日本企業の中国の関係会社で会計不正が相次いでいるという記事。最近の事例として、大和ハウスとリズム時計を取り上げています。
この2社に限らず、中国子会社・関連会社の不正は多いようです。記事でいっているように、進出している企業数が多いということがあるとは思いますが...。
「決算期末が近づくなか、資金や在庫などを確認する過程で不正が発覚しやすくなっているようだ。中国で事業を展開する企業が多いため、会計不正なども中国での事案が目立つ。日本公認会計士協会によると、18年3月までの5年間で日本企業の海外子会社で発生した会計不正のうち41%は中国が占めている。
「日本企業は現地の人材に業務の多くを委ねているケースが多い」(西村あさひ法律事務所で上海に駐在する野村高志弁護士)という。中国景気の減速も遠因となっている可能性がある。「業績悪化で給与が目減りしたり、社内のムードが荒れたりすれば、現地の幹部や従業員による不正が生まれやすくなる」(大手監査法人の幹部)との指摘があった。」
そのほか、記事の表では、日本郵船、LIXILグ、東京衡機、神栄を取り上げています。
同じ記者が書いたと思われるもう少し詳しい記事。
他人事と笑えぬ大和ハウスの中国巨額流用事件(日経ビジネス)
「中国における合弁の実態に詳しい西村あさひ法律事務所 上海事務所代表の野村高志弁護士は「100%子会社であればコンプライアンスやガバナンスが効かせやすい。だが、合弁企業は歴史が長いところほど中国企業への遠慮や関係性の中で後回しにされる傾向がある。その分、不正が潜んでいるリスクが大きい」と指摘する。大和ハウスは、このリスクが最悪の形で顕在化した事例といえそうだ。」
「大和ハウスは「会計監査人による監査を通じて会社の運営状況を確認しておりました」と説明しているが、この点には疑問が残る。外部への送金は2015年から約5000万元(約8億2500万円)ずつ20回以上に分けて行われたという。入出金作業は出納担当者が一手に担っていたとのことだが、中国の会計監査では銀行口座と突合するため、このような原始的な手法が発覚しないとは考えにくい。少なくとも数年間にわたって会計監査が機能していなかった可能性がある。」
「突合」ではなく「照合」かもしれません。もちろん、どこの国の会計監査でもやっているはずです。また、日本の大和ハウスの監査人は、現地監査事務所でそういう手続が計画されているか、実際に実施されたかどうかを、何らかの方法で確かめているはずです。
「当初は折半出資だったが、現在は大和ハウスが83.65%、大連中盛が16.35%の株式を持つ形に変化している。大和ハウスは「増資の際に先方には資金がないと言われ、当社だけが資本金を積み増していった」と出資比率が偏っていった経緯を説明する。大和ハウスのみが資金を拠出し、経営リスクを抱え込んでいたことになる。それにもかかわらず、体制見直しを求めなかったのはなぜか。それだけ合弁先への信頼度や依存度が高かったということなのだろうが、一般的な感覚では理解し難い。」
現地監査事務所選任についても、折半出資の時はともかく、子会社化したあとは親会社がしっかりした事務所を選ぶことは可能だったと思われます。どこがやっていたのでしょう。
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