絵話塾だより

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2022年6月11日(土)文章たっぷりコース・13回目の授業内容/高科正信先生

2022-06-15 14:37:53 | 文章たっぷりコース
この日は、「はやぶさ2」が小惑星「リュウグウ」持ち帰った物質から、生命の起源に関わるアミノ酸が発見されたことから
「地球上の生命はどこから来たのか」について考えたというお話から始まりました。
生命の定義は、①外界と幕で仕切られている ②何かを取り入れて、何かを作って、出す(代謝を行う) ③自分の複製を作る
の3つの条件を満たすもの と言われているとか。
(ウイルスは遺伝子とそれを囲むタンパク質の殻しか持っておらず、単体で自己増殖ができないので「生命」ではありません)
恒星の周辺に十分な大気圧がある環境下で、惑星の表面に液体の水が存在できる範囲を「ハビタブルゾーン」といい
そこには地球外生命体や地球外知的生命体が存在する可能性があるのですが
それは “25mプールにバラバラにした腕時計のパーツをかき混ぜて、偶然完成するくらいの確率” なのだそうです。
…果たして宇宙人は存在するのでしょうか???



ということで、テキスト(『日本語の<書き>方』(森山卓郎 著・岩波ジュニア新書)) から
7章 ちょいとブンガクしてみる の続き P180〜195 を見ていきました。
3. 随筆
・「筆に従う」ということの難しさ
・ 随筆のネタになること?
・ 随筆のテクニック
4. 物語の構成
・ モノガタルということ
・ 場面と会話
・ 場面と心情
・ 視点
・ 物語の人物の関係
・ 課題解決型
・ 変化型など
・ 伏線など
・ 主題と題材


随筆(エッセイ)とは、テーマを決めて “自分が経験したり考えたことを自由な形式で書いたもの” で
文学の一ジャンルとして確立しています。
最近ではSNSで自分の身近なことを発信している人も多いですが、エッセイが上手な人は
一見関係ないようなことを書いて伏線を張り(ブリッジを掛けて)、伝えたいことにうまく結びつけます。
皆さんも、エッセイ書くときはテーマと構成に気を付けて、おもしろいものを書けるようにしてください。

小説や戯曲などの物語は、時間進行があって、出来事が場面と共に描き出される文章です。
・登場人物の会話場面を書くときは、誰が言っているかが分かるように気を付けます。
・心情を直接言葉にせず、場面の状況を描くことで分からせるという手法もありますが、わざとらしくならないよう気を付けましょう。
・文ごとに、誰の目から見て書くのかにも気を付けましょう。(子ども向けの場合は、混乱させないように視点は一つにします)
・登場人物の描写がステレオタイプにならないよう気を付けましょう。
・話の展開にはいくつかの典型的な型があります。これを外したりずらしたりするのも意外性があっておもしろい作品になります。
・後で出てくることに関連する事柄を前もって出しておくと、物語に雰囲気や深みが出ます。
・書き手が伝えたいこと・表したいことがあったとしても、解釈は読み手に委ねられていることがおもしろいところです。

日本人が好きな物語の型に「勧善懲悪」があります。(「遠山の金さん」「水戸黄門」など)
物語の流れはステレオタイプですが、受け手が安心できるというメリットがあります。
幼い子どもが同じ絵本を何度も読むのも、安心できるからです。
現代人は複雑になっているので、単純な人物造形はつまらないと感じることも多いです。
また、途中で結末が見透かされるような物語は、納得できても面白くありません。
物語を書くのはエッセイよりもハードルが高そうですが、書いてみなくては何も始まりません。
どうか皆さん、物語にもチャレンジしてみてください。



前回提出した課題は、「原田マハの『小説版 星守る犬』(双葉文庫)を読んだ感想を書く」でした。
返却された後で、どうだったかディスカッションしました。
良い印象・悪い印象、それぞれの人がいて、「作品は受け手が自由に解釈するもの」が立証された形になりました。
先生が気になったのは、犬が一人称の語りで発する言葉だろうかというところ。(妙に文学的な表現が出てくる)
文章の名手である原田マハだから陥ってしまったのではないかというのです。
これは、大人の小説を書いている作家が、子ども向きのお話を書くときにもよくあることだそうで
誰の視点で書いているかをふまえて、書くようにしましょう。



最後に、朝日新聞のコラム「神戸の、その向こう(平民金子)」と「多事争論(大阪編集局・河合真美江)」を見ていきました。
平民さんのは、以前読んだ回と同じように、息子さんとの日常と昔の記憶が交わる話、
河合さんのは、今の世界の状況をふまえ、ご自身も含め数人の本にまつわる話を書いている。
双方とも時空を超えたいくつかのエピソードが出会い、交差して、一つの文章にストンと収まっていて、参考になります。



今回の課題は、長田弘の『読書からはじまる』(ちくま文庫)の中から
子どもの本に関することが書かれた箇所を読んで、感想文を書いてくる、です。
枚数は自由です。次回7月2日までに仕上げてきてください。
よろしくお願いします。



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