会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

銀行自己資本:バーゼル委が新規制案 普通株比率向上が柱

銀行自己資本:バーゼル委が新規制案 普通株比率向上が柱

バーゼル銀行監督委員会が、国際的に活動する銀行の自己資本比率を強化する新規制の概要を発表したという記事。

「現行規制では、国際的に活動する銀行は、総資産に対する自己資本の比率を8%以上とし、その半分以上は普通株や優先株などで構成する「中核的自己資本」とする必要がある。新規制は、「中核的自己資本」のうち、普通株と利益剰余金を「中核的自己資本の主要部分」とした上で、数値規制を設ける。」

会計に関係するのは、「狭義の中核的自己資本から繰り延べ税金資産などの除外を検討」という点でしょうか。

バーゼル銀行監督委員会による銀行セクターの強靭性を強化するための市中協議文書の公表について

Consultative proposals to strengthen the resilience of the banking sector announced by the Basel Committee

繰延税金資産について、報告書の原文では、以下のように書いています。

Deferred tax assets which rely on future profitability of the bank to be realised should be deducted from the Common Equity component of Tier 1. The amount of such assets net of deferred tax liabilities should be deducted.

Deferred tax assets which do not rely on the future profitability of the bank to be realised (eg prepayments to tax authorities) should be assigned the relevant sovereign risk weighting.

銀行の将来の収益性に実現が依拠しているような繰延税金資産は控除するといっています。(未収還付金のような収益性に依拠しないようなものは、別扱いです。)

これで、金融機関に関しては、繰延税金資産を何年分積むかで大騒ぎになるようなことはなくなるのでしょうか。

その他、引当金の積み立て強化についてもふれています。「プロシクリカリティ(景気循環増幅効果)の小さい、期待損失に基づいたよりフォワード・ルッキングな引当の導入を促進する」(金融庁仮訳)そうです。、具体的には、国際会計基準のIAS39の見直し(期待損失アプローチ)を支持するといっています。

Forward looking provisioning

35. The Committee is promoting stronger provisioning practices through three related initiatives. First, it is advocating a change in the accounting standards towards an expected loss (EL) approach. The Committee strongly supports the initiative of the IASB to move to an EL approach. The goal is to improve the decision usefulness and relevance of financial reporting for stakeholders, including prudential regulators. It has issued publicly and made available to the IASB a set of high level guiding principles that should govern the reforms to the eplacement of IAS 39.The Committee is reviewing the IASB’s Exposure Draft for an EL-based approach and will assist the IASB in developing a final standard that puts these principles into practice. The Committee will promote an EL approach that captures actual losses more transparently and is also less procyclical than the current “incurred loss”approach.

貸借対照表日現在の財政状態を表示すべきBSに、将来期待される損失を取り込んでいいのかという疑問は感じますが・・・。

当サイトの関連記事 その2

バーゼル委が銀行新規制案発表、ドバイショックなど踏まえ柔軟路線に
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