東証マザーズ上場のモックが、10株を1株に株式併合し、その後、投資ファンドを割当先とした新株予約権を発行し59億円を調達することを明らかにしたという記事。
記事では、うっかりすると新株予約権の発行そのもので59億円調達するようにも読めますが、それは間違いです。会社のプレスリリースによると、新株予約権の発行総額は400,000円(400,000千円ではありません)にすぎません。59億円というのは新株予約権が全部行使されたと仮定した場合の調達額です。しかし、プレスリリースで「今回の資金調達では、新株予約権の行使による収入を見込んでおりますが、何らかの要因により行使が行われなかった場合、再起を賭けた事業投資を行うことができなくなります」といっているように、行使されるかどうかは不確実なようです。
さらに問題なのは、新株予約権の行使価格です。
「・・・株式併合後において1株につき15,000円という有利な行使価額で発行することといたしました。仮に、2007 年9月6日終値(8,700円)を基準に算出した場合の株式併合後の理論株価を87,000 とすると、本新株予約権の行使価額は、時価に対してのディスカウント率は約83%となります。」
新株予約権の発行価格も総額で40万円ですからただみたいなものです。プレスリリースでは以下のように行っています。
「発行の諸条件、当社株式の市場価格およびボラティリティ等を前提とした一般的な価格算定モデルであるモンテカルロ・シミュレーションまたはブラックショールズ・オプション・プライシング・モデル等による算定は適切ではないと考え、割当先との間で充分な協議を重ねた結果、本新株予約権1個あたりの払込金額を100 円といたしました。」
一般に妥当と考えられている時価モデルは使わなかったと宣言しています。
常識的には考えられないようなスキームです。今後の成り行きを注目したいと思います。
第三者割当による新株予約権の発行に関するお知らせ(PDFファイル)
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