会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

投資家3万人ぼうぜん-シンガポール政府称賛の水会社が債務整理(ブルームバーグより)

投資家3万人ぼうぜん-シンガポール政府称賛の水会社が債務整理

シンガポールの水処理・電力会社ハイフラックスの債務整理に関する記事。大きな設備投資が失敗したそうです。

「債務整理を招いた主因は、ハイフラックスの海水淡水化・発電施設「トゥアスプリング」。11億シンガポール・ドル(約900億円)をかけたこの施設は、水の確保で輸入や雨水貯蔵に頼る島国の「国家的蛇口」になると持ち上げられていた。...

だが25年間の水供給契約の下で、同施設は利益を出していない。トゥアスプリングの発電施設が16年に売電を始めると、損失は雪だるま式に膨らんだ。電力市場が供給過剰だったことが響いた。手元資金が枯渇し、負債が27億シンガポール・ドルに迫る中で、ハイフラックスは裁判所の管理下での債務整理を申請した。

政府が熱狂的にたたえていた事業だけに、多くの投資家は当局が介入し、ハイフラックスを支援すると期待していた。だが当局は「商業案件」だとして介入を拒否。PUBは今月、トゥアスプリング側に事業・財務上の過失を理由に債務不履行通知を出した。ハイフラックスは30日以内に債務を返済するか、そうでなければ政府が契約を打ち切り、同施設を接収することになる。」

英国では、水道事業の再公有化が議論されているそうです。

イギリス国民の83%が「水道の再公有化」に賛成の衝撃(現代ビジネス)

「この数十年にわたる重要な産業の民営化圧力は、程度の差はあれ世界共通の傾向で、日本も例外ではない。昨年末、水道法が改正され、今後自治体は官民連携の一モデルであるコンセッション方式を検討しなくてはいけなくなった(英国とは民営化の方法が異なる)。

英国は1980年代にサッチャー政権のもと、国民皆保険を除くほぼすべての公共サービスの資産を売却して民営化した。水道は1989年に世界でも稀な完全民営化を断行。約30年たった今、どうして英国民は水道の公的管理を求めているのだろうか。その理由を知ることで、日本の水道事業の変化についてもより深く考えることができるだろう。」

株主への巨額還元(資金提供を受けている以上ある程度は仕方がないと思われますが)、高い経営者報酬、法人税を払っておらず国庫への貢献がないこと(タックスヘイブンを使っているそうです)、不必要に債務を膨らませ消費者に利子分を負担させていることなどが問題になっているそうです。

シンガポールの事例は、民営化された水道事業で投資家が損失を被ったというもので、イギリスの事例は投資家や経営者は大いに稼いだが、消費者がつけを払っているというものということになります。普通の事業なら、民間同士の問題なので、ルールに従っていれば勝手にやってもらえばよいということなのでしょうが、水道事業ではそうも行かないのでしょう。
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