以前、テキストサイトでUPしてた記事です。
軽く推敲、加筆修正はやってますが、2005年ごろに書いた記事がベースですんで、いろいろとご容赦を(笑)。
レビュー2
こちらでは、おもにお気に入りの回をピックアップして、レビューさせていただきます。
ちなみに、この作品のサブタイトルはすべて漢字2文字になっており(続編の『もっとあぶない刑事』でも)、当時はそれが妙に「おしゃれっぽい」っていうか「小粋っぽい」感じがしましたね。
ただ、「もっと~」も合わせると、合計1年半続いたドラマだっただけに、スタッフとしても考えるのが大変だったでしょうね(笑)。
いや、ただでさえ、サブタイトルって、意外と考えるの難しいうえに、「漢字2文字」という制限つきでしたからね(笑)。当時のスタッフの方たちには、頭が下がります。
まあ、それはともかく。
「お気に入りの回」とはいったもののですね・・・・・・
ただでさえ、全51話であり、「ほとんどすべてが“お気に入り”である」ため、語り尽くせるわけがありません(笑)。
ですんで、もちろん「これら以外にもお気に入りはたくさんある」んですが、ホンットに、「強いて選ぶなら」という観点で、以下の回を厳選しました。
とくに印象深い回はこんな感じです――
まずは第14話「死闘」ですね。
「現金輸送車から3億5千万円が強奪され、『警備員の小堺が共犯』と踏んだユージが、彼の尾行を開始し、最後には廃工場にて、彼が襲撃犯と落ち合った現場を取り押さえるも、もうひとりの共犯に撃たれ、重傷を負ってしまう」――ストーリーはこんな感じです。
レビュー1でも少し書いたけど、序盤のユージはどっかコミカルではあったんだけど、タカ同様、ハードボイルドな面も強くてね。
ただ、タカと比べれば、「かなり“茶目っ気”というものがあり、そのうえ、どっか(いい意味で)汗臭い部分も多分にある」っていう感じでした。
つまりは、ユージは「コミカル:ハードボイルド=5:5」、タカは「コミカル:ハードボイルド=2:8」、「タカが次元ならユージは(1作目の)ルパン」って感じでしたね。
まあ、それが次第に「ユウジ=コミカル:ハードボイルド=7:3」、「タカ=コミカル:ハードボイルド=3:7」くらいになってくんですが(笑)。
ともかく、このころのユウジはまだ「5:5」だったころでね。
銃で撃たれたことから、腹部から出血しちゃって、段々意識が朦朧としてきてさ、そのうえ、じつは弾もなくなってんのに、気力とハッタリで犯人たちを釘付けにして、タカたちの救援を信じて待つ彼の姿は、
「おしゃれでクールながらも、どっか汗臭くて人情味もある」
という、「あぶ刑事最大の魅力を体現している」って感じがして、とくに印象深いですね。
ラストにおける、
タカ「ユージ、待たせたな」
ユージ「おせ~よ~、タカ~・・・」
といった、ふたりのやりとりもよかったです(笑)。
この回は、なんといっても、ユージの魅力が滲み出てた回でしたね。
続きまして、第20話「奪還」。
タカが銀星会に拉致られます。
「銀星会のシャブが元銀星会幹部・尾崎に盗まれる。それにより、銀星会が尾崎の娘・絵里香を狙うと睨んだタカが、ユージとともに、絵里香が遊びにいっている河口湖に急行。無事、彼女を保護するも、やはり銀星会に襲われて・・・」って感じでね。
ちなみに、この絵里香に限らず、あぶ刑事に出てきた女の子って、当たり前だけど、みんな80年代ファッションでね。もう、腿んトコが必要以上に広がってるパンツだったり、あるいは、
“真っピンク”なストッキング
だったりしてね(笑)。いま見ると、あまりの懐かしさに、ついつい笑っちゃいます(笑)。
まあ、それはともかく。
湖畔での銃撃戦はカッコよかったですね~。
まあ、それでも「多勢に無勢」で、やむなくタカがユージに「絵里香を連れていけ」みたいなこといってね、自分は囮として残るんですよ。
で、足を撃たれて、結局・・・
このあと、ユージの報告を受けた近藤課長が、彼を伴って銀星会に乗り込み、
穏やかながらもはっきりとした口調で、「私の部下を殺したら容赦しない」みたいなセリフをいったのが、カッコよかったですね。
普段は癇癪持ちで、どっちかというと、みんなから煙たがられている(まあ、なんだかんだで、慕われてもいるんだけどね)課長が、なんていうか、「大人のカッコよさ」を見せてくれましたね。
