大王製紙の連結子会社数が9月末から28社減り、9社になったという記事。
「同月(2011年10月)中旬に創業家出身の前会長の巨額借り入れ問題が発覚し、創業家出身者が取締役などを辞任。経営の中心だった創業家などの持ち株比率が高い企業が子会社の要件を満たさなくなった。業績への影響は集計中だが、売上高と営業利益が大幅に減少する可能性が高そうだ。」
「大王製紙は現在、創業家からグループ会社などの株式を買い取る交渉を進めている。11年10~12月期は創業家が大王製紙の経営方針に同意する旨の合意書を取得して連結子会社数を維持する方針だったが、13日までに合意書を取得できなかったもよう。」
子会社の範囲を決めている支配力基準の趣旨からすれば、子会社側の役員が親会社の意思決定に従わなければ、親会社側で別の人物に交代させることができるような場合にはじめて支配しているといえるのだと思います(現行規定ではもっと広く認められるのかもしれませんが)。
大王製紙の場合、もともと、今回連結から外れたこれらの会社を実質的には支配しておらず、これらの会社は、単に、大王製紙とたまたま経営者(あるいは大株主)が重なっていただけなのではないかという感じもします。
日経の記事では、「売上高と営業利益が大幅に減少する可能性」といっていますが、大王製紙の第2四半期決算(2011年4~9月)をみると、純資産1100億円に対し、少数株主持分が266億円もあります。この少数株主持分もかなりの部分、消滅するのでしょう。
子会社の異動に関するお知らせ(大王製紙)(PDFファイル)
プレスリリースでは、財規の規定にそった説明がなされています。
「・・・平成24 年3 月期第1 四半期までは元会長及び元顧問が当社に在籍していたことから、創業家一族が所有するこれらの会社の議決権を、財務諸表等規則に規定する 「自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者」 及び 「自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者」 が所有する議決権であるとして、当社の連結子会社の範囲を決定しておりました。」
「・・・平成24 年3 月期第3 四半期中に元顧問が在籍しなくなったこと、創業家一族が保有する連結子会社の株式は、当社による買い取りを含む資本関係の整理に向けた交渉の最中であることを勘案した結果、平成24 年3 月期第3 四半期においては、当社元顧問及び一部親族、並びに大王商工、エリエール総業等の一部ファミリー企業は、財務諸表等規則に規定する 「自己の意思と同一の内容の議決権を行使すると認められる者」 及び 「自己の意思と同一の内容の議決権を行使することに同意している者」 とはいえないと判断いたしました。」
大王製紙、創業家からの子会社株の購入難航(愛媛新聞)
「大王製紙(四国中央市)の前会長による巨額借り入れ事件を受け、同社が進めている創業家保有の連結子会社株の買い取りをめぐり、大王製紙と創業家の交渉が難航していることが15日、前顧問の井川高雄氏が同日付で関係会社に出した文書などで分かった。 」
大王製紙、前会長離脱で4子会社連結対象外に(産経)
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