Action is my middle name ~かいなってぃーのMorrisseyブログ

かいなってぃーのMorrissey・The Smithsに関するよしなしごと。

実録・モリッシーが来た!新豊洲 Five hours with you その4

2023-12-10 14:35:23 | モリッシー来日 2023

前回の続きです。

もうライブから12 日経ちました。先週のモリッシーナイトからも1週間。

ライブでもモリッシーナイトでも、想像以上に何人もから「ブログ読んでます」「絶対やめないで」「50過ぎの男が、毎晩読んでオイオイ泣いてます」「過去記事全部読みました」「韓国人なんで、英語に翻訳して読んでます」と言ってもらって嬉しかったけど、ほんとごめんなさい、ブログは人のためならず、我が為に書いている。終わっても終わらないでザワザワしている気持ちを供養するために書いている。でも決して成仏しないエモーションだから、供養じゃないかも…?

だからいろいろ、純情愛情過剰に異常です!うちの母まで、「モリッシーのブログがGoogleの検索の下に出てくるから読んだ。よく見たらあんたのだった」と言ってきて気まずいw でも前回の2016年の来日時のブログを読んだ人から「1週間以上経っても、1カ月経っても来日ひきずったブログ書いてたよね」と言われたので、なんだフツーじゃんと安心する(フツーではない)。2016年のこういうのとか→モリッシー 来日 いろんな人の、いろんな好きな言葉たち

後半のセットリストに沿って、今回で(一応)ライブ曲解説は終わらせます!…と思ってたのに今書いたらすでに長くて終わらないこと判明。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

13. Speedway

私は、本当にこの曲が好きで好きで好きで。前奏が始まっただけでどうしようかと思いました。絶対やるってわかってたのに。絶対やっても、予想をはるかにうわまわることもわかっていました。

マイクコードをバンバン振りまわし、全身で歌う。ライブでも何回も観ましたが、年々強さマシマシになっている。モリッシーナイトで1994年のアルバム“Vauxhall and I”収録の原曲をかけましたが、リマスター盤で音は良くても、どうにもこうにも物足りない。やっぱり「今」のSpeedwayが段違いにかっこいい。

(Photo by ツネグラム・サム)

2012年、

モリッシーの病気

と題したブログで、この曲の歌詞のことを書きました。当時モリッシー来日を控え、ROでモリッシーの一問一答インタビューが掲載されていて、失礼なことにタイトルは

「モリッシー、あなたが罹っている病気とは何ですか?」

(今なら許されなさそう・・・)

「たとえば、「スティル・イル」で歌われる、あなたをさいなんでいる「病気」と、「スピードウェイ」で歌われるあなたが自分自身で受け止め、これからも

引き受けていこうと決意している「病気」は、同じ類のものなのでしょうか」

という質問に対してモリッシーは

「それは違うんだ。「スピードウェイ」で言っている病気とは、私がメディアでいつも強いられてきた壊れたポジションについて触れているわけで……どこにも居場所がなくて、ありきたりではないと思われた人はそれゆえに狂っていると判断されてしまうことがどういうものなのかということなんだ」

と言っています。それは昨今のモリッシーがインタビューで

「業界は私のような人間を特に好まないので、よくそれが不利に働くこともよくある。音楽誌は私のような人間を特に好きではない。私が人々の中にいる者だと知っているからだ。そして私が金が注入されただけの人間ではないことを知っているからだ。私には何も注入されていないと請け負えるが。だから、私のような人間をどうしたらいいのかわからないし、おかしいと思っている。考えているのは歌のことばかりだ。一日中、一晩中、声、歌、それだけを考えている。私は捕われている、身を捧げている、どう言ってくれても構わない。でもこれが、私の人生だ」

と言っていることにも通じている。年をとったから丸くなったとか、昔の青い歌はこっぱずかしくて歌えないとかなくて、より確信マシマシなのでこの歌のリアル感がヤバ過ぎるのでしょう。

バックドロップは作家で過激フェミニストのジャーメイン・グリア。

 

2018年に発売したBack On The Chain GangのEPのジャケットの写真の彼女です。

12月4日、日本直後のメルボルンのライブでモリッシーは観客に「メルボルン生まれで一番重要な女性は誰か」聞いています。観客が「カイリー!」と答えると「ジャーメイン・グリア」と答えていました。それだけ尊敬しているのでしょう。

Morrissey live in Melbourne,Moz asks who is the most important Woman born and raised in Melbourne?

メディアもふたりの類似性、親和性はよくわかっていて(笑)、ガーディアンは「これジャーメイン・グリアが言ったかモリッシーが言ったか、どっちどっちクイズ」なんてやってます。ふたりのことを「家族行事で会っておしゃべりに付き合わされたくない、気まずい親戚的存在」とかひどい(笑)。むしろ法事で会いたい!!

「誰かが人を人種差別主義者と呼ぶとき、彼らが言っていることは次のようなことだ:『うーん、こいつの言うことは実際に一理あって、私はそれにどう答えていいかわからない。だから、私があなたを偏屈扱いしてごまかしておけば、こいつの言うことがどれほど啓発的であったかなかったことにできるだろう』」

とか、どっちが言ってもおかしくないとガーディアンにまで思われていることを知ると(正解はモリッシー)、モリッシーがこの自分のテーマソング、決意表明とも言える“Speedway”にジャーメイン・グリアの写真を使う、敬意を表している意味がわかります。

ライブで、いつもは「フォエバッ!!」と歌うブレイクが、もう聴き取り不能な雄たけび、暗暗転後、バンドが一列に並び、親分と子分、荒野の決戦みたい。私は2度目の握手を死闘(自分との闘い:五十肩腕伸ばし)の上つかみ、もう一生「True to you」不可避な自分を呪…ではなく、寿いだのでした。

あと5曲あるのにいったん出かける&長すぎるから続く・・・


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実録・モリッシーが来た!新豊洲 Five hours with you その3

2023-12-08 14:25:48 | モリッシー来日 2023

前回の続きです。

もうライブから10日経ちました。いまさらライブレポートっておそっ、って普通なら思うけど、相変わらずのガンギマリ状態。。。

なのに容赦なく日常が襲ってきて、横山弁護士的に言うと「もう、ヤメテー!!」。仕事したり、息子が帰ってきて炊事に追われたり、大好きな卍力のスパイスラーメンWパクチー食べたり、家電が壊れて困ったり…人生って、モリッシーが終わっても普通に続いている(あたりまえ)。映画やドラマみたいに、11月28日(火)が大クライマックスになるわけもなく、日々はドラマチックに代わり映えもしてない。

なのに、脳は確実にいい意味での「損傷」を受けているわけで、日常の隙間に割り込んでくるんですよ!あの声が、あの顔が、あの空気が…。思い出して泣きそうになる。これは、なに??「ロス」ってやつ??いや、私たちは何も失っていないわけで、むしろ「ゲイン」?

