最近では、電車に乗っているほとんどの人がスマホの画面を見ているという話から、
絵話塾の卒業生で絵本の大きな賞を獲った人に、どんな時にアイデアが浮かぶのか尋ねたら
ぼーっとしている時〜電車に乗っている時などに、パッと下りてくることが多いと答えたそうです。
私たちも車内で暇だからと、ついついスマホを触ってしまうことが多いですが、
もしかしたら大事なことを逃してしまっているのかもしれません。
そのスマホ、どうしても今見る必要がありますか?と、電子機器を持たない高科先生はつねづね思っておられるそうです。
続いてテキスト『60歳からの文章入門』(近藤勝重 著/幻冬舎新書)のP100~116を見ていきました。
●文章の表現と伝え方 から
①「人・物・自然」を書く:主体を取り巻く場面全体が見えてきて、情感が伝わる。
②「写生」ではなく印象を「描写」する:見たそのままを書くのはスケッチ、他の人に伝わるように自分の印象(情景)や心の動き(心理描写)を書くのが描写。可能な限り、自分が感じ取ったものを総動員して書く(描く)。ただし書きすぎるとしつこくなる。
③「自分の心がどう動かされたか」を書く:人の心を動かすのは、出来合いの言葉ではなく、実際に自分の心がどう動かされたかを具体的に書いてこそのもの。
悪例として載っている文章は『縦横無尽の文章レッスン』(村田喜代子 著・朝日新聞出版社)からの引用だったので、
引用先も見ていきました。
ここでは、文章上達で最重要なのは「自分の癖」を知ることである、と書かれています。
村田氏曰く、癖というのは我流(自己流・悪癖)であり「個性」とは異なるのだが、本人は個性だと思い込んでいたり、文芸的な表現だと自負していたりする。
観念用語が多いと誰が読んでも違和感を覚えるのだが、それを自己のアイデンティティーと思って手放さない人も多い。とバッサリ。
ついついカッコいい言い回しを書きたくなる時もありますが、気をつけなければならない点ですね。
●表現・表記のチェックポイント からは
①主語「私」はなくてもいい:自己主張の程度の問題であるが、一つの文章の中で多用するのはやめた方がよい。
②一人称は一視点からしか書けない:一つの文章の中で視点が混在しないように、気をつける。
③「だから」「しかし」を削るとリズムが生まれる:接続詞と副詞は、なくても文脈が変わらないところには使わない方がテンポがよくなる。パソコンの変換で出てくる漢字も、必要ないところではひらがなの方がよい。効果的に使うことを考える。
休憩をはさんで後半は、皆で「雑」のつく言葉をあげていきました。
「雑」の右側「隹」はもともとは「鳥」で、「集」は鳥が木にとまっているさまを指します。
左側は「衣」に由来し、いろんな草を集めてきて様々な色の衣を染めることから、多種のあつまり=まじりを意味する「雑」という漢字になったそうです。
アメリカ雑草協会によると「雑草は人類の生活に支障を来す望まれない植物のこと」と規定しているそうで、雑草は人為的に作られた土地にしか生えないそうです。(ただし牧野富太郎や昭和天皇は「雑草という草はない」と言ったそうですが)
そして、『中高生のための文章読本 ― 読む力をつけるノンフィクション選』(澤田英輔・仲島ひとみ・森大徳 著/筑摩書房)
から、稲垣栄洋の「花の色には意味がある」を見ていきました。(『雑草はなぜそこに生えているのか — 弱さからの戦略』稲垣栄洋 著・ちくまプリマー文庫 より引用)
稲垣氏の書く文章は、明快でわかりやすい。さして興味なく読み始めても、読んでいるうちにどんどん引き込まれていきます。
たまにはこういうノンフィクション系の本を読むのも、よいものですね。
最後は、課題についてです。
前々回の「めでる」についての作品を返却されるのに、皆さんがどんなものを愛でているかをざっと紹介していただきました。
今回は動詞シリーズの続きで、「立つ」がテーマです。
文字通り「立つ」動作について書いてもいいですし、立っているものについて、立っている場面、立場について書いてもかまいません。
自分のことでも、スポーツ選手や他の誰かのことについてでもいいです。スタイルや枚数に制限もありません。
経験をすくいだして、気づいたことや思ったことなど、自由に書いてください。
もちろん今日習ったことも思い出して、留意しながらですよ!
提出は次回30日の授業の時です。よろしくお願いいたします。