会社法改正の要綱案がまとめられたことを取り上げた日経社説。
「見直しの柱のひとつは、上場企業および非上場の大企業に社外取締役を必ず置くよう義務付けることだ。もっとも東京証券取引所によると全上場企業の98%がすでに社外取締役を選んでおり、義務化は現状の追認に近い。
むしろ問われるのは、社外取締役が形だけでなく、期待される役目をしっかり果たせるかだ。日産自動車や東芝など企業不祥事が後を絶たない。義務化されても、経営トップに直言できないような人を選ぶのでは意味がない。」
上場企業が社外取締役を選んでいるのは、ガバナンスコードという一種の行政指導のためであり、会社法という法律で義務づけるのは、それなりに意味があるのでしょう。
「要綱案は、日産の事件で問題になった役員報酬についても透明性を高める策を盛り込んだ。報酬の概要や基本の方針を取締役会が決め、外部に開示するよう求める。個々の役員の報酬開示は見送られたが、欧米では開示されており、さらに議論を深めるべきだ。」
こちらは朝日の社説。だいたい同じようなことをいっています。
(社説)会社法改正 「外の目」生かすには(朝日)
「上場会社や、非上場でも一定規模以上の大会社に社外取締役を置くのを義務づけることが、主な柱の一つになっている。...
東京証券取引所上場企業の大部分は既に採用しており、さらに進んで今や「2人以上」が標準になっている。「義務」に踏み込んだ今回の要綱案は妥当で、むしろ遅すぎたと言うべきだ。」
「要綱案はまた、日産事件で注目された役員報酬についても、報酬の概要や基本的な考え方を取締役会で決め、株主らにより詳しく説明させるなど、透明化を図る方策を打ち出した。
日産では権限がゴーン前会長に集中し、報酬の決定過程がブラックボックス化していた。近年、主要企業で導入が進む社外取締役を中心とする報酬委員会も設けられていなかった。
東証は企業統治指針を昨年改め、この委員会の設置を明示的に求めるようになった。金融庁もこの3月期決算から、役員報酬の決定方法を有価証券報告書で開示するよう義務づけた。」
議論するのはいいのですが、日産ゴーン事件で役員報酬が問題になったのは、特捜部がゴーン氏を別件逮捕するのに都合のよい容疑だったからであり、別に日本企業の役員報酬を深く考えてのことではないように思われます。
「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱案」(平成31年1月16日決定)(法務省)
報酬のところをみてみると...
「次に掲げる株式会社の取締役会は,取締役(監査等委員である取締役を除く。以下(1)において同じ。)の報酬等(第361条第1項に規定する報酬等をいう。以下1において同じ。)の内容として定款又は株主総会の決議による同項各号に掲げる事項についての定めがある場合には,当該定めに基づく取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針として法務省令で定める事項(以下1において「報酬等の決定方針」という。)を決定しなければならないものとする。...」
「会社役員の報酬等に関する次に掲げる事項について,公開会社における事業報告による情報開示に関する規定の充実を図るものとする。
① 報酬等の決定方針に関する事項
② 報酬等についての株主総会の決議に関する事項
③ 取締役会の決議による報酬等の決定の委任に関する事項
④ 業績連動報酬等に関する事項
⑤ 職務執行の対価として株式会社が交付した株式又は新株予約権等に関する事項
⑥ 報酬等の種類ごとの総額」
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