銀星会にボコボコにされても、決して屈しなかったタカの精神力もお見事です。
そういえば、タカはやたらと、この銀星会を目の敵にしてましたよね。
「日本最大級(と設定されている)の暴力団に対しても、常に強気で自分自身の正義を貫く」という面も、タカの魅力のひとつでしたね。
まあ、別の回では、銀星会会長に、「あんたなんて、殺ろうと思えばいつでも殺れる」みたいなこといわれて、キレてたりもしましたが(っていうか、このときの銀星会会長のセリフって、じつは現実的にはそのとおりなんだよね。一介の刑事が日本最大級の暴力団に・・・/笑)。
って、ちょっと話がそれちゃいましたね(苦笑)。
まあ、結局、この回は「死闘」のときとは逆に、ユージがタカを救出し、最後は無事ふたりで銀星会の連中に逆襲したうえで、見事逮捕することになります。
タカのハードボイルドな魅力が全開な回でしたね。
で、また「タカ絡み」になっちゃうんですが・・・
第33話「生還」では、彼がシャブづけにされてしまいます。
「シャブの密売人に接触したはいいが、ドジ踏んで逆に捕まり、シャブづけにされたうえで、売買にまで利用されてしまったタカ。その場は何とか逃げることに成功するも・・・」って感じのお話です。
って、よくよく考えると、
タカって、結構拉致られてますよね(笑)。
まあ、「刑事ドラマの宿命」ってやつなんですが(笑)。
それはそうと、この回は、なんといっても、
体内のシャブを抜く際のタカのキレっぷり
がよかったですね。
もう、ホントにタカ、錯乱気味でしたもんね。
シャブの売買の現場から街に出て彷徨ったあげく倒れこんだ彼を、敬子という女性が匿います。で、その家からユージを呼び出したうえで、手錠でベッドにつないでもらい、誰も部屋に入らせずに、ひとり禁断症状と戦うタカ――彼の狂気をも感じさせられた名演出だったと思います。
心配したユージに、「病院いかなくていいのかよ?」なんていわれても、
「そんなみっともない真似ができるか!」
と答えたシーンに、「彼なりのダンディズム」というか「ポリシー」みたいなものを感じさせられましたね。
お次は、第36話「疑惑」。
「現金輸送車が襲撃され(「またかい!」っていうツッコミは却下/笑)、現場に駆けつけたタカとユージが、警ら課の警官たちと犯人を追い詰めるも、警ら課の新田が犯人のひとりを射殺してしまう」――
まあ、結局、新田は査問委員会で「問題を追及しない」ってことになったんですが、その際、彼がタカに向かって口にした「当然です」といったセリフや、あるいは、やはりタカとのやりとり――
タカ「初めて人を撃ったあとは、悩まされるものなんだがな」
新田「悩む必要なんかありませんよ。“社会のダニ”を処分してるんです」
タカ「・・・『正義の味方』にでもなったつもりか?」
新田「もちろんです。「正義」が引き金を引かせるんです」
などといったセリフに、まれに見せる「あぶ刑事のダークな部分」を垣間見ることができますね。
っていうか、この回は、よくよく見てみると、新田の「正義」があまりに歪んだものであるせいか、全体的に結構ダークかもしれません。
まあ、もうひとりの襲撃犯・日野が逃げてたんで(実際は捜査の過程で新田に殺されてたんだが)、この新田ともうひとりの制服警官・九条は捜査に参加してたわけですが、ビビッてイモ引いた九条を新田が変装したうえで撃っちゃうんですよ。
さらには、良心の呵責もあったのか、タカに真相を話そうとした九条を新田は射殺します。
まあ、「新田と九条が手柄を立てるために、襲撃犯ふたりに現金輸送車のルートを教えて犯行を実行させ、それを自分たちが撃った」という自作自演だったんですけどね。
で、それに気づいていたタカは、“陰謀”を企てます。
(おそらくは別件による)拳銃取引の連絡があり、新田を伴って埠頭に向かうタカ。
この現場にて、彼は、援護を命じた新田を置いてひとり突っ込んでいき、
犯人に新田を射殺させ、「出世のための自作自演」などという県警始まって以来の不祥事をもみ消します。
たしか、課長にも報告はしてなかったと思います、この“陰謀”の真相は。まあ、課長も、そして相棒のユージも気づいてはいましたが。
そして最終回の「悪夢」。
