はじめに:売上税は、ほとんどの有形商材(tangible products)および一部のサービスに対し、エンドユーザーまたは最終消費者を課税対象として、課せられたものです。
- 売上税改正の歴史的背景について
売上税改正の前、販売者が「課税ネクサス(taxable nexus)」をつくってから州政府は売上税と使用税の納付を請求できます。したがって、売上税の課税対象になるには電子商取引販売者の物理的存在が必要になります。たとえば、州内に事務所やその他の営業所を構えたり従業員を雇ったり不動産を所有したりします。しかし、2018年6月21日に米国最高裁判所がサウスダコタ州のWayfair事件に対し下した判決をきっかけに、新たな経済関係課税原則は生まれました。
Wayfair, Inc.は、日常用品と家具をオンライン販売している大手小売業者で、2017年の純収益が47億ドルを超えました。同社はサウスダコタ州で従業員の雇いも事務所の設立もしておらず、サウスダコタ州も含めて全米の購入者に商品を直接発送しています。最高裁判所は、実体の存在がネクサス(nexus)の成立の要件ではなく、販売者が州での売上高が経済しきい値を超えた時点でネクサスが成立したと考えられる判決を下しました。この判決に基づいて、実体のない販売者がその州での売上高が州政府の規定した経済しきい値を超えたら、その州で経済関係の成立になったと考えられますので、その州に売上税を納付しなければなりません。
2. 重要な概念と注意事項
(1) 閾値の確認
経済関連法(economic nexus laws)を採用した州政府は州のしきい値を規定しました。電子商取引販売者の売上高が規定のしきい値に達してから初めて経済ネクサス(economic nexus)が成立できました。ただし、電子商取引販売者は州での年間売上高が100,000ドルに達した場合または州内での取引数が200回に達したら、同州で経済ネクサスの成立になったのかと確認しなければなりません。たとえば、サウスダコタ州では、2018年11月1日より現暦年または前暦年に売上高が100,000ドルを超え、または取引数が200回以上になったら、同州政府に売上税を申告・納付しなければなりません。又、カリフォルニア州では、2019年4月1日より、現暦年または前暦年に売上高が500,000ドルを超えたら、売上税を申告・納付する義務があります。各州の経済関連しきい値は、州によって異なります。詳細については弊社のコンサルタントにお問い合わせください。
(2) 申告時期について
電子商取引販売者は、しきい値に達しない限り売上税の申告と納付が要りません。
閾値に達したら、電子商取引販売者は州の販売業許可を申請する必要になります。販売業許可には売上税の申告頻度と納付期限を記載してあります。電子商取引を行う転売者や電子卸売業者も転売業許可を申請しなければならないことに注意してください。
経済ネクサスの成立の確定と許可の提出後、エンドユーザー(end user)から売上税の徴収を開始し、規定の申告期間ごとに売上税申告書を提出する必要があります。期限内に申告しなかったまたは売上税を全額納付できなかった場合、登録・納税の遅延に対しペナルティが科せられます。
(3) マーケットプレイスファシリテーターにおける特別な取扱い
電子商取引販売者がAmazon、Shopifyなどのサードパーティマーケットサービスプロバイダーを利用する場合、通常、プラットフォームはエンドユーザー(end user)から売上税を源泉徴収します。AmazonやShopifyなどのプラットフォームは通常、電子商取引販売者の代わりに売上税を計算した上で徴収・納付しますが、すべてのプラットフォームはこのサービスを提供しているわけではないので、ご注意してください。プラットフォームがこのサービスを提供しない場合、電子商取引販売者は引き続き売上税を申告・納付しなければなりません。又、ほとんどの州では、申告された売上高にプラットフォームモールの売上高を入れなければならないと規定されています。
(4) 電子販売者は売上高の状況を常に確認すること
米国国内外の電子商取引販売者は米国で電子商取引を行う場合、経済ネクサスのしきい値に到達したかを常に配慮して、期限内に販売業許可の登録と売上税の申告・納付をしなければなりません。州政府は売上高をしっかり確認できなかった電子商取引販売者に登録と売上税の申告要請の通知を送り、営業開始日に遡って売上税や使用税を徴収すると同時にペナルティを課します。
もう一つの注意点は、販売業許可を登録したら、販売の有無にかかわらず、期限内に売上税と使用税の申告書を提出しなければならないことです。
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