2022年3月15日に発効した2022年経済犯罪(透明性と執行)法(ECTE法)は2022年8月1日に改正され、外国法人登記制度(Register of Overseas Entities)が導入されました。
英国の会社登記所は2022年に外国法人登記制度(以下「ROE」という)を整備し始めました。その目的は、英国不動産を保有している英国の非居住者(すなわち海外の家主)の実質的支配権の透明性を向上させるためです。
ROEはまた、外国人犯罪者を取り締まり、非居住者が英国不動産を通じてマネーロンダリングをすることを防ぐことに役に立ちます。ROEにより、英国不動産の後ろに隠れる海外の所有者は正体を開示する必要があることになりました。犯罪者はペーパーカンパニーのチェーンの後ろに隠れることができなくなり、不動産の所有者の透明性は向上されました。
外国法人は、英国で不動産を所有しようとする場合、土地登記所に不動産の購入を申請する前に、会社登記所に登記される必要があります。重要なのは、会社の実質的支配権を有する者は自分の情報を会社登記所に申告しなければなりません。当該外国法人は登記されていない場合、厳しい罰則が科されます。
会社登記所での登記要件は、1999年1月1日からイングランド又はウェールズの不動産を購入した(又は2014年12月8日からスコットランドの土地を購入した)外国法人にも適用されます。上述の外国法人は2023年1月31日までに登記される必要があります。
外国法人は登録後、英国不動産の購入、売却、譲渡、賃貸、及び不動産の費用の受け取りの際に土地登記所に提出する必要がある外国法人IDを取得します。
ROEの申告義務に従わない外国法人は、毎日2,500ポンド以下の罰金又は5年間以下の懲役に処します。また、英国での不動産の購入、売却、譲渡、賃貸、及び不動産の費用の受け取りが制限されます。
- 英国不動産を所有する外国法人を登記する理由
ロンドンは、インターナショナルかつ理想的な首都として継続的に発展していき、活況を呈している英国の不動産市場を牽引しています。それと国際に向けている開放性のある通貨制度と相まって、金融犯罪の拡大に理想的な条件を作りました。
富裕層の投資者は、オフショア会社を含む法人を通じて、不動産を購入することがよくあります。意図的であろうとなかろうと、結果的に実質的支配者を隠せることになりました。
これは、事業用不動産にも住宅用不動産にも問題となります。2010年以来、外資が所有している住宅用不動産は3倍になり、英国の不動産全体の1%超を占めています。過去10年間で、不動産における外資投資はロンドンにに限ったことではなく、英国全土に広がっています。
2022年3月15日に発効した「2022年経済犯罪(透明性と執行)法」(ECTE法)は2022年8月1日に改正され、外国法人登記制度(Register of Overseas Entities)が導入されました。その目的は、外国人犯罪者を取り締まり、非居住者が英国不動産を通じてマネーロンダリングをすることを防ぐことです。
- 会社登記所に登記すべき法人
ECTE法の規定により、英国不動産を購入しようとする外国法人は、事前に会社登記所に登記し、購入の件について土地登記所に申請する必要があることになりました。
登記を申請する際に、法人は検証、届出の目的で実質的支配者の情報を提供する必要があります。当該情報は会社登記所のウェブサイトに開示されます。
会社登記所での登記要件は、1999年1月1日からイングランド又はウェールズの不動産を購入した(又は2014年12月8日からスコットランドの土地を購入した)外国法人にも適用されます。上述の外国法人は2023年1月31日までに登記される必要があります。
- 実質的支配者
実質的支配者とは、外国法人に対して大きな影響力又は支配権を有する個人又は法人です。具体的には以下の通りです。
(1) 個人
(2) 会社等、別の法人
(3) 政府又は公的機関
(4) 信託の受託者
(5) 所在地の法律による法人格のない組織のメンバー
外国法人又は信託の受益者もしくは管理者、及び英国の非居住者の個人は、1999年1月1日(スコットランドの場合は2014年12月)から所有していた、かつ2022年8月までに売却した不動産について、登記を申請する必要があります。
実質的支配者がおらず、又は実質的支配者を特定できない場合、外国法人は役員の情報を提供する必要があります。役員は、外国法人の取締役、マネージャー、又は秘書役となれます。
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