の簡単な解説も含まれています。課徴金勧告時や告発時の無味乾燥な発表文よりは、わかりやすくなっています。

ネットワンシステムズ(虚偽記載)

いったん、架空循環取引を取り消す訂正報告書を提出していましたが...

「当社は、有価証券報告書等の訂正報告書を提出し、上記(1)の架空循環取引に係ると判断した売上及び売上原価を取り消しました。

しかし、当社の調査の結果、取り消した売上原価の中には、本架空循環取引とは関係のないA社へ発注した取引について、本架空循環取引とは関係のないB社が当社に対して役務提供等を行ったものが含まれていました。具体的には、当社の元社員が、本架空循環取引とは関係のない当社の実案件の採算を良く見せるため、当該実案件に係る当社からB社への発注金額を必要な金額よりも低く抑えるようにB社に要請しつつ、その埋め合わせとして、本架空循環取引から流出させた資金の一部を、A社を通じてB社に支払わせていました。

これらのことから、当社の元社員は、本架空循環取引を利用して実取引に係る原価の付替を行っていたと認められ、当社は、付替えられた原価について売上原価として計上すべきでしたが、上記の有価証券報告書の訂正報告書において、この付替えられた原価相当額を過大に取り消したことにより、当社の連結財務諸表において売上原価を過少に計上しました。

なお、当該原価の付替えについて、当社は、当社の元社員の供述により認識していましたが、十分な調査を実施することなく、当該資金の流出による当社の会計処理への影響については検討しませんでした。」

実在する取引について、架空循環取引を利用して、損益を操作していたということです。会社は(会計監査人も?)、雑な手続で過年度訂正を行い、恥の上塗りをしたようです。

第一商品(虚偽記載)

ある貸付金について、連帯保証や担保を解除したのに、その事実を会計監査人などから隠していました。さらに...

「当社は、当該貸付金について、会計監査人から担保権を実行して担保株式を処分した資金を返済に充当し、充当しきれない差額は回収不能として貸倒損失として処理すべきとの指摘を受けました。

これに対して当社社長は、経理本部長に損失計上を回避するための案を検討するように指示し、当社は、取引のあったB社に対して架空の広告宣伝費を水増しして支払い、B社からこれをA社に送金させ、さらにA社から当社へ当該資金を還流させることにより、当該貸付金の回収を偽装しました。」

Nuts(偽計)

TDnetにより、会員制医療施設の入会に関わる売上高があった旨の虚偽の事実を公表していました。

「本件は、犯則嫌疑者らが共謀のうえ、株価の維持上昇を図る目的及び新株予約権の行使促進等のため、適時開示制度を悪用し、虚偽の売上高を継続的に公表した事案です。

半年以上にわたり継続的に公表された虚偽の売上高は合計で5億円を超えるなど、市場の公正性に与えた影響等諸般の事情に照らすと、悪質性が認められます。」
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