「港署に助けを求める電話が入り、吉井と田中は連絡のあった倉庫裏の電話ボックスに向かうが、そこで男の死体を発見する。その男の身辺を調べ始めたタカとユージは、彼を刺した男を見つけ出し、逮捕する。これにより、事件は一件落着と思われたが・・・」――
まず、特筆すべきは、港署が襲撃されます。
って、まあ、それまでも襲撃されたことはあったんですけどね。瞳ちゃんが人質に取られ、課長以下、署の人間全員が留置所に入れられて、それぞれ「外で捜査してた」「仮眠室で寝てた」ために難を逃れてたタカとユージ、そしてカオルに救われるんですが。
ともかく、この回の犯人はそんなまどろっこしい真似も、また、何らかの要求も一切せず、しかもたったひとりで、署内でショットガンを撃ちまくります。
白い帽子を深く被り、同じく白いコートで全身を覆い、無言かつ無表情で、ひたすらショットガンをぶっ放す犯人――彼の「気味の悪さ」を簡潔に強調している演出には脱帽モンであり、また、ちょっと不謹慎ながらも、「警察」という巨大な権力に向かって銃を乱射し、署内を破壊していく光景には、ある種の爽快感をも覚えましたね。
まあ、そんだけの発砲事件であったにもかかわらず、
「港署内では、死傷者がひとりも出なかった」っていうのは、ご愛嬌ってことで(笑)。
ほかのトコでは重傷を負わされた警察官が何人かいましたけどね(それでも死人は出てない)。
まあ、それはいいとして。
この犯人っていうのが、
それこそ“亡霊”の如く、神出鬼没
でしてね。タカ&ユージも追い詰めはするんだけど、逆に追い詰められたりもして・・・
ちなみに、最終回ってこともあって、このときもタカが「バイク追撃」を見せてくれましてね。
まあ、「右手で撃ってる以上、エンブレが効きまくって、ターゲットから離れていっちゃうんじゃ・・・?」なんてツッコミどころもなくはないんですが(笑)、やはり彼のこの「バイク追撃」は最後までカッコよかっですねぇ。「タカと犯人が対峙した時点で一度止め、双方がそれぞれバイクと車を走らせたトコで、再度イントロからかけ直した」といった挿入歌の流し方もよかったですね。
それはともかく、「追い詰めてもすぐに消えてしまう」「そのくせ、予想もしない所から現れ、自分たちを何度も危機に陥れる」といった状況に、さすがのふたりもかなりの危機感を抱きます。
正体は不明。そして、亡霊のように、現れては消え、消えては現れる犯人・・・
そんな手の打ちようがない状況に、タカはユージに対してこう呟きます――
「ユージ・・・“逮捕”はあきらめよう」
無論、ユージは一瞬、疑問に思い、「あん?」と呟くのですが、それを見越していたかのように、タカは自らの言葉を補足します。
「“退治”するんだよ」
――この瞬間、ふたりは「犯人の射殺」を決意します。
こんときのふたりは、やっぱカッコよかったですね~・・・
タカによる「“退治”するんだよ」といった不敵なセリフといい、「待ってました」とばかりにその策に乗るユージの「イケイケぶり」といい・・・
それに、ただカッコいいだけでなく、「ふたりの役割分担」みたいなものを最後の最後まで印象に残してくれましたよね。
「策を立てるタカ(それでいて、自らも動く)」に「その策を全面的に信頼し、何の躊躇もなしに自分の実力をフルに発揮するユージ(それでいて、『考えなしの無鉄砲』ってわけではない)」っていうふたりの個性が、如何なく発揮されていたと思います。
で、まあ、クルーザーで海に逃げながら発砲してくる犯人に対し、ふたりが反撃に撃った弾が命中し、犯人はまるで消滅するかのように海の中へと落ちていくわけですが・・・
そのあと、ふたりは埠頭で静かに海を眺めながら、「(あの犯人は)結局、なんだったんだろうか?」みたいなことを、自分たちなりに考えてみたりします。
あるいは、「知らぬうちに、数多くの恨みを買ってしまっている警察に対する怨念」のようなものなのかもしれない――そういえば、人質を取った強盗犯を追っていた最中だったとはいえ、自分たちも(前述の)「助けを求める通報」を無線で知らされてはいたのだが、その電話ボックスを無視して通過していた・・・
ユージ「怖くなったんじゃねぇのか?」
タカ「なにが?」
ユージ「刑事の仕事」
タカ「全然。おまえは?」
ユージ「こんな楽しい“遊び”はないね」
タカ「ロクな死に方しないぞ」
ユージ「タカもな」
そしてラストシーン――
ガッン!
