日米の監査報酬の違いを取り上げたコラム記事。
会計士協会の機関誌に掲載された論文に基づき、日米の監査報酬の格差は4倍、内部統制監査まで含めると7~8倍であるとし、その背景として、監査をめぐるリスクの高さの違い、監査時間の違いなどについてふれています。
監査時間が足りないことに関連して、会計士試験合格者を増やせばいいという話ではないといっています。
「米国と日本では、会計士試験の試験制度が大きく違うが、その背景には米国の大学レベルでの会計教育の裾野の広さ、並びにその後の専門家教育のインフラが整っていることが前提にあり、日本が米国の制度をそのまま取り入れても専門家の質を保つことは難しい。 」
「合格後の専門家教育の土壌も日本に比し間口が広い。米国の会計事務所は、大学もしくは大学院で会計学を専攻していた学生を大量採用し、新卒の会計事務所職員は入所後に試験を受験して会計士の資格を取得していく。会計事務所が専門家養成期間としての機能を発揮し、数多くの研修、統一化されたマニュアルおよび監査ツールの使用、上位の会計士による厳しい査閲などを徹底することで、新人職員を専門家に養成する風土が備わっている。上位の会計士の間でも、新人職員の養成が重要な業務であることが浸透している。 」
「また、人数の多い米国の会計士は、会計事務所で監査・税務にかかわるのみならず、企業の経理部にも多く勤務している。実際のところ、上場企業の経理部長職のほとんどの人が、大手監査法人での勤務経験を持つ会計士であり、最新の会計基準にも明るい。そのような風土ではおのずから高度な会計処理についての意見の交換も活発となる。」
こうした専門家育成のインフラを整備しないと、監査の質を高めることはできない(したがって十分な監査報酬を獲得することもできない?)という結論のようです。
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