Xを開くと、そうなってるのは自分だけではなくて安心します。「俺たちガンギマ族」がたくさんいます↓

そう。銀行のATMの列で、地下鉄に降りる階段で、バスの「豊洲駅」という行き先表示を見ただけで、なんなら「有楽町」(ほぼ関係ない)を見ただけで、いきなり揺り戻しがくる。「うわっ」て思ってまわりを見るとみんな普通の顔してる(あたりまえ)。慌ててわたしも普通の顔のふりをする…

そんな10日間でした。きっとしばらくこうだと思います。はよ、続きに行け。また写真撮影は主にツネグラム・サムさんです(また追加でもらった)!

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

7. I Wish You Lonely

レコードリリースもされておらずそんなにお馴染みではないはずの“Sure Enough, the Telephone Rings”でもお客さん大熱狂、力強く、機嫌よく歌い終わり、MC。「自分には実はプライベートライフがある。プロフェッショナルライフもある。でもどっちもほぼ同じ」とふざけてハンドタオル(ゲットした方によると、トム・フォードのものだそうです)で汗をぬぐいます。お客さんとやりとりしたり、「大阪にも広島にも行ったことある」とドヤったり、ハンドタオルを顔に載せたりおもしろいことをして、この歌を歌い始める。

ハンドタオルはしまわずに汗ふいたり振りまわして感情表現に使っていて、日本舞踊の手ぬぐいのようでした(「あれ投げるぞ、投げるぞ」と思って観てたら最後に投げた)。

カラフルなバックドロップは、20世紀初頭の詩人、音楽家、批評家であるエズラ・パウンド。最初に38分「強制視聴」させられたMVもそうですが、モリッシーのライブのバックドロップはすべて、自分を象ってきたもの。歴史。単なるデザイン性やにぎやかしで表示しているのではなくすべてに意味があります。

エズラ・パウンドはT・S・エリオットと並んで、20世紀初頭の詩におけるモダニズム運動の中心的人物のひとりで、モリッシーの憧れ中の憧れ。マン・レイ撮影(1923)のポートレート写真は、公式Tシャツにも使っていました。


かつてギリシャメディアに対するインタビューで

「エズラ・パウンドが『GQ』表紙を飾ることは決してない、それは憂うべきことだと思う」

と語っていました。だからGQではなく俺が飾る…詩人としてもファンなのでしょうが、この美しいビジュアル好きなのでしょうね。モリッシーのライブ…音楽活動…その生き方のすべてにおける、ものを選ぶ基準、センス、視点、「これじゃなきゃあり得ない」という独自の美学がずば抜けてすごいので、自分も見習いたいといつも思ってます。

私はこの歌のうまさにも感嘆しましたが、「ヘロイン!ヘロイン!ヘロイン!ヘロイン!」と腕を何度も叩いて薬キメを表すモリッシーがカッコよすぎてどうしようかと思いました。

この歌の歌詞についてこちらにも書いています。

Tombs are full of fools who gave their life upon command

Oh heroin, heroin, heroin, heroin, heroin

墓は、ヘロイン、ヘロイン、ヘロイン、ヘロイン、ヘロインのために命を捧げたバカものでいっぱい

And never coming back, never coming back

今や二度と戻らない、決して戻らない

8. How Soon Is Now?

もうこれは、スミス時代よりさらにおどろおどろしく怨念の複利運用効果みたいなものが表れていて最高です。モリッシーは「何世紀も存在してきた」とこの曲を表現していますが、懐メロでなく、本当にモリッシーとともにずっと生きてきたからこんなにかっこいいのだと思います。スミス曲でありながら、“Everyday Is Like Sunday”“First of the Gang to Die”に続き、モリッシーがライブで多く歌っているベスト3に入る曲です。

バックは刑事コロンボのピータ―・フォークの動画です。

(Photo by ツネグラム・サム)

ひずんだギターサウンドに合わせてチカチカと動くのがなんかのサブリミナル効果みたい。
モリッシーは、途中

I am still the son
Still the son and the heir of a shyness that was criminally vulgar
I am still the son and the heir of nothing in particular

と歌いました。“still”、いまだ自分が背負ってきた系譜は続き、いまだに自分は犯罪的なほど下劣極まりない内気さに囚われた息子であり後継者であること、取り立てて言うほどもない一凡人であることを凄い形相で強調しています。全然違うのに。全然違う物凄い64歳が凄く力を込めてこれを念押ししてくる。その力強い歌いっぷりは暴力的ですらあります。

I am human and I need to be loved

で観客に手を伸ばし、

Just like everybody else does

で観客の方に手を差して「お前らみんなそうだよね」と歌ってバサッと背を向ける。マイクコードを蛇使いのように振りまわし「シェッ!シェッ」と叫ぶ。共感といった生易しいものではなく、生まれついての苦痛のシャワーを全員で浴びて地獄の業火に焼かれるみたいな。なにこれ。恐ろしいライブだ(泣)。


ドラムのブレンダンが銅鑼を叩くと我に返り「あ、銅鑼だ。銅鑼。入ってよかった」と思った。

(Photo by ツネグラム・サム)

9. Girlfriend in a Coma

明るいイントロで始まり、スミス続きにお客さん大喜び。みんな大合唱です。マイクスタンドの前にたって、セルフハグしたり手振り身振りをまじえ丁寧に歌います。バックのマリリン・モンローが美し過ぎて悲しいです。あっという間に終わった。