――素早く体を反転させ、海に向かって銃を撃つふたり。
やっぱ最後のやりとりと、「ラスト・ショット」はカッコよかったですね。
まあ、後者は無難といえば無難な終わらせ方なんですが(笑)、前者のやりとりは、なんていうか「不敵、クール、そしてどっか小粋な物言いを好むタカとユージらしい、このふたりにしか似合わないやりとり」って感じがして、それを最後の最後まで見せてくれたのは、ファンとしてはうれしかったですね。
「名作」っていうのは「終わらせ方」まで求められちゃうモンだと思いますが、このあぶ刑事の最終回は、充分に及第点はいってると思います。
この作品が好きだったもうひとつの理由に、「舞台が地元横浜だから」というのもありましたね(1回、ホントに家の近くのレストランがドラマで使われたときは、なんか妙にうれしかった/笑)。
さすがに、ドラマの舞台となった場所をわさわざ見に行くことは、あまりなかったけどさ、やっぱ「自分の知ってる場所、いったことのある場所が舞台に」っていうのは、ちょっとうれしいもんです(笑)。
それに、いまとなっては、作品を通して80年代の古きよき横浜を見ることができるし。
あぶ刑事で舞台となった場所は、「土地」や「施設」に関しては、結構いまでも残ってます。
山下公園やマリン・タワー、外人墓地はもちろんのこと、あのきったねぇ運河(笑)や、あるいは赤レンガの倉庫まで。
ただ、「あぶ刑事」で使われた「店」――バーやブティックやらディスコやらは、もうほとんど残ってないようです。
って・・・・・・
「ブティック」とか「ディスコ」やらは、言葉自体が・・・(笑)
もうすっかり死語ですもんね(笑)。
それはそうと、そういう意味では、いまの横浜は、「あぶ刑事の雰囲気」はいくらか残ってるものの、「タカやユージたちが出入りしてたおしゃれな店にいって、その店で当時を偲ぶ」というのは、ほとんど不可能になっています。
まあ、たまに横浜駅周辺の運河を何気なく見てると、やっぱり「あぶ刑事」や「80年代後半の横浜という街」に思いを馳せたり、あるいは当時の自分を思い出して、心の中でクスッと笑ってしまったりしますけどね。
って、あんまり長い時間、街中で浸ってると、「ヤバい奴」と思われそうなんで、ハッと我に返ったりもするんですが(笑)。
ともかく、振り返ってみると、「あぶ刑事」の時代の横浜って、すっごいよかったなぁ・・・
いや、いまの横浜も好きだけどさ、やっぱ80年代ってのは、「70年代以前の古い文化や慣習と、90年代以降の新しいそれらが入り混じった、ちょうど分岐となった時代」であってさ、もちろん、双方の悪い部分もあったけど、双方のいい部分も入り混じってて、幕末の開港以来、常に「古いものと新しいものが共存、同居している街」である横浜としては、
「最も“らしい”時代であり、個性が発揮された時代」
だったと思うんですよねぇ・・・
月並みな言葉だけど、できることなら、もう一度、あの時代の横浜にいってみたいものです。
向こう側の角から、いまにもタカやユージが勢いよく走り抜けてくるような雰囲気さえあった、あの時代の横浜に・・・
ここからは、完全新規記事です。
そういえば、いまやってる「ネメシス」というドラマ(広瀬すず、櫻井翔主演)で、あぶ刑事のパロディがありますね(笑)。
主演のふたりは探偵ですが(櫻井翔=風真が探偵で、広瀬すず=アンナが助手。って、風真はポンコツ探偵で、アンナが代わりに推理して、コナン君よろしく、風間に説明させるんですが/笑)、横浜が舞台ということで、神奈川県警の刑事にタカとユージがいてね(笑)。
千曲鷹弘と四万十勇次を勝地涼と中村蒼が演じてます。
このふたりが、本家に影響されたような出で立ちと言動でね(あ、伝説の刑事たちに憧れているだけではなく、ちゃんと捜査もやってます/笑)。ただ、本家とは異なり、こっちはタカが熱いタイプで、ユージがクールなタイプになってるかな?
