電機大手、東芝の子会社が税務調査で約11億円の所得隠しを指摘されたという記事。
「東芝の説明などによると、所得隠しの対象となったのは、医療機器製造・東芝メディカルシステムズ(栃木県大田原市)が製造したCT装置やX線装置などの医療機器や関連部品の在庫処理。
同社は、余剰部品などの在庫はその都度、廃棄していた。しかし、一部は通常使っていない東芝関連会社の倉庫に保管したまま、帳簿上は廃棄したと偽り、決算期末に「棚卸し資産」として計上していなかったという。」
「同社社員は「医療機器は高価なのにもかかわらず、緊急性を要するという理由から、在庫を多めに用意する必要がある。販売されるまでずっと保管せざるを得ないこともあり、負担が大きい」などと背景事情を語る。」
東芝子会社11億円所得隠し、部品在庫量を過小計上
「東芝などによると、同社は医療機関に医療機器を販売後、アフターサービスを実施。補修用の部品を在庫として倉庫で保管し、機器の故障などの申し出があった場合に使っているが、余剰と判断した部品については廃棄処分にし、帳簿上、在庫が減ったことになっていた。
しかし、一部の部品については、将来的に不足する場合を見越して実際には保管を続けており、帳簿と食い違っていたという。」
通常の在庫であれば、意図的に棚卸資産に計上しないというのは、悪質な脱税といえますが、「補修用の部品」という点が引っ掛かります。
製造用の部品と違って、(特に機器の製造中止後は)必要な都度製造したり購入したりするわけにはいかず、ある程度作りだめ、買いだめしておく必要があります。アフターサービスをしっかり行うためには欠品にならないよう多めに保有することもあるでしょう。
資金効率からいえば、補修に使う可能性が(ゼロではないが)低い部品はどんどん廃棄して、税金分だけでも取り戻すのが合理的です。今の税制は、廃棄を促進するインセンティブを与えているわけであり、資源保護、CO2削減という国策に合致しているのか非常に疑問です。
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