4大監査法人のトップに課題を聞いて、座談会形式でまとめた記事。
東芝の監査について、聞いていますが、あらたのトップは、あらためて、監査報告書は正しかったといっています。
「——2017年に東芝で「不表明」や「限定付き適正」という異例の監査意見が相次ぎ、金融庁で監査法人の情報開示を議論するきっかけになりました。担当はPwCあらたですが、当時の東芝の監査報告書は最善だったのでしょうか。
PwCあらた・木村浩一郎代表執行役 「それはそうだ。振り返って『監査報告書をこう書いておけば良かった』とも思わない。一方で情報発信の必要性は感じており(監査法人による説明の場として)企業の株主総会を活用すべきだ。前任の監査法人と後任の意見が合わない場合、結論をどう出すのかなど課題もいくつか残っている」
そういう最善の監査報告書を東芝に否定されたのに、関係を続けている理由も知りたいところです。
つっこみたくなるような発言もあります。
「——相次ぐ会計不祥事で監査法人はどう変わりつつありますか。
あずさ・酒井弘行理事長 「監査の責任が一段と重みを増したのは東芝問題がきっかけだ。良い意味で監査の力は強くなった。(不正などを指摘して)会社側に否定されることは昔あったかもしれないが今は全くない。企業も『勘弁してほしい』と言った瞬間でアウトだ。これまでは経営者による不正をみつけるのは監査法人の仕事ではなかったが、今は我々の責任でみつけるべきだと思っている」」
ずっと前から、経営者による不正(少なくとも大きな粉飾は)をみつけることは、監査人の仕事だったはずです。東芝事件がきっかけというのはおかしい。
「——会計や監査に関する企業の問題を減らすには何が必要ですか。
酒井氏 「例えば海外子会社の会計不祥事はどの日本企業でも起こりうる問題だと思う。そもそも日本の本社が海外子会社をグリップするのは簡単ではない。監査法人も契約上、全ての子会社をチェックするわけではないので、スコープから外れた子会社をどう見ていくのかが大事になる。ビッグデータなどを使ってグループ会社の数年分の財務指標を分析し、異常値がないかをチェックするといった取り組みが必要だ」」
いおうとしていることはわからないでもありませんが、監査人は、契約上、連結決算全体を監査対象としていて、子会社における粉飾だからといって免責されないのですから、重要性に応じて、すべての子会社を対象にチェックする必要があるのでは(実務的には現地の監査事務所の手続に依拠することになる)。「どう見ていくのかが大事」な子会社は、手続のスコープ(範囲)から外すべきでないでしょう。また、グループ会社の財務分析程度のことは、「ビッグデータ」を使わなくてもできるでしょう。
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