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障害厚生年金

2021-01-23 18:41:53 | 日記

障害厚生年金は厚生年金の被保険者の時に障害を負った場合にもらえる障害年金になります。障害基礎年金と同じく、支給要件が初診日、障害認定日、保険料納付要件があり、全ての条件を満たした場合に支給されます

また、障害基礎年金、障害厚生年金の両方の支給要件を満たした場合は障害基礎年金と障害厚生年金の両方が支給されるように設計されています

障害基礎年金は被保険者(障害を負った本人)と子供が生活に困らないように設計されていますが、障害厚生年金は被保険者(障害を負った本人)と配偶者(夫や妻)の生活が困らない様に設計されています

それでは説明していきたいと思います

1.障害厚生年金の支給要件

障害厚生年金の支給要件は、次の3つ要件を全て満たした時に支給されるようになっています

①初診日要件

初診日(初めて医者へ行った日)において厚生年金の被保険者(在職中)である事

※仕事を辞めてから医者へ行った場合は障害厚生年金はもらえませんので、気を付ける事。

つまり、在職中に病院へ行く事

②障害認定日要件

初診日~1年6ヶ月を経過した日において障害等級1.2.3級のどれかに該当している事

初診日が在職中であれば、障害認定日において厚生年金の被保険者でなくてももらえます

つまり、初診日の後に退職していても問題なく障害厚生年金をもらえます

③保険料納付要件

保険料納付要件は特例C「初診日が平成3年5月1日前の場合」以外は障害基礎年金と全く同じです

A.保険料納付要件

初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち、保険料納付済み期間と保険料免除期間を合わせた期間が3分の2以上あること

つまり全被保険者期間において保険料の滞納期間が3分の1を超えない事

B.保険料納付要件の特例

初診日が令和8年4月1日前である時は上のAの保険料納付要件を満たしていなくても、初診日の属する月の前々月までの1年間に厚生年金の保険料を滞納していなければ、保険料納付要件を満たすことになる。但し、初診日において65歳未満の者に限る

つまり、初診日以前1年間に厚生年金の保険料をきちんと納めている事

c.初診日が平成3年5月1日前の場合

当時の保険料納期限との関係から、初診日の属する月の直近の基準月(1月、4月、7月、および10月)の前月までの期間で保険料納付要件を見る

 

2.障害厚生年金の金額

障害厚生年金額は厚生年金の「65歳以上の報酬比例部分の年金額」という事になっています

「報酬比例部分の年金額」とは厚生年金をずっ~と納めてきて、65歳以上になった時に受け取れる厚生年金の額

つまり各々、受け取れる厚生年金の金額になるので、障害厚生年金の額も人によって変わるという事です

それぞれ1.2.3級でもらえる金額を簡単に表すと次のようになります

1級 報酬比例部分の年金額 × 1.25  + 配偶者加給年金額
2級 報酬比例部分の年金額   配偶者加給年金額
3級 報酬比例部分の年金額(1回のみの支払いで最低保証額 586,300円)

 

 

報酬比例部分の年金額の計算方法

計算方法は次のようになります

報酬比例部分の年金額は「平成15年3月までと「平成15年4月1日後」に分けて計算します。なぜこうなっているかというと、この月の前後で「総報酬制」が導入されたからです

「総報酬制」・・・年金のもらえる金額を計算する時に賞与(ボーナス)も加えて計算するという制度です。ちなみにこれは貰い手に取って良い制度ではなく、悪い制度です

総報酬制導入前までは、もらえる年金の利率を計算する時に給料だけで計算していましたが、年金財政の悪化や外資系企業が月々の給料を変えず、賞与だけを高くした方が得だという事に気づいた為に政府が導入した為です。昔は賞与に税金が掛かっていませんでしたが、今は賞与にも税金が掛かるのはこういう経緯があったからです

平成15年3月以前の被保険者期間の計算(総報酬制導入前)

※平均標準報酬月額(賞与なしの計算)は令和2年の再評価率になっています。また、平均標準報酬額ではなく、平均標準報酬額です

平成15年4月以後の被保険者期間の計算(総報酬制導入後)

※平均標準報酬額(賞与込みの計算)は令和2年の再評価率になっています

以上の「~平成15年3月までの年金と「平成15年4月~からの年金」を足したものが報酬比例部分の年金額となり、それが被保険者(障碍者本人)の分の年金になります

配偶者加給年金

続いて、障害等級1.2級に該当するものに支給される障害厚生年金には、受給権者によって生計を維持している65歳未満の配偶者があれば、配偶者加給年金が加算されます

障害厚生年金の受給権を発生後に配偶者を有する事になった場合でも支給されます。また、老齢厚生年金の加給年金とは違い、加算がないので、金額は一律、224,900円(令和2年)になります(老齢厚生年金で加給年金をもらう場合は配偶者、子供、特別加算の3つを受けれる。障害厚生年金でもらう場合は妻の分の1つしかもらえない)

※金額は全て年間。つまり年間で224,900円

配偶者加給年金の減額と支給停止

減額
  • 死亡
  • 受給権者による生計維持の状態がやんだ時
  • 離婚または婚姻の取り消し
  • 65歳に達した時
支給停止

配偶者(障害厚生年金を受けている本人の夫、妻)が自分で老齢厚生年金、老齢共済年金や障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金を受けられる時は、配偶者加給年金は支給停止となる

3.事後重症

障害認定日に1~3級に該当しなかった者が、その後65歳に達するまでに障害等級(1~3級)に該当した時は障害厚生年金を請求できる権利。3つの要件を満たす場合のみ支給される

