ジャスダック上場のA・Cホールディングスを取り上げた記事。大株主が実質的に変わったのに開示されていない、その新たな大株主が関係している先から多額の資産を購入している(購入したこと自体は開示されているそうですが)といった問題があるそうです。
「・・・A・Cホールディングスをチャイナマネーが手に入れた、という情報が流れたのは今年4月頃だった。
「オーナーの河野博晶氏が、昨年から売り歩いていた。昨年末に社長が交代。そこでオーナーチェンジが行われた。以降、中国資本の資産を購入したり、香港に海外からの観光客を誘致する企業を設立したりと、中国シフトが鮮明になっている」(証券界事情通)
A・Cホールディングスの適時開示によって、社長交代、海外ファンドからの温泉付きリゾートホテルの購入、香港に東南アジア富裕層向け旅行・投資会社の創進国債投資有限公司の設立と、大きく変化している様子はうかがえるものの、どこにチャイナマネーが流れ込んだかはわからなかった。」
記事によれば、羅怡文氏、蒋暁松氏、向山徳子氏のグループに支配が移ったそうですが、A・Cホールディングスの大株主である会社を通じた支配移転だったそうです。
「羅氏は、1989年、日本に来日、中国人向け新聞の発行で成功を収め、2009年、家電量販店のラオックスを中国大手家電量販店の蘇寧電器とともに買収、軌道に乗せた。
蒋氏は、江沢民元国家主席との間に太いパイプがあることで知られる中国人実業家で、二階俊博元経産相の地元・和歌山で年金保養施設「グリーンピア南紀」を安く買収、実力を見せつけた。
しかし、A・Cホールディングスの情報開示には、羅、蒋、向山の三氏の名前が登場することはおろか、「大株主の変更」についてのIR(投資家向け広報)もない。」
「A・Cホールディングスの株を20%以上、保有し、実質的に支配しているのは港区に本社を置くTHKホールディングスである。
河野氏は、ここの株を向山氏に売却、経営から退いた。同社の商業登記簿謄本によると、昨年12月25日の段階で、河野氏系の役員はすべて退任。替わって、大阪在住の女性が、代表取締役に就任している。
この日付でA・Cホールディングスの役員が入れ替わり、河野氏系の長谷川武司氏が代表を下り、向山氏系の金井壮氏が代表取締役に就任した。」
記事の後半では、A・Cホールディングスが行ったリゾートマンション取得について取り上げています。
「背任・横領疑惑が浮上しているのは、今年2月7日、3月13日に買収をIRした温泉付きリゾートマンション「合同会社箱根山松苑」に関するものだ。
同社は、リアルエステート事業強化の一環として、箱根の強羅にある6階建ての温泉付きリゾートマンションを購入した。開示資料によれば、取得価格は株式買い取りに3億5900万円、債権取得に9億7100万円の合計13億3300万円である。
強羅の中古のリゾートマンションに、それだけの価値があるかどうかは問題だが、それ以上に指摘すべきは、箱根山松苑が、蒋・向山夫妻のグループ会社であることだ。
・・・
これは、さすがに開示すべきだろうが、2月7日付、3月13日付のIRとも、「資本関係」「人的関係」「取引関係」は、「ありません」としている。強羅に所有していた不良資産を、高値で買わせ、口をつぐんでいた、と見なされても仕方あるまい。」
リゾ-トマンション購入のプレスリリース
合同会社の債権及び社員持分の取得(子会社化)に関するお知らせ(PDFファイル)
連結子会社社員持分の追加取得による完全子会社化に関するお知らせ(PDFファイル)
ちなみに、現代ビジネスの記事の内容とは関係ありませんが、同社は過年度決算の訂正を先月公表しています。
過年度有価証券報告書等、決算短信等の訂正に関するお知らせ(PDFファイル)
「当社の持分法適用関連会社である株式会社東京衡機(東証二部)の平成26 年2 月期決算作業において、同社の連結子会社における固定資産の減損損失の認識の判定及び当該連結子会社への投融資の評価等に関して会計上の見積の誤り(誤謬)があったことが判明したことから、それらの事項について過年度に遡って会計処理を訂正し、過年度の有価証券報告書、四半期報告書および決算短信等を訂正することとなりました。それに伴い、当社の過年度の有価証券報告書、四半期報告書および決算短信等において計上されていた持分法投資損益等の計上額を修正する必要が生じましたため、当社におきましても過年度の有価証券報告書、四半期報告書および決算短信等を訂正することといたしました。」
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