会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

高市早苗氏、企業の現預金への課税を検討 法人税巡り(毎日より)

高市早苗氏、企業の現預金への課税を検討 法人税巡り

自民党の政調会長が、テレビ番組で企業の現預金への課税に言及したという記事。

「自民党の高市早苗政調会長は13日夜、BSフジの番組で、税制について「法人税に手を突っ込む予定だ。現預金に課税するかわりに、賃金を上げたらその分を免除する方法もある」と述べ、私案として現預金への課税を検討していることを明らかにした。「一般的な法人税をやるのか、現預金課税をやるのか。どっちにしても賃金が上がる状況をつくりたい」とも強調し、党税調で今後議論されるとの認識を示した。」

企業が現預金を貯め込んでいるという現状への批判は理屈があるのでしょうが、それが、すぐに現預金への課税に結びつくものなのでしょうか。

もし現預金課税が実現したら、企業はどのような行動を取るのか。

投資を行ったり、研究開発費を増やしたり、賃金を引き上げたり、買掛金や支払手形のサイトを短くしたりといった、課税の目的どおりの行動もあるかもしれませんが、それ以外に、借入金の返済に使う、株主還元に使う、株式持ち合いを復活させる、ほとんど現預金と同じリスクの金融商品を購入する、退職給付信託に拠出する、海外金融子会社に送金する、(決算日の金額で課税するとすれば)決算日の異なる子会社に送金する(その子会社の決算日前には返済させる)、などの手段で、できるだけ課税を回避しようとするでしょう(手数料などで税金以上のコストがかららないようにしなければなりませんが)。また、効果という点から見て、投資といっても、それが海外への投資増であれば、日本経済への直接的なプラスにはなりません。

すなおに、法人税率を引き上げるのがよいのでは。

現預金課税というのは、岸田首相の政策というよりは、高市氏の以前からの主張だったようです。

【わが政権構想】日本経済強靭化計画|高市早苗(HANADA)

「「内部留保」は貸借対照表では「貸方」ですが、私は、むしろ貸借対照表では「借方」の「現金・預金」に着目している。

『法人企業統計調査』の2021年1~3月期を見ると、前年同期に比べて「現金・預金」が約34兆円増え、総額235兆円を超えている。仮にこの「現金・預金」だけに1%課税しても、2兆円を超える税収になる。ただし、資本金1億円未満の企業は課税対象外にするという方法も考えらます。

企業規模別の統計は、2019年度分が最新データ。同年度の法人企業の「現金・預金」の総額は、221兆2,943億9,100万円。資本金1億円未満の企業の「現金・預金」総額122兆7,305億400万円を除くと、98兆5,638億8,700万円。ここ数年間の増額傾向を考えると、現状、概ね100兆円と推測できます。仮に1%の課税で1兆円、2%の課税で2兆円ということになる。」
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