「株式会社東京証券取引所の決算短信・四半期決算短信の記載事項の見直しについて」(日本公認会計士協会)
2017-03-01
日本公認会計士協会は、会員宛てに、「株式会社東京証券取引所の決算短信・四半期決算短信の記載事項の見直しについて(決算短信・四半期決算短信に監査及び四半期レビューが不要であることの明確化)」を公表しました(2017年2月22日付)。
東証の決算短信見直しの内容を会員向けに紹介したうえで、以下のような要請を行っています。
「会員各位におかれましては、決算短信等については、監査等の対象外であることから会社の責任において速報値として早期に開示を行うよう促し、監査人として、会社法監査及び金融商品取引法監査について、より高品質な監査を実施するために十分な監査期間を確保した上で実施いただくようお願いします。 」
ところで、今回の文書によると協会は東証の「パブリックコメント募集に対して、作成要領等の改正により監査が不要であることを明確にすること等を意見として提出」したそうです。実際に協会のコメントをみてみると「決算短信には、明確に「監査は不要である旨」の記載を行うように変更すべきと考える」とあります。
会計士に対して、決算短信は規則上監査不要だから、会社法監査・金商法監査は決算短信の期限にこだわらず十分な時間を取って監査するように呼びかけるというのはわかりますが、投資家が利用する決算短信そのものに「監査不要」ということを明示するよう求めるというのは、どういうことなのでしょうか。
決算短信も財務情報であり、監査不要ではなく、本来は監査が必要なはずです。それがたまたまルール上監査対象外となっているだけなのですから、むしろ、監査済みの財務情報より信頼性が劣るということを、決算短信に明記して、利用者に注意喚起することを求めるべきでしょう。
会計監査の必要性を社会に訴えるべき会計士協会が、「監査不要」を強調するのは、誤解を招きます。
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