金融庁は、「公認会計士法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令・内閣府令(案)」に対するパブリックコメントの結果を、2007年12月7日付で公表しました。確定した改正内容も合わせて公表されています。
政令・内閣府令改正のうち主なものとその主な内容は以下のとおりです。詳細は金融庁のサイトをご覧下さい。
1.政令
(1)公認会計士法施行令の改正
・大会社等の範囲の明確化(資本金の額の算定時期を規定)
・有価証券報告書提出会社等のうち、一定規模に満たないものの「大会社等」からの除外
・大会社等とみなされる者(新規公開企業)のローテーション・ルール
・大規模監査法人の業務の制限(具体的には社員のローテーション・ルール)の特例(継続5会計期間-禁止5会計期間)
・有限責任監査法人の最低資本金
・登録有限責任監査法人の計算書類の作成に関する特例
・登録有限責任監査法人の供託に関する特則
・有限責任監査法人責任保険契約に関する特則
(2)金融商品取引法施行令の改正
・法令違反等事実発見への対応
2.内閣府令
(1)公認会計士法施行規則【新設】(従来の「公認会計士等に係る利害関係に関する内閣府令」と「監査法人に関する内閣府令」を廃止し新設)
・ローテーション・ルールの整備(監査関連業務を行わない期間が禁止期間未満の場合の扱い、新規公開前の算入期間、筆頭業務執行社員の定義、大規模監査法人の定義)
・公認会計士等の就職の制限等(連結子会社、親会社、兄弟会社にも拡大)
・業務管理体制の整備(業務管理体制が満たすべき要件、業務の品質の管理の定義、ほか)
・公認会計士及び監査法人の説明書類の記載事項
・外国監査法人等の届出制度の創設等
(2)公認会計士法の規定による課徴金に関する内閣府令【新設】
パブリックコメントの中には、金融商品取引法第193条の3で取り入れられた不正・違法行為発見時の対応に関するものもありました。かなり広い範囲の不正を含むのではないかというコメントに対し、金融庁は「重要な事項についての虚偽記載等が生じるような事実」、「財務書類の適正性の確保に影響を及ぼすおそれがある事実として「法令違反等事実」」を指すといっており、あくまで財務報告に関係する不正に限定されるようです。
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(コメントの概要)
「法令違反等事実」の解釈については、粉飾決算以外の食品偽装、耐震偽装、賞味期限切れ商品、個人情報の漏洩、欠陥商品の製造等の企業不祥事についても、広い意味での財務計算に影響を及ぼすために対象となるとの見解もありうること(岸田雅雄「粉飾決算の防止と公認会計士の役割」商事法務1812 号)から、その解釈につき、より明確化するための対応を施行令等にてご検討いただきたい。当該規定は過料の制裁(改正金商法第208 条の2第4号から第6号)も加えられることから、厳格に解する必要がある。
(金融庁の考え方)
金商法第193 条の3の規定は、公認会計士監査を充実・強化する観点から、被監査会社に法令違反等事実が存在する場合に、監査人が被監査会社との関係において、強固な地位に基づき適正に監査を行うことが出来るよう措置されたものと解されます。
金商法第193 条の3第1項に規定する「法令違反等事実」とは、仮に監査人や被監査会社において何らの対応も図られず、当該事実が放置された状態のまま当該財務書類が提出された場合に、重要な事項についての虚偽記載等が生じるような事実を指すものと解されます。
従って、上記のような事実に該当するかについては、被監査会社の規模・特性やその財務書類の内容などを総合的に勘案し、当該事実が財務書類の適正性の確保に影響を及ぼすおそれがある事実として「法令違反等事実」に該当するか否かの判断を、監査人としての専門的知識・経験に照らし、独立した立場において行う必要があるものと解されます。
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しかし、営利企業の活動の結果は、すべて最終的には経営成績に反映され、財務報告の対象となります。例えば、耐震偽造製品を検査に合格した製品として販売していれば、顧客が注文した製品(検査に合格している製品)と異なる製品(不合格品)を売上計上していたことになるので、不正な財務報告といえなくはありません(少数説だとは思いますが)。会計士は、財務報告の適正性を監査するのが役割ですから、財務報告に関する法令違反に限定して対応すればよいのだと思いますが、微妙な事例が出てこないとは限りません。
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