また、
ユージ「殺人の容疑は晴れても、詐欺の容疑はある。(妹に)お別れをいってこい」
タカ「メソメソしてんじゃねぇぞ。兄貴なんだろ」
といった台詞も、本家なら逆だったかな。
まあ、それでも、あぶ刑事ファンとしてはうれしいですね(あぶ刑事は昔からパロディが多いので、我々ファンとしては、パロディには嫌悪感を抱かないものです/笑)。タカは結構、銃を撃ってくれるし(笑)。
そして、このふたりの後輩に「カオル」と呼ばれる女刑事もいます。ただ、こっちはとくに影響されていないのか、「下の名前で呼ばないでください」なんて、文句いうことも。
さらには、このドラマには仲村トオルが出てます(笑)。なんでも、「ふたり(勝地涼と中村蒼)の演技には、どうしても厳しい目を向けてしまう」とか(笑)。まあ、仲村トオルは、刑事役ではありませんが。
最終回、舘ひろしと柴田恭兵も、ゲストで出てくんねぇかな(笑)。
軽く推敲、加筆修正はやってますが、2005年ごろに書いた記事がベースですんで、いろいろとご容赦を(笑)。
あぶない刑事(1986~87・日本テレビ系列・東映・セントラルアーツ)
レビュー2
こちらでは、おもにお気に入りの回をピックアップして、レビューさせていただきます。
ちなみに、この作品のサブタイトルはすべて漢字2文字になっており(続編の『もっとあぶない刑事』でも)、当時はそれが妙に「おしゃれっぽい」っていうか「小粋っぽい」感じがしましたね。
ただ、「もっと~」も合わせると、合計1年半続いたドラマだっただけに、スタッフとしても考えるのが大変だったでしょうね(笑)。
いや、ただでさえ、サブタイトルって、意外と考えるの難しいうえに、「漢字2文字」という制限つきでしたからね(笑)。当時のスタッフの方たちには、頭が下がります。
まあ、それはともかく。
「お気に入りの回」とはいったもののですね・・・・・・
ただでさえ、全51話であり、「ほとんどすべてが“お気に入り”である」ため、語り尽くせるわけがありません(笑)。
ですんで、もちろん「これら以外にもお気に入りはたくさんある」んですが、ホンットに、「強いて選ぶなら」という観点で、以下の回を厳選しました。
とくに印象深い回はこんな感じです――
まずは第14話「死闘」ですね。
「現金輸送車から3億5千万円が強奪され、『警備員の小堺が共犯』と踏んだユージが、彼の尾行を開始し、最後には廃工場にて、彼が襲撃犯と落ち合った現場を取り押さえるも、もうひとりの共犯に撃たれ、重傷を負ってしまう」――ストーリーはこんな感じです。
レビュー1でも少し書いたけど、序盤のユージはどっかコミカルではあったんだけど、タカ同様、ハードボイルドな面も強くてね。
ただ、タカと比べれば、「かなり“茶目っ気”というものがあり、そのうえ、どっか(いい意味で)汗臭い部分も多分にある」っていう感じでした。
つまりは、ユージは「コミカル:ハードボイルド=5:5」、タカは「コミカル:ハードボイルド=2:8」、「タカが次元ならユージは(1作目の)ルパン」って感じでしたね。
まあ、それが次第に「ユウジ=コミカル:ハードボイルド=7:3」、「タカ=コミカル:ハードボイルド=3:7」くらいになってくんですが(笑)。
ともかく、このころのユウジはまだ「5:5」だったころでね。
銃で撃たれたことから、腹部から出血しちゃって、段々意識が朦朧としてきてさ、そのうえ、じつは弾もなくなってんのに、気力とハッタリで犯人たちを釘付けにして、タカたちの救援を信じて待つ彼の姿は、
「おしゃれでクールながらも、どっか汗臭くて人情味もある」
という、「あぶ刑事最大の魅力を体現している」って感じがして、とくに印象深いですね。
ラストにおける、
タカ「ユージ、待たせたな」
ユージ「おせ~よ~、タカ~・・・」
といった、ふたりのやりとりもよかったです(笑)。
この回は、なんといっても、ユージの魅力が滲み出てた回でしたね。
続きまして、第20話「奪還」。
タカが銀星会に拉致られます。
「銀星会のシャブが元銀星会幹部・尾崎に盗まれる。それにより、銀星会が尾崎の娘・絵里香を狙うと睨んだタカが、ユージとともに、絵里香が遊びにいっている河口湖に急行。無事、彼女を保護するも、やはり銀星会に襲われて・・・」って感じでね。
ちなみに、この絵里香に限らず、あぶ刑事に出てきた女の子って、当たり前だけど、みんな80年代ファッションでね。もう、腿んトコが必要以上に広がってるパンツだったり、あるいは、
“真っピンク”なストッキング
だったりしてね(笑)。いま見ると、あまりの懐かしさに、ついつい笑っちゃいます(笑)。
まあ、それはともかく。