10. Irish Blood, English Heart

歌う前に、

「私は世界のあり様を目の当たりにし、言いたいことを言う。考えたいことを考える。誰にもそれを止められない。たとえ殺されてもだ」

と声を上ずらせて強調。お客さんはみんな感激して拍手。たとえ意味がわからなくても、気迫がビンビン伝わってくる。今回のライブで一番力強いメッセージだと思いました。モリッシーは絶対やめない。歌うこと、それは彼の戦いであり、絶対負けない。その強さは我々に力を与え、その我々がまた彼を強くする。

バックドロップでアイルランド出身のオスカー・ワイルドが出てなんかもう、胸がいっぱいでした。私は中学生からモリッシーにかぶれずぎていてオスカー・ワイルドの著書も読みまくり、何度も学校の感想文にも書き、先生に「他の作家のも書けば」と言われた。名言があり過ぎていちいち感動してきて何を選べばいいかわからないですが、『ウィンダミア卿夫人の扇』のこの言葉を、この舞台のモリッシーに捧げたいと思いました。

There are moments when one has to choose between living one's own life, fully, entirely, completely
or dragging out some false, shallow, degrading existence that the world in its hypocrisy demands.

自分自身の人生を、十分に、完全に、徹底的に生きるか。
それとも偽善にまみれた世間が求めてくる、偽りの、浅はかな、堕落した人生をだらだら続けるのか。
どちらかを選ばなければならない瞬間は、何度も訪れる。

モリッシーはどの瞬間も、選んでいる。十分に、完全に、徹底的に生きる人生を、選んでいる。だからこんなに物凄い力で歌っていると思いました。もちろん歌がうまいし歌っているんだけど、観客ひとりひとりに楔を打って教戒するみたいにステージの上を行き来していた。

そしてオスカー・ワイルドに向かって

「オスカァー!オスカァー!オスカァー!オスカァアア!」

11. Let Me Kiss You

バックドロップには、フランスのモデルであり女優のキャプシーヌ。モリッシーの好きなジャン・コクトーの映画(双頭の鷲)にも端役で出ていたそう。冷淡で謎めいていて、トランス疑惑もあったり、業界では異端的存在だったようで、モリッシーの琴線に触れる存在なのかもしれません。

Close your eyes
And think of someone
You physically admire

のところで袖をいじってめくったりしていたので「脱ぐぞ、脱ぐぞ」と身構えましたが脱ぎませんでしたw

ツイッターにモリッシーのピースマーク写真があがっていましたが

I've heard that you'll try anything TWICE

のところで撮ったものですね。すばらしい瞬間の写真です。

最後、

But then you open your eyes
And you see someone
That you physically despise(軽蔑している)

のところで自分の襟元に触れて開けたのでまたもた「脱ぐぞ、脱ぐぞ」と身構えましたが脱ぎませんでしたw

12. Half a Person

バックドロップには、ニューヨーク・ドールズ。

(Photo by ツネグラム・サム)

この歌に出てくるのは“Sixteen, clumsy and shy”。「不器用で内気な16歳」。ニューヨーク・ドールズはモリッシーにとって、この「不器用で内気な16歳」の輝ける象徴ではないかと。

モリッシーが彼らに出会ったのは1973年、14歳だったので実際には16歳よりもう少し早かった。不器用で内気で学校や大人、マンチェスターの風土に抑圧されていた少年は、ニューヨーク・ドールズによって救われ、解放されます。まさに“Half a Person”=半人前の長い長いルーツの根元にあるのがこのバンドです。モリッシーが彼らとの出会いによって様々な挑戦を始めた様は『モリッシー自伝』にも出てきます。薄暗く陰鬱なマンチェスターの描写にうんざりした後、突然差す光のような存在。モリッシーはその驚きをこう書いています。

「彼らと比較すると、突然他の人はすべて、出張セールスマンに見えてきた。ドールズは社交的なグループ。重大な楽しみで、機知に富み、完璧に無謀。礼儀正しさや穢れなさの反対の位置にいたが、実際には、目に見える踏み外してはいけないラインなどなかったのだ」

そしてドールズがTV番組で演奏した翌日、モリッシーは彼らのシングルレコードを買いにレコード屋で。EPを50ペンスで購入して得意気です。

「『ほら』、太った店員が、別の店員に言った。

『誰かがこれを買いにくるって言っただろ?』

ついに私はその誰かになったのだ!このシングルは45枚限定。曲の途中で急に音が途切れて終わるアレンジがされている。それ以来、同じバージョンのレコードを見つけたことがない」

学校にもドールズを持っていくのが他の子と違うところw

「気取った私は、ドールズのレコードジャケットを学校に持って行った。美術の提出物としてその複写を制作し、しみだらけのマンチェスター教育委員会に提出しようと思ったのだ~ある日、机の上にニューヨーク・ドールズのアルバムジャケットを置いておいた。お高くとまっているパワー先生がそれを見つけ、クラス全体に見えるように高く掲げた。

『これを見なさい!』彼女は全員に言った。『これを見なさい!』みんなそれを見た。

「これ! これは病気です。彼らは男なのに、他の男を求めてセクシーなかっこうをしているんです」

そして彼女はひどくショックを受けて、教室を出て行ってしまった。生徒からの助けを求めていたが、誰も後を追わなかった。退屈さをまぎらわすための荒々しい鞭打ちの罰を期待したが、誰も来なかった~何かが自分を、まわりに座っている空っぽで間抜けな頭たちと分離してくれたことを、とても嬉しく思っていた」

良くも悪くも「他と違う自分」の線引きをクリアにしてくれて、今のうしろにずっと続く、自分が敷いてきたレールの上に立たせてくれた感謝で、“Half a Person”でニューヨーク・ドールズのバックドロップを出すのだと思います。

そして

Call me morbid, call me pale
I've spent six years on your trail
Six long years
On your trail

と合唱している私たちにとっては、モリッシーこそが、「他と違う自分」の線引きをクリアにしてくれた存在。誰もが「不器用で内気な16歳」だった。そして今はそれなりに年を経ているけど、本当は自分にも人生にも確信なんて持てない。なんか違う。なんか「ふつう」と違う。「大人」になったけど、ずっと人間として半分くらいの感じ。。。モリッシーの、そしてそれぞれのThe story of my lifeを思い出させられて、歌いながら泣くんだと思います。。。

、、、って私だけ??

