Action is my middle name ~かいなってぃーのMorrisseyブログ

かいなってぃーのMorrissey・The Smithsに関するよしなしごと。

モリッシー新譜Disk 2 “Forgive Someone” 歌詞

2014-09-06 23:28:51 | Morrissey Lyrics

ボーナスディスク、4曲目の“Forgive Someone”を

訳します。

 

実は…私、このディスク2の中で1番、このアルバム デラックス盤

全体の中でも1、2を争うほど好きな曲です。

そして、Youtubeで、先日もご紹介したモリッシーファン

TheAmbitiousOutsiderさん作成のあまりにテーマに

ふさわしい映像を見て、ますます好き心がアップ。

これ、毎日毎日、何度見たかわかりません。


Forgive Someone

 

こちらのPVには、2005年のアン・リー監督のアメリカ映画

『ブロークバック・マウンテン』

の映像が使われています。


この映画は1963年夏、ワイオミング州のブロークバック・マウンテンの山中で羊の放牧のために

雇われたイニスとジャックの、20年間に渡る男同士の友情~愛情を描いたラブ・ストーリーです。

秘密の愛を貫く二人が、様々な葛藤と孤独を経て、性別を超越した永遠の結びつきに至るまで

の過程を描いています。


この後夭折したヒース・レジャー、そしてジェイク・ギレンホールの、淡々と

静謐な空気感の中つづられていく痛々しいまでに美しい関係は、性別とか

巷に蔓延?する安っぽくて気休めな「愛みたいなもの」を超越しています。


ネタバレになるのでこれ以上のストーリー説明はさし控えますが、

最後のヒースのこのシーンを思い出すと

私の頭の中にモリッシーの


Our truth will die with me 
Our truth will die with me 
Our truth will die with me


という歌詞が鳴り響きわたりました…


歌詞と一緒にPVをご覧になってください。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

Forgive Someone

 

Use a weapon of words
Or a fight with your fists 
But can you forgive someone?

Stand your ground and persist 
And be the last one to blink 
But can you forgive someone?

And if you do I'll run to you 
Betray you with a word 
I would slit my own throat first of all I will

The black peat of the hills 
When I was still ill 
See this mess and forgive someone

And then recall if you can 
How all this even began
Forgive someone

And if you do I'll run to you 
Betray you with a word 
I would slit my own throat first of all I will

Our truth will die with me 
Our truth will die with me

Shorts and supports and faulty shower heads 
At track and field we dreamt of our beds 
In the bleachers you sit with your legs spread, smiling 
"Here's one thing you'll never have"

Our truth will die with me 
Our truth will die with me 
Our truth will die with me


言葉を武器にしたり
力にものを言わせてみろよ
でも誰かを許すことなんてできるかい?

一歩もひかないで頑固に言い張ってろよ
ひるんだりなんてしそうもないけど
でも誰かを許すことなんてできるかい?

もし君ができたなら 君のもとに走ってくから
もし君を裏切るようなこと言ったなら
すぐにこの僕の喉をかっさばくから 絶対

まっくろな泥炭の丘で
僕がまだ病んでた時だった
このとんでもないありさまをみろよ
そして誰かを許してみてよ

そしてもしできるなら思い出して
すべてが一体どんな風に始まったかって
そして誰かを許してみてよ

もし君ができたなら 君のもとに走ってくから
もし君を裏切るようなこと言ったなら
すぐにこの僕の喉をかっさばくから 絶対

僕らの真実は僕と一緒に死ぬ
僕らの真実は僕が墓場まで持っていく

半ズボンとサポーター ぶっ壊れたシャワーヘッド
陸上競技場で 一緒にベッドで寝ることを夢見た僕ら
観覧席で脚を広げて座ってた君 笑ってた

「ほら、君が絶対手に入れられないものがここにあるよ」

僕らの真実は僕と一緒に死ぬ
僕らの真実は僕が墓場まで持っていく
僕らの真実は僕と一緒に死ぬ
僕らの真実が僕が墓場まで持っていく
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

あるレビューではこの歌は、人々に対して、許すよう懇願している

優しい歌だと書かれていましたが、果たしてそうでしょうか。

人々に対する懇願でしょうか?

But can you forgive someone?