湖畔での銃撃戦はカッコよかったですね~。
まあ、それでも「多勢に無勢」で、やむなくタカがユージに「絵里香を連れていけ」みたいなこといってね、自分は囮として残るんですよ。
で、足を撃たれて、結局・・・
このあと、ユージの報告を受けた近藤課長が、彼を伴って銀星会に乗り込み、
穏やかながらもはっきりとした口調で、「私の部下を殺したら容赦しない」みたいなセリフをいったのが、カッコよかったですね。
普段は癇癪持ちで、どっちかというと、みんなから煙たがられている(まあ、なんだかんだで、慕われてもいるんだけどね)課長が、なんていうか、「大人のカッコよさ」を見せてくれましたね。
銀星会にボコボコにされても、決して屈しなかったタカの精神力もお見事です。
そういえば、タカはやたらと、この銀星会を目の敵にしてましたよね。
「日本最大級(と設定されている)の暴力団に対しても、常に強気で自分自身の正義を貫く」という面も、タカの魅力のひとつでしたね。
まあ、別の回では、銀星会会長に、「あんたなんて、殺ろうと思えばいつでも殺れる」みたいなこといわれて、キレてたりもしましたが(っていうか、このときの銀星会会長のセリフって、じつは現実的にはそのとおりなんだよね。一介の刑事が日本最大級の暴力団に・・・/笑)。
って、ちょっと話がそれちゃいましたね(苦笑)。
まあ、結局、この回は「死闘」のときとは逆に、ユージがタカを救出し、最後は無事ふたりで銀星会の連中に逆襲したうえで、見事逮捕することになります。
タカのハードボイルドな魅力が全開な回でしたね。
で、また「タカ絡み」になっちゃうんですが・・・
第33話「生還」では、彼がシャブづけにされてしまいます。
「シャブの密売人に接触したはいいが、ドジ踏んで逆に捕まり、シャブづけにされたうえで、売買にまで利用されてしまったタカ。その場は何とか逃げることに成功するも・・・」って感じのお話です。
って、よくよく考えると、
タカって、結構拉致られてますよね(笑)。
まあ、「刑事ドラマの宿命」ってやつなんですが(笑)。
それはそうと、この回は、なんといっても、
体内のシャブを抜く際のタカのキレっぷり
がよかったですね。
もう、ホントにタカ、錯乱気味でしたもんね。
シャブの売買の現場から街に出て彷徨ったあげく倒れこんだ彼を、敬子という女性が匿います。で、その家からユージを呼び出したうえで、手錠でベッドにつないでもらい、誰も部屋に入らせずに、ひとり禁断症状と戦うタカ――彼の狂気をも感じさせられた名演出だったと思います。
心配したユージに、「病院いかなくていいのかよ?」なんていわれても、
「そんなみっともない真似ができるか!」
と答えたシーンに、「彼なりのダンディズム」というか「ポリシー」みたいなものを感じさせられましたね。
お次は、第36話「疑惑」。
「現金輸送車が襲撃され(「またかい!」っていうツッコミは却下/笑)、現場に駆けつけたタカとユージが、警ら課の警官たちと犯人を追い詰めるも、警ら課の新田が犯人のひとりを射殺してしまう」――
まあ、結局、新田は査問委員会で「問題を追及しない」ってことになったんですが、その際、彼がタカに向かって口にした「当然です」といったセリフや、あるいは、やはりタカとのやりとり――
タカ「初めて人を撃ったあとは、悩まされるものなんだがな」
新田「悩む必要なんかありませんよ。“社会のダニ”を処分してるんです」
タカ「・・・『正義の味方』にでもなったつもりか?」
新田「もちろんです。「正義」が引き金を引かせるんです」
などといったセリフに、まれに見せる「あぶ刑事のダークな部分」を垣間見ることができますね。
っていうか、この回は、よくよく見てみると、新田の「正義」があまりに歪んだものであるせいか、全体的に結構ダークかもしれません。
まあ、もうひとりの襲撃犯・日野が逃げてたんで(実際は捜査の過程で新田に殺されてたんだが)、この新田ともうひとりの制服警官・九条は捜査に参加してたわけですが、ビビッてイモ引いた九条を新田が変装したうえで撃っちゃうんですよ。
さらには、良心の呵責もあったのか、タカに真相を話そうとした九条を新田は射殺します。
まあ、「新田と九条が手柄を立てるために、襲撃犯ふたりに現金輸送車のルートを教えて犯行を実行させ、それを自分たちが撃った」という自作自演だったんですけどね。
で、それに気づいていたタカは、“陰謀”を企てます。
(おそらくは別件による)拳銃取引の連絡があり、新田を伴って埠頭に向かうタカ。
この現場にて、彼は、援護を命じた新田を置いてひとり突っ込んでいき、
犯人に新田を射殺させ、「出世のための自作自演」などという県警始まって以来の不祥事をもみ消します。