長すぎるし、ちょいちょい思い出して泣くし、3分の2終わったので、続く。いよいよクライマックス。


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実録・モリッシーが来た!新豊洲 Five hours with you その2

2023-12-04 18:03:14 | モリッシー来日 2023

前回のブログでいきなり結論を書くスタイルだったので、満たされてしまっていました。

12月2日(土)のモリッシーナイトで「ブログ、来日前から後まで全部読みました!ブログの続きはいつですか」と言われて「え~、まだ書くのかな、わたし」と思ったけど、そうだ、前回「その1」にしてしまっていた。そしたら「その2」とかないとおかしいですよね。

そうそう、最近あまりにもたくさんの方にブログを読んでいただいていて、どうもありがとうございます。「ブログ村」にロックブログランキングがあるんですが、音楽ブログって老舗鉄板ブログが多々あってなかなかTOP10入りなんてできないんです。しかもこんな単独アーティストについて書いているブログなんて亜流も亜流。それが初めて6位になりました。自分のために書いているんですけど、「参考になった!」「励まされた!」「エモい!」なんて言われると嬉しいです。モリッシーは続くし、ブログも続くのでよろしくお願いします。

書きたいことは山ほどあるけど、いまだ夢から覚めない感じで、何から書いたらいいか…と思っていたら、フォトグラファーでもあるツネグラム・サム氏が山のように写真を送ってくれました。御礼を言うたび「まだ氷山の一角です!」とおっしゃる、ほんとに写真の山!お優しいサム氏は「なんかあれば自由に使ってください」とのことなので、その素晴らしい写真をご披露しつつ、全曲解説でライブを振り返りたいと思います。1曲目以外は、ツネ君撮影のお写真(TOPも)です!

前回も書いた通り、セトリはこんな感じ。

We Hate It When Our Friends Become Successful
Suedehead
Alma Matters
Our Frank
Stop Me If You Think You've Heard This One Before
Sure Enough, the Telephone Rings
I Wish You Lonely
How Soon Is Now?
Girlfriend in a Coma
Irish Blood, English Heart
Let Me Kiss You
Half a Person
Speedway
The Loop
Please, Please, Please Let Me Get What I Want
Everyday Is Like Sunday
Jack the Ripper
Sweet and Tender Hooligan

全18曲、1曲目からだーっといきます。結局1曲ずついくんかーい。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1. We Hate It When Our Friends Become Successful

「コンニチワ!!ユーアーザワンフォーミ―…トウキョウ!!」


と叫んで歌い出すとマイクスタンドゆらしながらマイクコード振りまわす。もうすでに1曲目から人が後ろから左右から押してきて大変。まわりは全員モリッシーと一緒に「あはははあははは」と叫んでいる。元気に1曲目から「友だちが成功したらイヤな気になるよね!!」と3000人全員、とまではいかなくても1000人はそんなネガティブなことを絶叫している凄い空間です。モリッシーの声が本当に、のびやかで美しくてしょっぱなから「これは大変なライブが始まった!」と思いました。

バックドロップには「WHAT WOULD YOU DO IF YOUT AFRAIDT AFRAID?」の文字。拙著『お騒がせモリッシーの人生講座』216ページでも紹介した、元フェイスブックのCOO、シェリル・サンドバーグが著書『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』の中で言っていた有名な言葉です。「もし怖くなんてなかったら、何をする?」という問いかけ。

ここで注目すべきは、「仮定法過去」であること。「実現することが難しい条件」を表しています。ここでは「怖くなんてない」ことが実現が難しい条件です。我々はいつも怖い。試みは、いつもうまくいくとは限らない。失敗、否定、恥辱。あらゆる結果が待ち受ける。それでも怖くなかったら、我々は何をするでしょう?心の中にある「何か恐れる気持ち」を取り除いたら、何をしようと思うか?「そしたら私はモリッシーを観る!あ、今観てた!!」と思って、一瞬でパワーが漲りました。モリッシーは「ララララーララララー」と心から言って「アリガトウ」と言って深々とお辞儀をして終わりました。「ハロウハロウハロウ」と大層ご機嫌なのがわかります。

2. Suedehead

そして仰々しい前奏に続き、「ホワイドゥーユーカムヒア」と歌い始めて「ちょっとちょっと!それはあんただよ!!」と心から思いましたが嬉し過ぎてすでにどうでもいいです。今ここの、目の前にあるものしか信じたくない。理由も理屈もいらない。バックドロップはイギリスのシンガーソングライターで俳優のアンソニー・ニューリーに変わりました。お客さんもみんな「ほわーーあああああーいぃぃ」と歌ってます。そして私は見た。手をズボンですりすり拭いているのを。これはモリッシーが「さて、握手をしよっか」と、手汗を吹いてスタンバる合図なのです。しかも、目の前にいる。「あーーーーーいむそーーーそーりーーー」のところで、ゴム人間ほど手を伸ばしました。幸いモリッシーが右手を拭いていたので、こちらも五十肩じゃない方の右手を伸ばせた。がっちりと握手をしてくれて、その手はさらさらだった。まだ2曲目なのに、私はこの世の中でもとてつもなく嬉しいことベスト1くらいのことをしてしまい、顔がすべて溶けて落っこちるかと覆った。その後モリッシーがうなり声みたいなのあげてコードを振り回しているのを涙目で見ていました。「グッレイグッレイ」と一緒に歌いながら「これは臨死体験か?」と思いました。グッレイグッレイという声は涅槃から響いているのかと思うくらい美しかったです。

