日本公認会計士協会は、平成27年版「監査提言集」を、2015年7月1日に公表しました。
協会の一般向けサイトで公開されているのは、わずか7ページの短縮版ですが、会員向けサイトでは完全版が掲載されています。
東芝の問題で注目されている工事進行基準に関しては、以下のようなごく簡単な提言が書かれています。

これでは役に立ちませんが、さすがに会員向けでは1ページにわたって要改善点や提言が書かれています。見積り過程や見積りに用いる情報の適切性を検討する、証明力の強い監査証拠を入手しうる実証手続は省略せずに実施する(「実施可能で合理的な限り」と限定されてはいますが)ということが書かれており、東芝の事例でも、そのとおりやっているか、チェックされることになるのでしょう。(新しい事案ではないので、以前の提言集でも載っていたはず)
(補足)
2年前の提言集の冊子が出てきたので、見てみました。体裁は違っていますが、やはり「見積り過程の適切性及び見積りに用いる情報の適切性の一層の検討」「証拠力の強い監査証拠の入手を検討する」といった提言が書かれています。
提言集は、協会が調査した問題監査事案に関するコメントではありますが、他の監査に役立つように抽象的に書いてあり、会員全員に冊子が郵送されてくるわけですから、当然知っていなければならない内容です。書かれていることも常識的なものです。