初診日要件

初診日において厚生年金の被保険者である事。障害厚生年金と同じ

障害認定日要件

障害認定日において、障害等級1.2.3級に該当していなかった者が65歳に達する日の前日(誕生日の前日)までに障害等級1.2.3級程度の障害の状態になる事

保険料納付要件

障害厚生年金と同じ。全期間の3分の2以上の保険料を納めているか、もしくは令和8年4月1日までは初診日以前1年間に厚生年金の保険料の滞納が無い事

※事後重症は請求して初めて権利が発生する。請求した次の月から支給されるので、障害になっていたけど、請求していない月にまでさかのぼる事は出来ない。また請求は65歳誕生日の前日まで。支給は65歳以降もあり

 

4.基準障害

障害厚生年金の障害等級1.2級に満たない障害に無かった者が新たに別の傷病にかかり、両方の障害を一緒にすると2級以上の障害になった場合に障害厚生年金1.2級を支給する

初診日要件

障害厚生年金と同じ。初診日において厚生年金に入っている事

障害認定日要件

障害認定日に障害等級1.2級に該当しない障害の状態にある者が、その後、新たな別の傷病(基準障害)により、二つを合わせると障害等級1.2級に該当する事。また、この場合、後の傷病が初診日要件、保険料納付要件を満たしていなければならない

保険料納付要件

障害厚生年金と同じ。厚生年金の全期間の未納が3分の1以下。または特例として、令和8年4月1日までは、初診日以前1年間に厚生年金の保険料の未納が無い事

※事後重症との違い

事後重症は65歳、誕生日の前日までに請求しなければならないのに対し、

基準障害は65歳以降の請求でも良い。請求日の属する月の翌月から支給される

 

5.併合認定

障害厚生年金の受給権者(障害基礎年金の受給権者に限る)が、さらに障害等級1.2級の障害厚生年金を支給すべき事由が生じた場合には、前後の障害を併合した障害厚生年金が支給される。この場合、従前(最初の障害等級1.2級)は消滅する

 

6.障害基礎年金との併合に基ずく改定

障害厚生年金(障害基礎年金の受給権者に限る)の受給権者に新たに障害基礎年金(障害厚生年金と同じ支給理由の物を除く)が生じた時は障害厚生年金の支給事由となった障害と障害基礎年金の支給事由となった障害とを併合した障害の程度に応じ、障害厚生年金の額を改定する

  • 後発の障害基礎年金が2級→1級になるとそれに合わせて、障害厚生年金も1級になる
  • 3級の障害厚生年金(障害基礎年金の受給権が無い人)は65歳以降は額の改定はできない
  • 「額の改定」とは、基本年金額部分(報酬比例部分)は変わらず、例えば2級から1級になればこれまで支給されていた2級の障害厚生年金の額が1.25倍相当になるという事

7.障害手当金

障害厚生年金の3級より軽度の障害がある者が請求した場合に障害手当金が一時金として支給される

1.受給要件

次の全ての要件を満たした場合に支給される

  1. 初診日において、厚生年金の被保険者である事
  2. 初診日から起算して5年を経過する日までに傷病が治っている事
  3. 傷病が治った日に一定の障害(※)にある事
  4. 障害厚生年金と同様に保険料納付要件を満たしている事

2.障害手当金が支給されない場合

障害が治った日において、次のどれかに該当した時は障害手当金は支給されない

  • 厚生年金、国民年金、共済組合等の全ての年金のどれかの受給権者
  • 同一の傷病について、国家公務員災害補償法、地方公務員災害補償法、公立学校の学校医等の災害補償法、労働基準法、労働者災害補償法、船員保険法の受給権者

 

3.障害手当金の金額

一時金として、障害厚生年金の3級の2倍に相当する額が支給させる。障害厚生年金同様に被保険者期間が300月に満たない場合は300月として計算され、最低保証額もある

※報酬比例部分の計算について詳しくはこのページの「報酬比例部分の年金額の計算方法」の項目を見て下さい

8.支給停止、失権

支給停止は一時的に止まることで、失権は永遠にその権利を失う事という違いがあります

支給停止

次のどれかに該当した時に障害厚生年金は支給停止する

  • 障害の等級が3級にも該当しなくなった時
  • 同一の障害について、労働基準法の障害補償が行われる時(6年間)

 

失権(消滅)

障害厚生年金の受給権は次のどれかに該当した時、失権(消滅)する

  • 死亡した時
  • 障害の程度が軽快し、3級の程度にも該当しなくなって65歳に達した時。ただし、65歳に達した日において、3級の程度にも該当しなくなった日から起算して3年を経過していない場合は3年が経過した時に失権する

 

9.まとめ

1.障害厚生年金の支給要件は3つあり、全てを満たすと障害厚生年金がもらえる

2.障害厚生年金の金額は

 1級は報酬比例部分の年金額 × 1.25  + 配偶者加給年金額

 2級は報酬比例部分の年金額   配偶者加給年金額

 3級は報酬比例部分の年金額(1回のみの支払いで最低保証額 586,300円)

 

3.事後重症」とは同一の障害が増進した場合は65歳まで請求できる

4.基準障害」とは障害等級に達しない障害を合わせると1.2.3級に該当する場合請求できる

5.併合」とは障害等級+障害等級で合わせて障害等級を上げる事が出来る事

6.「障害基礎年金との併合に基ずく改定」とは障害厚生年金の等級が上がった場合、障害基礎年金も一緒に障害等級が上がる事

7.「障害手当金」とは障害等級1~3級にならない程度の障害を負った場合に請求できる一時金

8.支給停止は一時的に支給を辞めることで再開することができるのに対し、失権は権利が消滅する事

支給停止

  1. 障害等級3級以下
  2. 労働基準法の災害補償が6年間行われる時

失権

  1. 死亡
  2. 65歳になった時
  3. 3級以下の障害になった日から3年経った日、65歳になった日のど


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