曲間でも「モリッシー!!」と言われるとサンキューとお辞儀。とにかくお辞儀。

3. Alma Matters

バックドロップは、作風はパーソナルで告白的、壮絶な人生を送り自ら命を絶った詩人のアン・セクストンに。「so, the choice I have made」と、この歌の歌詞が書いてあるので泣きそうです。「自己責任」という言葉は好きではないけれど、私たちが選んできたchoiceはもう、私たちが選んできた道で、もう進むしかない。モリッシーを好きというのもchoice。この歌を聴くたび、人生にはいろんなことがあるけど、我が選択に一点たりとも後悔ナシ!!と励まされるのです。たまには後悔もクヨクヨもあるけど。でも、一回浄化してくれるのがこのAlma Mattersではないかと。

終わった後Xで、モリッシーの本を2冊一緒に作った編集者のまるおさんがこんなことを言っていて、またこれを歌うモリッシーを思い出して泣きました。

「私の人生はあなたには間違っているかもしれないけど、私はこれでいいと信じている」Alma Mattersの歌詞が好きすぎる。かなりよいように意訳して心の支えにしている。

モリッシーは今回、

It's my life to ruin
My own way

を、

It's my life to DESTROY
My own way

と力強く歌っていました。これが我が人生、己のやり方でぶち壊す。その部分の美しさたるや、まさに破壊の美学。“ruin”は、意味的には、「破滅させる」「崩壊させる」「荒廃させる」「台無しにする」など広い意味での「破壊」を意味しますが、そのものの良いところや望ましいところを損なうこと、つまり意義を壊すことであり、ワンチャン形としては残っている「破壊」です。ピストルズでもおなじみ“destroy”は、修理不能な程度まで壊すこと、つまり完膚なきまでに文字通り「破壊する」「台無しにする」ということ。ぶっこわし加減が物理的に強いように感じます。モリッシーの歌詞変と歌い方にはその破壊力を感じました。「おーーーーいえすっ」の確信の勢いもすごかった。本物の「いえすっ」です。徹底的肯定。

アルマ・マターズに関しては、過去に翻訳しこちらでも書いています。

4. Our Frank

「もちろんもちろん、我々はここに来れてうれしい。いつもいつもいつもここにいれてうれしい。あなたの支えと時間に感謝します」という最モリ等級の御礼の後、Our Frankが始まりました。バック・ドロップは「Frank」にちなんでフランケン・シュタイン。

“Give me a cigarette”と歌うところで観客からタバコが2、3本投げ入れられるのはお約束通り。モリッシーがすかさずタバコを拾い、浅草六区の場外馬券場のおじさんのように耳に挟むまでの流れ、何度もリハーサルしたかのようなスムーズさでした。両耳にタバコ挟みは浅草六区を越えていました!

1991年の32歳のモリッシーが歌うよりずっと良いのはなんなんでしょうね。20歳の私は当時これを聴いて「意味のわかんない歌だな」と思いました。64歳のモリッシーが

Won't somebody stop me
From thinking all the time
About everything
So deeply
So bleakly

そしてsomebody! somebody! somebody! anybody! anybody! anybody! anybody! stop me! stop me!と繰り返し錯乱ぶりにこちらも頭がおかしくなりそうになり、毎回軽くトリップできます。

5. Stop Me If You Think You've Heard This One Before

ここで東京で行ったレコード店話。ベストはディスクユニオンだそう。ユニオンは何店に行ったのかな?と思っていたら、本日某音楽情報通さん(T島さん)インスタによると、一部の目撃情報通りライブ前日の午後にボディガードや通訳を引き連れ、新宿のユニオンレコード、ロックレコードストア、本館インディ・オルタナ(6階まで、あのエレベーターに乗ったの・・・?)などをまわったそうです。しっかりザ・スミスコーナーを確認し、、、ってなんかの監査かw そしてレコードも購入したそうです。T島さんによると、「ユニオンレコードの『The Smiths / Morrissey』コーナーのうしろにジョニー・マーのレコードが移動してあったが、まさかモリッシーの仕業ではないですよね」とのことwww それは多分、事前に知らされた?お店側の忖度ではないかと。

この日最初のスミス曲でお客さんぶちあがり(すでにぶちあがってるけど)。バックドロップはこの曲の時のおなじみ、キッチンでコーヒーを作るスティーブ・マックイーンに変わります。

間奏のギターがスミスより抒情的なアレンジというか、メロウです。自転車で街中を疾走という感じではないけど、来し方をゆっくり巡るような感じ。「Still love you」に力は入る。モリッシーの大振りな手拍子で終わります。

6. Sure Enough, the Telephone Rings

モリッシー曰く「礼儀正しきメッセージ」(てかかなり率直なメッセージ・・・)であるこの曲が、日本でいうところの黒電話のリンリンで始まります。最初の「シュアイナフ!!」という掛け声にゾクゾクします。この曲の歌詞ってどういう意味?と山口くんとあぎおに聞かれたので、ついでに訳をのせておきます。ちょっと被害妄想みもありますが、とにかくこの世は地獄、基本狙われているし悪いことが起こる、はなっから疑ってかかれというモリッシーのいつものメッセージが軽快にぶっぱなされて大好きです。

Sure enough, the telephone rings
案の定、電話が鳴る
Who wants my money now?
俺の金をほしいのはどいつだ?
Otherwise the telephone never would ring
じゃなきゃ鳴りっこない
No, oh, oh, oh
あーやだやだやだ

Sure enough, the telephone rings
案の定、電話が鳴る
Who wants my money now?
俺の金をほしいのはどいつだ?
Ditched and snatched
うっちゃられてかっぱらわれ
And jackrolled out to pasture
全部とられてお払い箱にされる
Oh, oh, oh
あーあ、あーあ

It's only fair
それがフェアってもんだ
You must tell the little kids they live in hell now
お前らは今地獄に住んでるんだと子どもたちに言った方がいい
It's only fair
それが筋ってもんだ
You must tell the little kids they live in hell now
お前らは今地獄に住んでるんだと子どもたちに言った方がいい

Sure enough, the telephone rings
案の定、電話が鳴る
Who wants my money now?
俺の金を欲しいのはどいつだ?
Otherwise the telephone never would ring
じゃなきゃ鳴りっこない
No, oh, oh, oh
あーやだやだやだ