たしか、課長にも報告はしてなかったと思います、この“陰謀”の真相は。まあ、課長も、そして相棒のユージも気づいてはいましたが。
そして最終回の「悪夢」。
「港署に助けを求める電話が入り、吉井と田中は連絡のあった倉庫裏の電話ボックスに向かうが、そこで男の死体を発見する。その男の身辺を調べ始めたタカとユージは、彼を刺した男を見つけ出し、逮捕する。これにより、事件は一件落着と思われたが・・・」――
まず、特筆すべきは、港署が襲撃されます。
って、まあ、それまでも襲撃されたことはあったんですけどね。瞳ちゃんが人質に取られ、課長以下、署の人間全員が留置所に入れられて、それぞれ「外で捜査してた」「仮眠室で寝てた」ために難を逃れてたタカとユージ、そしてカオルに救われるんですが。
ともかく、この回の犯人はそんなまどろっこしい真似も、また、何らかの要求も一切せず、しかもたったひとりで、署内でショットガンを撃ちまくります。
白い帽子を深く被り、同じく白いコートで全身を覆い、無言かつ無表情で、ひたすらショットガンをぶっ放す犯人――彼の「気味の悪さ」を簡潔に強調している演出には脱帽モンであり、また、ちょっと不謹慎ながらも、「警察」という巨大な権力に向かって銃を乱射し、署内を破壊していく光景には、ある種の爽快感をも覚えましたね。
まあ、そんだけの発砲事件であったにもかかわらず、
「港署内では、死傷者がひとりも出なかった」っていうのは、ご愛嬌ってことで(笑)。
ほかのトコでは重傷を負わされた警察官が何人かいましたけどね(それでも死人は出てない)。
まあ、それはいいとして。
この犯人っていうのが、
それこそ“亡霊”の如く、神出鬼没
でしてね。タカ&ユージも追い詰めはするんだけど、逆に追い詰められたりもして・・・
ちなみに、最終回ってこともあって、このときもタカが「バイク追撃」を見せてくれましてね。
まあ、「右手で撃ってる以上、エンブレが効きまくって、ターゲットから離れていっちゃうんじゃ・・・?」なんてツッコミどころもなくはないんですが(笑)、やはり彼のこの「バイク追撃」は最後までカッコよかっですねぇ。「タカと犯人が対峙した時点で一度止め、双方がそれぞれバイクと車を走らせたトコで、再度イントロからかけ直した」といった挿入歌の流し方もよかったですね。
それはともかく、「追い詰めてもすぐに消えてしまう」「そのくせ、予想もしない所から現れ、自分たちを何度も危機に陥れる」といった状況に、さすがのふたりもかなりの危機感を抱きます。
正体は不明。そして、亡霊のように、現れては消え、消えては現れる犯人・・・
そんな手の打ちようがない状況に、タカはユージに対してこう呟きます――
「ユージ・・・“逮捕”はあきらめよう」
無論、ユージは一瞬、疑問に思い、「あん?」と呟くのですが、それを見越していたかのように、タカは自らの言葉を補足します。
「“退治”するんだよ」
――この瞬間、ふたりは「犯人の射殺」を決意します。
こんときのふたりは、やっぱカッコよかったですね~・・・
タカによる「“退治”するんだよ」といった不敵なセリフといい、「待ってました」とばかりにその策に乗るユージの「イケイケぶり」といい・・・
それに、ただカッコいいだけでなく、「ふたりの役割分担」みたいなものを最後の最後まで印象に残してくれましたよね。
「策を立てるタカ(それでいて、自らも動く)」に「その策を全面的に信頼し、何の躊躇もなしに自分の実力をフルに発揮するユージ(それでいて、『考えなしの無鉄砲』ってわけではない)」っていうふたりの個性が、如何なく発揮されていたと思います。
で、まあ、クルーザーで海に逃げながら発砲してくる犯人に対し、ふたりが反撃に撃った弾が命中し、犯人はまるで消滅するかのように海の中へと落ちていくわけですが・・・
そのあと、ふたりは埠頭で静かに海を眺めながら、「(あの犯人は)結局、なんだったんだろうか?」みたいなことを、自分たちなりに考えてみたりします。
あるいは、「知らぬうちに、数多くの恨みを買ってしまっている警察に対する怨念」のようなものなのかもしれない――そういえば、人質を取った強盗犯を追っていた最中だったとはいえ、自分たちも(前述の)「助けを求める通報」を無線で知らされてはいたのだが、その電話ボックスを無視して通過していた・・・
ユージ「怖くなったんじゃねぇのか?」
タカ「なにが?」
ユージ「刑事の仕事」
タカ「全然。おまえは?」
ユージ「こんな楽しい“遊び”はないね」
タカ「ロクな死に方しないぞ」
ユージ「タカもな」
そしてラストシーン――
ガッン!
