世界経済における中国の実力はますます高まっているため、企業は中国において事業を行うか否かを検討する必要があります。
5.事業範囲
中国では、全ての企業(内資企業または外商投資企業を問わず)は、営業許可証に規定されている事業範囲内で事業を行う必要があります。
一般的に、内資企業は承認可能の事業範囲が広く、法律による特別な企業を除いて、内資企業は法律で承認されている全ての事業に従事することができます。現在、外資系企業は従事できる事業範囲が内資企業のように全面的ではなく、依然として特定の事業のために特定の事業範囲を申請する必要があります。各業種は外国投資を奨励、許可、制限、または禁止するものとして分類されているため、全ての外商投資企業はその事業範囲を詳しく説明する必要があります。例えば、一般的に、半導体製品の製造が承認される外商投資企業は化学製品の製造に従事できません。小売または卸売業に従事する外商投資企業は、第三者の製品を販売することができません(小売または卸売の外商投資企業は法的規制により特定の製品のみを販売できる)が、自分の製品を販売することができます。
さらに、特定の事業活動が外商投資企業が申請された事業範囲内にある場合でも、外商投資企業は続行する前に特別な免許・許可を取得する必要があります。例えば、工業情報化部が発行した免許を取得したことはのみ、基礎電信サービス及び付加価値電信サービスを実施することができます。
日常業務において、取引が中国法律に該当する限り、外商投資企業は他の中国国内外の事業体と商業契約の締結、権限委譲、銀行ローンの取得、販売業者の雇用などを行うことができます。外商投資企業は有限責任会社として独立した法人格を有する法人であり、取引相手たる第三者の責任を独自に負います。外商投資企業は第三者に対する責任がその資本金に限定されており、株主はその出資額に基づき会社に責任を負います。
6.知的財産権
中国において、知的財産権は行政及び司法に保護されています。関連の行政機関は、管轄内の侵害行為に対して行政処分を課すことができ、知的財産権の所有者は中国の裁判所で権利を主張することもできます。
中国は知的財産権に関する国際条約の主要加盟国であり、前述の条約には、ベルヌ条約(著作権の保護)、万国著作権条約、パリ条約(特許権、商標権などの工業所有権の保護)、特許協力条約、マドリッド協定の議定書(商標の保護)が含まれています。中国において、営業秘密(トレードシークレット)は、主に反不正当競争法及び契約法に保護されており、秘密保持契約及び反競争的協定も効果的に実施できます。外資系独資企業に知的財産権の形で投資することも可能ですが、知的財産権の割合は登録資本の20%以下でなければなりません(ハイテク企業の場合は30%)。
7.外国為替
外国為替は中国国内で自由に流通することができません。企業銀行口座に預かった外国為替の限度額以外に、外商投資企業の全ての外貨収入を人民元に換算する必要があります。一方、中国国外で行われた支払いは外貨に換算することができます。外国為替業務を行うことが承認された銀行は毎回送金に必要な書類を確認します。必要な書類を銀行に提出し、適切な税金及び手数料を差し引いた後、輸入の機器・材料の配当金、ライセンス料、代価を中国国外に送金することができます。場合によって、国家外貨管理局(SAFE)またはその地方事務所の承認が必要です。
8.雇用とストックオプション
外商投資企業は中国の労働法及び関連規制に従わなければなりません。医療保険、年金、失業保険、住宅積立金などの社会福利厚生は法定です。雇用主は、関連法律及び規制に従う反競争的協定、秘密保持契約及び知的財産権に関する契約を従業員と締結することができます。
現在、中国の従業員はストックオプションの発行を一般的に受け入れていますが、従業員にはストックオプションを行使する方法はいくつかあります。実際、一部の中国人従業員は、中国国外に預け入れられた資金(またはその家族や親戚の資金)を通じて権利を行使しますが、中国国外に銀行口座を持たないほとんどの中国人従業員は通常キャッシュレス行使を選択します。
9.譲渡と清算
外国人投資家は、外商投資企業の株式を売却または譲渡することで手を引くことができます。外国人投資企業の株式譲渡は、一般的ですが、元承認機関に承認される必要があります。外国人投資家が中国人投資家に株式を譲渡し、その中国人投資家が外商投資企業を内資企業に転換する場合、その内資企業は外国投資法でなく会社法の要件に該当する必要があります。
場合によって、買い手は外商投資企業の資産及び事業を購入する際、売り手は清算及び解散を行う可能性があります。清算が必要な外商投資企業は、第三者に支払うべき賃金、税金、債務を返済してから、残りの資産を持株比率に応じて株主に分配することができます。その場合に、買収者が第三者に対する売り手の責任を引き受けることは回避できます。
投資家は親会社またはその子会社を海外で登録及び上場することを通じてその会社の株式を株式市場で販売することもできます。
10.終わりに
欧米諸国で事業を行うことに慣れている企業は、中国の法制度及びビジネス環境がまったく異なることに気付くでしょう。中国に子会社を設立しようとする投資家及び起業家は、市場のニーズ及び子会社の長期戦略を検討する必要があります。元承認機関の承認を得て、投資家は外商投資企業の清算及び解散手続きを完了した後、外商投資企業を完全に抹消し、残りの資産を海外に分配することができます。
中国の子会社を設立する際、投資家は慎重な計画と設計により、不要なコストを回避し、将来に子会社の資金調達に意外を排除することができます。投資家は、中国のビジネス上の制約及び機会を全面的に理解してから、子会社の設立、運営、清算に意思決定を上手く行うことができます。