日産ゴーン事件を取り上げた解説記事。企業会計に強い磯山記者が書いています。タイトルになっている「本丸」の具体的な話は出てきません。
東芝事件との比較。
「巨額の粉飾決算が表面化した東芝の場合、法人としての東芝は課徴金の支払いを求められ、監査をした新日本監査法人にも多額の課徴金を課せられた。また担当した会計士は業務停止処分を受け、法人を退職に追い込まれた。
一方、証券取引等監視委員会は東京地検特捜部に対して東芝の歴代社長の摘発を求めたが、結局、誰ひとり逮捕されずに終わっている。
今回の日産事件は流れが逆になっている。経営者トップだったゴーン容疑者は逮捕され、いきなり身柄を拘束された。有報の虚偽記載を罪に問う以上、法人としての日産や監査法人の責任は追及されるに違いない、と誰しもが思っている。だがどうも、そうした動きにはなりそうにない。」
監査法人は安心してよいそうです。
「そんな中、日本経済新聞がすかさず記事を出した。
「監査法人、日産に疑義指摘 11年ごろから複数回」という見出しで社会面に掲載された。ゴーン容疑者が使う海外の住宅などを購入していた日産のオランダ子会社「ジーア」について、監査法人が2011年以降、複数回にわたって「投資実態などに疑義がある」と指摘していた、という内容だ。
...
このタイミングでこうした記事が出てきたのは、検察当局からの「監査法人の責任を問うつもりはない」というメッセージだと見ていいのではないか。
自分たちの責任が問われるとなれば監査法人は、逮捕容疑について有報虚偽記載には当たらないという主張を展開し、否認しているゴーン容疑者の側についてしまいかねない。監査法人は指摘までしていたが、ゴーンがひねりつぶした、というストーリーにすれば、監査法人も口をつぐむ。そう考えたのかもしれない。」
「会計専門家や会社法に詳しい学者などは、ほぼ異口同音に、報酬の過少記載を理由に有報虚偽記載罪で立件し、公判を維持するのはかなり難しいと指摘する。
金額が大きい事で庶民感情に訴える事はできても、法的に有罪に持ち込むにはハードルが高いという。しかも、本気で有報虚偽記載で突き進もうとすれば、日産と監査法人の責任追及も不可欠になってしまう。
つまり、あくまで有報虚偽記載は、ゴーン容疑者の身柄を押さえるための「突破口」に過ぎない、と見るべきだろう。まだ明らかになっていない、もっと重大な不正、「本丸」が隠されているのだろう。」
さしあたり、訂正報告書がどういうものになるのかが注目されます。ゴーン氏退任後に支払う予定だったとされる金額(累計で約80億円?)について、役員報酬の記載だけでなく、監査対象である財務諸表の未払金または引当金に計上するよう訂正し、監査報告書も新たに発行することになるのかどうか(その場合は監査法人は監査ミスを認めることになる)で、監査法人が特捜部に屈服したかがわかります。
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