――素早く体を反転させ、海に向かって銃を撃つふたり。
やっぱ最後のやりとりと、「ラスト・ショット」はカッコよかったですね。
まあ、後者は無難といえば無難な終わらせ方なんですが(笑)、前者のやりとりは、なんていうか「不敵、クール、そしてどっか小粋な物言いを好むタカとユージらしい、このふたりにしか似合わないやりとり」って感じがして、それを最後の最後まで見せてくれたのは、ファンとしてはうれしかったですね。
「名作」っていうのは「終わらせ方」まで求められちゃうモンだと思いますが、このあぶ刑事の最終回は、充分に及第点はいってると思います。
この作品が好きだったもうひとつの理由に、「舞台が地元横浜だから」というのもありましたね(1回、ホントに家の近くのレストランがドラマで使われたときは、なんか妙にうれしかった/笑)。
さすがに、ドラマの舞台となった場所をわさわざ見に行くことは、あまりなかったけどさ、やっぱ「自分の知ってる場所、いったことのある場所が舞台に」っていうのは、ちょっとうれしいもんです(笑)。
それに、いまとなっては、作品を通して80年代の古きよき横浜を見ることができるし。
あぶ刑事で舞台となった場所は、「土地」や「施設」に関しては、結構いまでも残ってます。
山下公園やマリン・タワー、外人墓地はもちろんのこと、あのきったねぇ運河(笑)や、あるいは赤レンガの倉庫まで。
ただ、「あぶ刑事」で使われた「店」――バーやブティックやらディスコやらは、もうほとんど残ってないようです。
って・・・・・・
「ブティック」とか「ディスコ」やらは、言葉自体が・・・(笑)
もうすっかり死語ですもんね(笑)。
それはそうと、そういう意味では、いまの横浜は、「あぶ刑事の雰囲気」はいくらか残ってるものの、「タカやユージたちが出入りしてたおしゃれな店にいって、その店で当時を偲ぶ」というのは、ほとんど不可能になっています。
まあ、たまに横浜駅周辺の運河を何気なく見てると、やっぱり「あぶ刑事」や「80年代後半の横浜という街」に思いを馳せたり、あるいは当時の自分を思い出して、心の中でクスッと笑ってしまったりしますけどね。
って、あんまり長い時間、街中で浸ってると、「ヤバい奴」と思われそうなんで、ハッと我に返ったりもするんですが(笑)。
ともかく、振り返ってみると、「あぶ刑事」の時代の横浜って、すっごいよかったなぁ・・・
いや、いまの横浜も好きだけどさ、やっぱ80年代ってのは、「70年代以前の古い文化や慣習と、90年代以降の新しいそれらが入り混じった、ちょうど分岐となった時代」であってさ、もちろん、双方の悪い部分もあったけど、双方のいい部分も入り混じってて、幕末の開港以来、常に「古いものと新しいものが共存、同居している街」である横浜としては、
「最も“らしい”時代であり、個性が発揮された時代」
だったと思うんですよねぇ・・・
月並みな言葉だけど、できることなら、もう一度、あの時代の横浜にいってみたいものです。
向こう側の角から、いまにもタカやユージが勢いよく走り抜けてくるような雰囲気さえあった、あの時代の横浜に・・・
ここからは、完全新規記事です。
そういえば、いまやってる「ネメシス」というドラマ(広瀬すず、櫻井翔主演)で、あぶ刑事のパロディがありますね(笑)。
主演のふたりは探偵ですが(櫻井翔=風真が探偵で、広瀬すず=アンナが助手。って、風真はポンコツ探偵で、アンナが代わりに推理して、コナン君よろしく、風間に説明させるんですが/笑)、横浜が舞台ということで、神奈川県警の刑事にタカとユージがいてね(笑)。
千曲鷹弘と四万十勇次を勝地涼と中村蒼が演じてます。
このふたりが、本家に影響されたような出で立ちと言動でね(あ、伝説の刑事たちに憧れているだけではなく、ちゃんと捜査もやってます/笑)。ただ、本家とは異なり、こっちはタカが熱いタイプで、ユージがクールなタイプになってるかな?
また、
ユージ「殺人の容疑は晴れても、詐欺の容疑はある。(妹に)お別れをいってこい」
タカ「メソメソしてんじゃねぇぞ。兄貴なんだろ」
といった台詞も、本家なら逆だったかな。
まあ、それでも、あぶ刑事ファンとしてはうれしいですね(あぶ刑事は昔からパロディが多いので、我々ファンとしては、パロディには嫌悪感を抱かないものです/笑)。タカは結構、銃を撃ってくれるし(笑)。
そして、このふたりの後輩に「カオル」と呼ばれる女刑事もいます。ただ、こっちはとくに影響されていないのか、「下の名前で呼ばないでください」なんて、文句いうことも。
さらには、このドラマには仲村トオルが出てます(笑)。なんでも、「ふたり(勝地涼と中村蒼)の演技には、どうしても厳しい目を向けてしまう」とか(笑)。まあ、仲村トオルは、刑事役ではありませんが。
最終回、舘ひろしと柴田恭兵も、ゲストで出てくんねぇかな(笑)。
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