会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

【巨大企業に落ちた爆弾】新CEOに隠されていた、とてつもない事実(DOLより)

米GEの衰退を取り上げた書籍の宣伝記事です。

「多くの日本人は気づいていなかったが、2000年以降のアメリカでこの100年起こっていなかった異変が進行していた。発明王・エジソンが興した、決して沈むことがなかったアメリカの魂と言える会社の一社、ゼネラル・エレクトリック(GE)がみるみるその企業価値を失ってしまったのだ。同社が秘密主義であることもあり、その理由はビジネス界の謎であった。」

会計処理(特に原価の見積り)にも問題があったそうです(粉飾とまでは言っていませんが)。

「驚きを通り越して、考えられないような事態が進行していた。GE最大の工業分野の事業が火の車になっていたのだ。GEパワーの利益は、よく見ると、ほとんど帳簿上の数字にすぎなかった。いわゆるプロフォーマ調整〔将来の損益を勘案した会計処理〕により、発電用タービンの販売とその保守サービス契約によって利益を上げているように見えるが、サービス契約がもたらす売上げは帳簿上のもので、実際には現金はまだ入ってきていない。さらに悪いことに、発電用タービン市場の世界的な縮小のあおりで、完成品と部品の在庫が膨れ上がっていた。のちにフラナリーは「GEパワーはがけっぷちを走っていたが、ブレーキを踏んだ痕はなかった」と述べている。」

「提出された数字を見ながら、フラナリー(当時の新しいCEO)は頭がくらくらした。調べれば調べるほど、問題の根深さがわかってきた。市場がこの先どう展開しようと、GEパワーのポジションは最悪で、改善に必要なキャッシュもなかった。投資家には、パワーは手堅く利益を上げているように見えたが、そう見えたのは、将来の儲けを前借りして現在の問題を隠す、会計上のトリックにすぎなかった。

パワーは、顧客の多くに、数十年にも及ぶサービス保証を販売していた。その契約を履行するための将来のコストの推計をいじることで、目標どおりに利益を嵩上げすることができたのだ。フラナリーは思わず首を振った。GEの主要部門がこんな深い墓穴を自ら掘っていたことが信じられなかった。」

これまで報告されてきた利益は、ただちに不正とまでは言えないものの、ありったけの願望を注入したものだった。この混乱を世間の目から隠してきた会計上の工夫は、もはや持ちこたえられなくなりはじめていた。米国を象徴する企業でキャリアを積むこと30年、頂点に立ってみたら、その会社全体が奈落の底に突き落とされようとしていた。」

これは、フラナリーの前のイメルトの時代の話です。

【新CEOのプレッシャー】超高業績の約束を果たす宿命を背負った男(DOL)

「GEを取り巻く世界が、ひっくり返ってしまった。景気後退と同時多発テロに伴う不透明感が、GEの基盤である世界経済の成長を鈍らせた。さらに、エンロン・スキャンダルに伴う会計ルールの変更によって、膨大な金融資産をGEキャピタルのバランスシートに計上しなければならなくなり、簡単で確実な帳簿上の収益プールがなくなってしまった。」

「ウェルチの時代の9年にわたる二桁台の成長は、どこまでが注意深い会計処理─捏造とまでは言わないとしても─の結果だったのだろう? もし、エンロンの破綻で疑問視されはじめた会計処理をGEが行っていたとしたら、いったいGEの輝かしい成功は何だったのか?

 これは大きく、劇的な変化だった。GEは投資家からの信頼が厚く、IR活動が評価され、1990年代には投資専門誌に「株主重視」の姿勢を詳しく報じられたこともある。だが、そう評価されていた時期に、GEは他社が行っていた四半期決算を説明するためのオンライン会議も行わず、決算発表も短く、内容も大ざっぱだった。投資家は、どうやって数字を出したのかという疑問を感じても、株式のパフォーマンスには文句のつけようがなかった。」

各事業部門で利益操作をやっていたそうです。

【業績操作か?】会計トリックに依存し続けた巨大企業(DOL)

「2001年の夏、イメルトはCNBCの番組で「GEは今後ウォール街を失望させることはない」と断言した。

その自信の背景には、GEキャピタルの存在があった。会計処理で業績を調整するというのはどの会社もやることだが、GEは特に会計処理への依存度が大きかった四半期末が近づくと、経営陣は当然のように、土壇場での調整やめまぐるしい事業部間取引を行った。」

「ダマーマン(元CFO)は、GEの不透明な構造と不思議なほど堅実な利益を、傲慢とも思える自信に満ちた態度で擁護した。GEが利益を上げている理由を理解できるのはGEだけであり、投資家は黙って配当だけ受け取っていればいい、と言わんばかりだった。

「GEは複雑で多様性に富む企業であり、外部の人間が完全に理解できるとはとても思えない」と語っている。「投資家に伝えたいことは、当社には多くの事業があって、それを組み合わせることで一貫して利益を成長させられるということだ」

GEでは最初に業績目標が決められ、どうやってそれを達成するかは二の次である。その目標を達成するために必要な数字が各事業に割り振られ、方法はどうであれ、数字を達成することが厳しく求められる。」

監査人は何をやっていたのでしょう。日本と違って、高い監査報酬をもらっていたはずなのに...

(電子書籍版)

GEのフラナリーCEOが退任 業績悪化で引責(2018年)(日経)

「ウェルチ氏が力を注いだ金融事業はその後の金融危機で巨額の損失を発生させた。2001年にCEOに就いたジェフ・イメルト氏は16年の在任中に金融事業や放送事業からの撤退を進めたが、負の遺産を一掃できないままフラナリー氏に経営を委ねた。

フラナリー氏は財務の立て直しをめざし2兆円規模の事業売却計画を公表。電力・航空・ヘルスケアの3部門を柱とする事業再編を進めた。イメルト時代に買収を決めた米石油サービス会社のベイカー・ヒューズの売却や、祖業の電気照明事業からの撤退も決めた。

GEは主力の電力事業の低迷が続き、金融事業でも巨額の評価損が発生。17年10~12月期には98億ドル(約1兆円)の最終赤字を計上した。ヘルスケア事業の分離を発表した今年6月の時点ではフラナリー氏は「GEをより簡素化・強化させながら、引き続き経営とバランスシートの改善に努める」とコメントし、経営に意欲を示していた。

だが結局、フラナリー氏のめざす路線が具現化しないまま、同氏は前任者たちの負の遺産の処理に当たるだけ。リストラ頼みの経営方針は投資家の信頼を失い、株価は就任から1年あまりで半分以下に下落。17年からGEの取締役会にはアクティビスト(物言う株主)も加わり、辞任圧力が強まっていたとみられる。

今年6月には110年以上守ってきたダウ工業株30種平均の構成銘柄からも除外された。」

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