(「国際投資アナリスト」というあやしい肩書きの人が書いており、信頼性には欠けますが)ワイヤーカード巨額現金消失事件を一般向けに取り上げた記事。
「このスキャンダル(事件)は、現在、我々の世界が抱えている次の3つの問題点の象徴だと考える。
1. 東西ドイツ統一以降16年間のメルケル独裁、特にリーマン・ショックから続くドイツ(経済)の疲弊
2. 会計監査システムという虚構
3. ソフトバンクを含むIPOバブルの追い風を受けてきた企業が直面する苦境
である。」
このうち会計監査については...
「2の問題だが、ワイヤーカード事件の会計スキャンダルとしての最大の問題点は、架空預金(と思われる)を見抜けなかっただけではなく、銀行に問い合わせて残高を確認するという「基本中の基本」を怠っていたことである。
ピータ―・F・ドラッカーの「新入社員が1年も会計を学べば『合法的に』決算を自由に操れるようになる」という言葉はこれまでもたびたび取り上げてきた。その他にも投資の神様バフェットの師匠ベンジャミン・グレアムはその著書「証券分析」の中で、「会計の装飾・偽り」を見抜く方法をくどいほど繰り返し述べている。
したがって、私も企業の決算書はせいぜい参考程度にしか思っていないのだが、その中で「現金(および同等物)の残高」には注視している。この残高に関しては、会計事務所が実際の預金などとの照合を行うので、帳簿をいじって恣意的な数字に変えることができない(はずである)からだ。
だから、今回の事件は会計事務所E&Yのメガトン級の失態であると言える。」
「振り返れば、2001年12月に破たんしたエンロンは、2002年7月のワールドコム事件まではアメリカ史上最大の企業破綻であった。...
粉飾決算が発覚した際に、世界的会計事務所のアーサー・アンダーセンがエンロン関連の社内資料の破棄を命じていたことが発覚し、結局解体へとつながった。
E&Yも世界的会計事務所だが、同様の運命をたどるかもしれない……」
会計監査の制度自体がおかしいといっています。
「そもそも、現在の会計監査システムの仕組みそのものがとてつもなく奇妙である。AAAなどの企業格付けを得る時も概ねそうなのだが、監査(審査)を受ける方がその費用を負担する。...
E&Yの責任は重いが、そのように営業的に弱い立場に会計事務所を追い込む「会計監査制度」そのものに最も大きな責任があると思う。」
ドイツの会計事務所といえば、リクシルが買収したドイツの会社の中国子会社(ドイツで上場)の不正会計事件を思い出します。そんなにレベルが高くないのかもしれません。
日本の監査法人も、山一証券やオリンパスの粉飾事件では、海外の金融機関に飛ばした金融資産の実在性や担保提供有無を十分にチェックしていなかったわけですから、いばれないとは思いますが...。
Wirecard scandal has all the hallmarks of Enron and the carnage that followed(THE SYDNEY MORNING HERALD)
独Wirecard社の破綻にみるわが国へのインプリケーション ~ イノベーション促進と適切な監督・監査のバランスを ~(日本総研)
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