Sure enough, the telephone rings
案の定、電話が鳴る
Who wants my body now?
俺の身体を欲しいのはどいつだ?
Buried, dug up
埋められ、掘り返され
Buried, then dug up again
埋められて、また掘り返される
Oh, no, oh
あーやだやだやだ

It's only fair
それがフェアってもんだ
You must tell the little kids they live in hell now
お前らは今地獄に住んでるんだと子どもたちに言った方がいい
It's only fair
それが筋ってもんだ
You must tell the little kids they live in hell now
お前らは今地獄に住んでるんだと子どもたちに言った方がいい

Please be fair
どうかフェアにいきましょうよ
You must tell the little kids they live in hell now
お前らは今地獄に住んでるんだと子どもたちに言った方がいい
Please be fair
どうか筋を通してくれ
You must tell the little kids they live in hell now
お前らは今地獄に住んでるんだと子どもたちに言った方がいい

バックドロップは電話をするエディー・コクランとイギリスの女優ダイアナ・ドースとブルース・リー。ライブ翌日にKITTE丸の内、旧東京中央郵便局長室にて、“Sure Enough, The Telephone Rings”バックドロップごっこしたけどだいぶ違いました。



長くなったので、分けようかな。あと2回くらい書きます!


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実録・モリッシーが来た!新豊洲 Five hours with you その1

2023-11-30 22:10:11 | モリッシー来日 2023

19:38 ついにバックドロップがジェームス・ボールドウィンに変わった!!出てくる、出てくる、出てくる。その安堵とともに頭に浮かんだのは、ボールドウィンの言葉。

「愛というのは、我々が思うとおりには始まりも終わりもしない。愛は戦いであり、愛は争いである。つまり、愛とは成長することなのだ」

愛は戦いであり、愛は争いである。自分なりに戦った。やっとこの瞬間にたどりついた。成長したかといったらしてないかもしれないけど、たった今、何かを本気で愛さないと見えない地平線に立ってる自分を俯瞰で見て「すごいな、おい」と思った←こうやって書いてるとちゃんと思ってるみたいだけど、頭の中で同時多発ぐちゃぐちゃ感情からの

あんなにみんな待ってた、待望のカリスマなのに、降臨!!という感じではなくふつーに舞台に散歩みたいに出てきたモリッシー!!くわえタバコでうろうろしながらいろんな方向に丁寧にお辞儀。

コンニチワ!!ユーアーザワンフォーミ―…トウキョウ!!

と叫んで歌い出したのはWe Hate It When Our Friends Become Successful。

マイクコードさばきの切れ味が、またすごくなっている。あの鞭打ちなら当たっても構わなかった(本当に当たりそうだった)、、、

おいおい、このまま1曲ずつ感想書いてくのかよ、と思いますよね。

感想ってどれにしたって結局「良かった」なわけで、もしくはツラツラ書いても千夜一夜物語になるには目に見えてるので先に「結論」を書く新スタイルでいきますw

(とりあえずセットリストはこちら)

We Hate It When Our Friends Become Successful
Suedehead
Alma Matters
Our Frank
Stop Me If You Think You've Heard This One Before
Sure Enough, the Telephone Rings
I Wish You Lonely
How Soon Is Now?
Girlfriend in a Coma
Irish Blood, English Heart
Let Me Kiss You
Half a Person
Speedway
The Loop
Please, Please, Please Let Me Get What I Want
Everyday Is Like Sunday
Jack the Ripper
Sweet and Tender Hooligan

18曲約70分と、コンパクトな感じだけど、短いとかそういう感覚もなかった。とにかく体当たり、疾走。すべて本気。64歳のライブと思えなかった。どんどん身体の機能が上がっている感じ。バンドの演奏もすごくよかったです。でも、歌手の声が、どの楽器をも凌駕しているってどゆこと??と思いました。あまりにも「人間」の力を感じるライブ。オペラとか声楽系とかそういうのでなく、ロックで中身ど・パンクで、そもそもインディーで、、、そういう人が還暦を過ぎて、こんなに声を武器にした歌手になるなんて・・・。

また観客も、64歳お歌手のライブの観客じゃなさすぎw スーツ姿の会社帰りのサラリーマンまでマジもんでモッシュピットで叫んでた。そもそもモッシュ「ピット」という概念がない。見渡す限りのモッシュwww モッシュ豊洲ピットです。それで思い思いに咆哮したりおもむろに「ありがとうー!!!!」と叫んでいる。「日本の客はおとなしい」っていつの話!?という感じでした。

そんなモリッシーの凄さって、これでも何年もファンをやっているんで私は知っている方なんですよ(必死の強調)。それでもこんなに驚いたんです。ザ・スミス好きのモリソロ嫌いの人とか、あんまり知らないで来た人とか、どう思うんだろう、と思ったんです。何を見せられた?聞かされたんだ??「あっけ」みたいな感じなのかなと。

それでライブの後のアフターパーティー帰り「モリッシー」で検索して見てみると、エロ垢がトレンドにあがった「モリッシー」を無駄につけてツイートしているので、それに紛れ過ぎててよくわかりませんでした。エロ垢業者も、まあ自動でキーワードで入れてるんだろうけど、よりにもよって「私の本気〇〇画像見たい? モリッシー」とかほんとなんなんだ??? やっと昨日くらいからトレンド便乗エロ垢が消えたので、落ち着いて見ることができました。

すると

「歌声が凄い」

「期待をはるか上回っていた」

「現在進行形だった」

「甘く見ていた」

「過去一良かった」

「ただただ凄かった」

と、絶賛の声ばかり。現在進行形であり、懐メロ歌手でもない現役歌手。モリッシーは「自分には今しかない」とよく言いますが、3月のロンドンのライブでもこう言っていた。

Here!
Now!
That'sall!

ここ!
今!
それだけ!

