会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

新規上場に伴う負担の軽減に係る「規制の事後評価」を公表しました(金融庁)

規制の政策評価(RIA)

金融庁は、新規上場に伴う負担の軽減に係る「規制の事後評価」を、2020年6月10日に公表しました。

新規上場会社の内部統制監査免除について、事後評価しています。

以下、「規制の事後評価書(要旨)」より。

「事前評価時、新規・成長企業に対するリスクマネーの供給促進を図る観点から、企業規模が大きく社会・経済的影響の大きな企業を除き、新規上場後3年間に限って、内部統制報告書に対する公認会計士監査の免除を選択できるようにすることで、新規上場に伴う負担の軽減を図るとしていたところ、課題を取り巻く社会経済情勢や科学技術の変化による影響は特段生じていないと考えられる。また、想定していなかった影響も、特段発現していない。」

数値的にも効果が表れているとのことです。

「当該規制緩和以降、監査免除を選択できる新規上場会社のうち約94%の会社が監査免除を選択していることから、新規上場後3年間、内部統制報告書に対する公認会計士監査に係る費用が削減され、新規上場に伴う負担を軽減するという効果が発生している。」

「当該規制緩和により、監査免除を選択した新規上場会社の負担軽減の程度を把握するために、平成27年6月から12月に新規上場した会社のうち、内部統制監査免除を選択した52社について、有価証券報告書を基に、内部統制監査免除を選択した年(平成27年以降)の監査報酬額と、内部統制監査を開始した初年度の監査報酬額を比較した。その結果、内部統制監査免除を選択した年(平成27年以降)の監査報酬額の平均値は17,141千円、中央値は15,000千円であり、内部統制監査を開始した初年度の監査報酬額の平均値は22,547千円、中央値は20,000千円であった。また内部統制監査免除を選択した年の平均監査報酬額の合計値は、監査初年度の監査報酬額の合計値よりも約3億円少額であり、この額が規制緩和による便益と考えられる。以上のことから、監査免除を選択した企業において、新規上場に伴う負担が軽減しているものと考えられる。」

マイナスの影響は...

「当該制度に係る副次的な影響及び波及的な影響として、内部統制における開示すべき重要な不備や訂正内部統制報告書の提出が増加することが考えられる。この点、令和元年(平成31年)に提出された内部統制報告書(令和2年5月25日までに提出された訂正内部統制報告書を含む。)を基に、本規制緩和により内部統制報告書提出時に内部統制監査免除を選択した企業(以下「監査免除企業」という。)239社とそれ以外の企業(以下「監査企業」という。)3,512社について、内部統制における重要な不備があると開示した企業の割合及び訂正内部統制報告書の提出割合を分析した。その結果、内部統制における重要な不備があると開示した企業の割合については、監査免除企業は2.1%(5社)、監査企業は1.7%(59社)であった。また、令和元年(平成31年)に提出された内部統制報告書を訂正した割合については、監査免除企業は0.8%(2社)、監査企業は0.6%(20社)であった。以上のことから、内部統制監査の有無により、内部統制における重要な不備及び訂正内部統制報告書を提出する割合に有意な差異は無く、副次的な影響及び波及的な影響は特段見受けられなかった。」

有意の差異はないという結論ですが、数字だけ見ると、監査免除企業の方が悪い結果となっています。もちろん、それが監査免除の影響なのかどうかは、これだけではわからないのでしょうが...。
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