アメリカでは、会社は海外からスタッフを合法的に雇用することができます。ただし、その前提としては、会社は雇用されるスタッフの居住国で現地法人を設立することです。そうでないと、リモートチームを直接的に雇用することはできません。同時に、雇用主はコンプライアンスや税収に関する事項等の要素を慎重に考慮する必要があります。本稿では、米国における会社は米国以外の国又は地域からスタッフを雇用する方法及び税収に関する事項について簡単に説明致します。
1．米国会社が海外からリモートスタッフを雇用する方法
海外からリモートスタッフを雇用するには下記の3つの方法が挙げられます。
(1) スタッフの所属国で現地法人を設立すること
海外からリモートスタッフを採用する最初の流れでは、スタッフの所属国に現地法人を設立することを要求されています。現地法人の設立により、会社が現地の規制機関に正式に登録され、現地の労働法を遵守することになります。同じく重要なのは、採用活動を開始する前に、必要なビザと労働許可をすでに取得していることを確保することす。
(2) 独立請負業者およびフリーランススタッフを依頼・採用すること
2つ目の方法は、外国で請負業者またはフリーランサーを依頼・雇用することです。そうすると、スタッフの所属国で法人を設立する必要がなくなります。ただし、米国会社が請負業者やフリーランサーを依頼・雇用する場合、関連する労働法律を遵守することが不可欠であり、適格な契約書の締結も行わなければなりません。
(3) 雇用代行業者と提携すること
3つ目の方法とは、雇用代行業者 (EOR) と提携することです。EORサービスを利用することで、現地法人を設立することなく世界中で人材を雇用することが可能になります。雇用代行業者が現地における法的な雇用主となり、入社手続き、給与管理、福利厚生の提供といった雇用に関する業務を代行することによって、会社は現地の規制の遵守を確保し、現地法人の設立という面倒な作業を回避することができます。
2．海外からリモートスタッフを雇用する際に伴う税務問題
(1) 海外に居住しているリモートスタッフは米国の税金の対象となりますか?
海外に居住しているリモートスタッフは米国の税金の対象となりません。米国国内の会社に雇用され、報酬を受けていても、リモートスタッフは自分が居住している国の税務上の居住者であるため、現地の税規制の対象となり、米国の税規制を適用しません。また、場合によっては、リモートスタッフの活動により現地では「恒久的施設」とみなされ、現地の法人税が課される可能性があります。
グローバルリモートスタッフを雇用する米国会社は、リモートスタッフの給与から米国の税金を控除したり、そのスタッフの所得を内国歳入庁（IRS）に申告したりする義務はありません。 内国歳入庁の規定によると、非米国居住者の米国以外のところでサービス提供によって獲得される所得は外国源泉所得と判断され、その結果、米国の関連機関に税務申告及び税納付が必要ではありません。
(2) 海外の請負業者に業務依頼を行う場合
内国歳入庁に外国人のステータスを通知・証明するには海外の請負業者は、フォーム W-8BEN （米国源泉税及び報告に関する外国人受益者証明書）を記入し提出しなければなりません。
リモートスタッフを雇用しているか又は独立請負業者に業務を行っているかに関しては明確に区別しなければなりません。給与支払、納税義務、管理方法等においてそれぞれ異なるので、区別は極めて重要です。請負業者を依頼する場合、税金納付及び費用の支払いは請負業者にありますが、リモートスタッフを雇用する場合より管理権限が弱まります。さらに、リモートスタッフを請負業者として誤って分類すると、会社は錯誤が発生した時に遡って税金を徴取され、それによる罰金を課される可能性があります
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