モリッシーのこの臨場感、今しかない感を、多くの人に、やっとわかってもらえた!!と思いました。

まがりなりにもモリッシーの本を書いたり、ブログを書いたり、会う人会う人にモリッシーの話をしたりしてきた女ですが、自分の無力さを感じました。それは幸せな無力感です。百聞は一見にしかず、一モリッシー体験が、人の心をこんなに動かす。やっぱ人は、自分で体験しないとダメなんだと思う。「きっと凄いに決まってる」とは思ってきたけど、そう思ってきた人間にすらも「もっと上から来た~!!」と焦ってしまうほどの「一モリ」だったのです。たくさんモリッシーを観ているルーピーさんも言っていました。

「あんなに上機嫌で、あんなに素晴らしいモリッシー見たことない」

こうやって、驚かせて、更新していくんです。まあ私は好きだしもう(あり得ないけど)最悪なライブだったとしても好きなんで、自分を信用できないから、誰か説得力のある人の言質とりたいな…と思っていたら、今朝、自称「頑ななまでのスミス信奉者」、スミス好きのモリソロ嫌い、3代前から極スミス(そんな昔からない)kimuraさんからDMが来ました。

「モリッシー凄過ぎました!ありがとうございます! 人生で三本、いや驚き、凄さに圧倒されたと言う意味ではNo.1かもしれません!普通に低体調が1カ月続き正直行くのが億劫でした…いやいやいやいや、危ないとこでした!絶対観るべき体感、目撃すべきライブです! ご存知の通り生粋のスミスファンですが、ライブ進むに連れ、いやいやサービス精神でスミスやらなくて大丈夫だよ!とモリッシーの現在が観たいよ!となりました。かいなってぃーブログの、出る出るモリッシー16曲中心に数日前にプレイリスト作らせて頂いたお陰も大きいです。感謝。 今年もそこそこライブ観まして〇〇、××が最高で!でも比較してしまうと、彼らも懐メロになります。UKが、北米が好き、あの曲この曲が好きじゃなく、モリッシーって全人類、ホモサピエンスの数パーセントの必須成分なんだな、彼がいない世界はありえないと思ってる人が多く集まった空間なんだな!と思った次第です」

という文章を読んで驚きました。いやいやこの人、何をどう言ってもザ・スミスしか勝たん!!の人が「モリッシーの現在が見たいよ」ってなに???平気??と思いました。驚いたのは私だけでなくご本人もみたいで、

「スミスガチ勢の一人として、一番最初に来た感情が驚きでした。どんなに若く先鋭的なバンドより今を体現し表現している感じ。だからあんな激しいバンドサウンドなんだなと。How Soon Is Now?は原曲を超えましたし。 正直2016年は懐メロ、ディナーショーと感じました。大好きなスミスのモリッシーを一回観られたからオーケーと。だから予想してないんですよ、今回の凄さを! あれから当日のプレイリスト作って聴いてますが、Jack the RipperもIrish Bloodもライブで凄い事になったんだな!と改めて感じました。Half a PersonとPlease Please Pleaseは泣きそうでしたが、もっとモリッシーの曲が聴きたかった、これが素直な感想なのが自分でも驚きです!」

私は受験生だったら、参考書だったら、以下の箇所に蛍光マーカーで線を引きたいと思いました。

モリッシーの現在が観たい
モリッシーって全人類、ホモサピエンスの数パーセントの必須成分
彼がいない世界はありえないと思ってる人が多く集まった空間
どんなに若く先鋭的なバンドより今を体現し表現している

Kimuraよ、やっとわかったか…(涙)。って、わからせたかったわけでも無理に「ガチモリに転向せよ!!」とか「おのれ、ジョニー・マー踏み絵を踏めるか!?」「か、隠れマイク・ジョイス担か…!?」とかやりたかったわけではありません。ただ、もう、モリッシーの実存に触れた人の心からの驚きが嬉しいばかりです。

このモリッシーの「凄さ」はどこから来るのか。それは28日に新豊洲のうねるような人間の圧、絶叫、咆哮、「ありがとうモリッシー!!」(なぜか今回日本語で感謝を言うブーム到来)を体感した人はわかると思います。

「絶対あんたがいないとダメなんだ」

あんた=「スミスのモリッシー」とかそういうことでなく、今目の前、ここにいるモリッシー。そう思っている人間たちとの相互作用であのようなモンスターが生まれたのです。いわばポジティブ共依存。我々の愛の力が反映されてのあのモリッシーなのだと思います。いまだにモリッシーが増強中なのは、身体管理やストイックな(ちょっと普通と違う)プロ意識もあるでしょうが、それを下支えしているのはファンの愛です。モリッシーはファンとの愛の交歓のプロなので、出てくるだけで日本のオーディエンスの愛と渇望の雰囲気がわかってしまったんだと思う。だからあんなに上機嫌。べつにユニオンでレコード買えたからなだけであんなに上機嫌じゃないと思いますwww とてつもない愛と愛のぶつかり合いがあり、相乗効果であんなモンスターが生まれてしまった11月www

モリッシーは何度も、ここにいて幸せ、ありがとう、ありがとうと繰り返していた。
Irish Blood, English Heartを歌う前、

「私は世界のあり様を目の当たりにし、言いたいことを言う。考えたいことを考える。誰にもそれを止められない。たとえ殺されてもだ」

と声を上ずらせて強調していました。その強さは我々に力を与え、その我々がまた彼を強くする。

モリッシーが昨日、「TOKYO!」と公式サイトにアップしていた写真には「My love, my life」と書いてあった。

この写真(ケンさんモリセンデビュー)見てると泣いちゃう。撮っていたRyan君も必死の形相で物凄い恰好で撮っていた。

ボールドウィンの言う通り、愛というのは、我々が思うとおりには始まりも終わりもしない。愛は戦いであり、愛は争いである。それは人生そのものではないか。70分で物凄い衝撃とともにそれを伝えモリッシーは去ったけど、我々の愛は終わらない。終われない。

たぶんこの実録ブログも終われない。


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実録・モリッシーが来た!新豊洲 Five hours with you その0(まだ出てきてない)

2023-11-30 13:34:47 | モリッシー来日 2023

何から言葉にしていいかわからないし、ぶっちゃけ構成も展望も結論もノープランですけど書きます!!!忘れないうちに、と思ったけど忘れっこないというか、すごいことって最初はボディブローがきつすぎて、体感の衝撃で思考が追い付かない。だんだん人としての考えを言葉化できる気がしてきました。