…それは、モリッシーの自問に聞こえます。

 

過去に何人もの人に失望し、決裂し、最近ではせっかく結んだレコード会社

との契約も色々な経緯はあったでしょうが終了…たったひとりで戦うことも

多々あったモリッシー、人や物事を許せたらもっともっと人生、楽だったでしょう。

 

個人的なことですが…私も数カ月前にある人から、自分が想定できないような

対応をされて、大きな怒りを覚えました。実はいまだに思い出すと

「なんで!?」「信じられない…なんなの?」といらだちを覚えます。

 

それって結局、負の形での「執着」なんでしょうね。。。

「許せない」というのは、自分が勝とうとしていること。

そろそろ「勝ち負け」の呪縛からは抜けなくては、と思いました。

 

『ブロークバック・マウンテン』のような、真実の愛による執着なら美しい。

墓場まで持っていく大事な、シャツを抱きしめて泣くほどの「僕らの真実」

を内包していますが。

 

この歌を聞いて、ふっと肩の張りつめがとれて「許さなきゃいけないな、許せなくても」

と思いました。大切なことは、「言葉を武器にしたり力にものを言わせてみる」

ことではないよなあ、とこの歌を聞いてしみじみ思いました。墓場にまで持っていく

にしろ、「真実」は逃げも隠れもできないのですから。自分の心にあればいいので

あって人を糾弾する怒りの覆いはいらないのだと思いました。


えっと、よく「言葉を武器にしている」モリッシーもよくわかっているのだと思います。

本当はもうすべてを許しているのかもしれないからこんな歌を歌うのかもしれません。


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モリッシー新譜Disk 2 “Drag The River” 歌詞

2014-09-06 02:46:18 | Morrissey Lyrics

ボーナスディスク、3曲目の“Drag The River”を訳します。


これは、「歌詞」というより「歌詩」ですね。

脚韻がふんだんに使われており、作詞しながらモリッシーは

楽しんだのだろうなと思います。モリッシーの好きな19世紀の

湖水詩人(ワーズワース、コールリッジ、サウジーら英国の湖水地方に

住んでいた詩人たちの総称)気取りで…?

 

そして詩の内容は難解です。


川底が、死後の世界~黄泉の国と現世の境界になっている感じがします。

私にはジャン・コクトーがギリシャ神話のオルフェウス伝説をベースに

撮った1949年の映画『オルフェ』を彷彿とさせます。

 

不思議な手袋の力で鏡という境界を抜けて生と死の間を彷徨する

詩人オルフェ役のジャン・マレーが水たまりに横たわるのこのシーンは、

スミスの「ディス・チャーミング・マン」のレコードジャケットとしても

あまりに有名ですよね。


水たまり、川、海…現世とあの世の境界線であり、己を映す鏡のような「水」

のイメージが印象的な、この世に対する諦念も感じられるゆったりとした歌

です。


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Drag The River

 

Drag the river and without her you may find a sliver
Of the one of whom you speak and whom they seek

she would gaze into the river as we’d look into a mirror
And her reflection would beckon her to

Join me join me join me join me
Happy we will be

On the coastal shore I’m sure you’d break down if you saw
And abhorrent torrent crashing as it pours

The counter current holds a secret at the rise of tides
And it swells all alone for this heart born too high

So join me join me join me join me
I’m certain I heard her cry

By the river with the soul of submersible stone
Every second of my life prepares to go

She would call into the river as she’d cry out for her mother
So stark, so haunt, deep enough for all I was

Oh join us join us join us join us
And happy we will be


川底をさらってみて 彼女を失った君はそこで
君が心で話しかけていて みんなが探している
あの子の破片を見つけるだろう

鏡を見つめるように彼女は川をじっと見つめるだろう
そして水面に映った彼女の面影が彼女を誘う

こっちにおいで こっちにおいで こっちにおいで
そうしたら僕ら幸せになれるかも
 
海岸でぞっとするようなどしゃぶりに会ったらくじけちゃうはず
潮高の時、逆向きの海の流れは秘密を握ってる

心があまりに高いところで生まれたから 勝手に潮が高く 差した
こっちにおいで こっちにおいで こっちにおいで
確かに彼女が泣くのを聞いたんだ

川のほとり 水の中の石みたいな僕の魂
人生のすべての瞬間がうつろっていく覚悟をしているんだ

彼女は母親を求めて大声で叫ぶ子のように 川を呼ぶだろう
あまりにどうしようもなくて 
あまりにとらわれてて
みんなと打ち解けない僕だった

仲間になって 仲間になって 仲間になって
そうしたら僕ら幸せになれるかも

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

考えてみるとモリッシーは「川」を描くのが昔から好きですね。

スミス時代の川には、鉛色の川に赤ん坊の頭を沈めていました…

(“This night has opened my eyes”)


そして「川底さらい」と言えば、マンチェスターで失業者時代に、

職安で運河の底さらい(おそうじ)バイトをすすめられて激おこして

いましたw


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