えっと、性格的にくどいんで最初からいきます。5時間分。え、5時間だけの話なの??体感50年分くらいの濃さでした。でもあっという間という。変な感じ。

15:45 新潟からのガチファンと有楽町で逢いましょうがやりたいがために有楽町で落ち合う。もう物販の列が100人て情報入ってるから!!と煽ってタクシーに乗り込む。ガチ勢は昼頃から新豊洲入りし、情報をくれていたのである。

16:15 豊洲PIT到着。列が見えて途端、江戸っ子の血が触ぐ。神輿は!?神輿はどこだ??と思うが、単なるものを買う列である。

タクシーでは、「買い終わったらロッカー預けて、あぎおが来るまでお茶しよう~、トイレとかも行かないとだし~」とのんきに話していたが、物販の列はそんな甘いものじゃないくらい蛇行しており、遅々として進まない。ひとりひとりのお買い物が「濃い」のである。これちょうだい、はい!というわけではなさそう。

アイドル好きな友だちに「物販はのんきに考えちゃいけない」と重々言われていたがその時は「大丈夫、3000人しかキャパないし~」なんて言ってたけど、その「3000人」がどんな3000人なのか、お前わかっていただろう??と自分を責める。

モリッシー物販、Youtubeに映像があがっていた。ただ人が並んでる映像なのに見てるだけで泣きそう。今日並びにいっても、この時と空気は二度と味わえない(あたりまえ)。

MORRISSEY LIVE IN TOKYO - Standing in line at Toyosu Pit

列が進むと「お見合い回転ずし」みたいに、横に来る人がいれかわり、友人知人に多数会う。遠くから来た久しぶりのみなみなどにも会い、「こんなに大きくなって…」と感激する親戚おばさんモード(実は前から大きかったらしい)。「こんなにファンが並んでるの見るだけで泣きそう」と前半のお見合いで会ったユリンベが言っていたが本当にそう。

列がのろのろと進み、あんなにポカポカだったのに風が少し肌寒くなる。ステージに近づいた位置だったのか?リハーサルの楽器の音が聞こえた。友人と「楽器だけだよね、まさか本人歌わないよね」と言っていたら、モリッシーの声がした。I wish you lonelyと聞こえた。幻聴か???と思い、列のうしろにいた人に「これ、リハの音です??幻聴??」と確認すると「間違いありません、リハです」と承認してくれた。「私は音楽関係なんで、これはリハーサルです」と頼もしい。話していたら、お友達のツネくんのお友達だったw  

お見合い回転ずしの間に、ちょうど4年前の秋に対談させてもらった、プリンスガチファンの二重作さんに会い写真撮ってもらう。終演後にもパチリ。いろんな縁がありますな。なんか「すべての道は新豊洲に通ずる」って感じだった。ゆりかもめの終点は豊洲だけど。

空がだんだん、灰色とオレンジの2層に分かれて、暗くなる。黙示録ならそこが割れて、火の車に乗った魔王が来そうな感じになってくる。その魔王がモリッシーなのかなとひとり考えている。

埋立地の夕刻のこの空気は、独特。荒涼、という言葉は「自然」が基本の言葉。「人工」がベースの、荒涼に値する言葉はなんだろう。この人工の中の荒涼的な箱の中で、真反対の生生しい何か物凄いことが起きる夜の予感にゾクゾクしてくる。

17:00過ぎ あぎお合流。「この人ひとつも買わないでただいるだけなんで入っていいですか」と聞くと、なんでも承認と回答をくれる頼もしい後ろの人が「大丈夫です!」と言ってくれるので入れてもらう。列は最終コーナー曲がり角…と思ったら、曲がってからも長い。

17:30分くらい? もうこの辺から錯乱してきてよくわからないけど、「整理番号順に並んでくださーい!!」というスタッフの声がしてくる。え、行かなきゃじゃん、と思い、順番にこだわらないあぎおたちに荷物を預けて移動する。18:00開場なのにはやくない??とりあえずトイレ!と思って探すが入れない。予定は狂うが錯乱しているため、トイレもべつに入らなくていいやと思い、整理番号でわかれている地帯にいく。

すると、アメリカ横断ウルトラクイズのYES、NOで分かれている人たちみたいに、「ざっくり」と友人知人が区切られてたまっていた。100番ごとの分類。あまりに知り合いだらけでほっとする。焦って錯乱してる奴ら、だいたい友達。

18:00 ちょっと前。「まずは1番に近い人たち集まってください!!」と言われ、「マイナスでもいいんですか~」とふざけて…いたらすぐに、1番から呼ばれてひとりずつ入っていった。みんなバンジージャンプやる人みたいな顔でロープで仕切られた列に入っていく。そう、まだこの先、入場までは、ロープでうねうね並ぶのである。私の番になって並んでいると、ケンさんが「物販諦めた!」と入ってきた。でも「諦める」のはそれが自分でなくてもイヤな私は(性格的に)、ふと横を見ると物販にトリスケを見つけたので、ケンさんのシャツを買ってあげるよう叫ぶ。トリスケがサイズ確認で叫ぶ。トリスケは花売り娘のようにグラジオラス束を抱えており、市場のようだ。

そして、入場。新豊洲PIT、ヒア・ウィー・カム・・・



買ったばかりのシャツを着たケンさんと記念撮影したりして、まだ余裕。


プレショウビデオが始まっても「きゃージグジグ!!(気志團ではなく)」「この後20、30分くらいは始まらないから」とか思ってて余裕。

シニード・オコナ―が流れると、会場から拍手が怒り、厳粛な雰囲気。

ニュー・ローズは、どんな時もノれる。



しかし、わーい、楽しいねえ!!ではなくなってきた。でもビデオがまさかの30分超えたころ、だんだん焦ってくる。

ビデオの間に、誰かがイヤなことしたり、なんかイヤなこと言ったりしてませんように。
出てきますように。。。出てくるよね。出て、出、、、


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