隠れ家-かけらの世界-

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タイムスリップ~『ビートルズ GET BACK ルーフトップコンサート』

2022年02月11日 19時55分21秒 | 音楽

2022.02.09
映画『ビートルズ GET BACK ルーフトップコンサート』
   THE BEATLES  GET BACK ROOFTOP CONCERT
  at TOHOシネマズ ららぽーと横浜



  

 どうしても大画面で観たくて、早めの夕飯をとってから駆けつける。
 横浜線の鴨井駅から徒歩7分くらい? 
 暗くてよく見えなかったけれど、かなりの川幅の鶴見川を渡り、夜風が冷たいなあと暗い静かな道を歩いた先に見えたのが、ららぽーと横浜。
 ここは車で来る人が大半なんだろうなあ、終演後、案内板には数か所ある駐車場への通路ばかりで、「JR 横浜線の鴨井駅方面」へ戻りたくてもよくわからなかったし・・・。
 ま、そんなことはどうでもいいか。

 後方の端っこの席に座ったら、まわりは思ったよりも高齢の男性たちと、中高年のカップルと、20~30代の若者。
 こういう構成の客席は経験なかったので、ちょっとお尻がむずがゆかったけれど、大画面からクリアな画像と音声が聴こえてきて、すべての余計な感情が、どこかに飛んでいきました。

 彼らの出会いとリヴァプール時代、人気が出て、それが巨大化していくさま、アメリカでの狂乱、ジョンの発言、コンサートをやめてレコーディングにこもっていく過程、がドキュメンタリー映画風にスピーディーに、そしてシンプルな解説で紹介され、1969年1月30日のルーフトップコンサートへとつながる。
 IMAXならではの音に感動する。まさにライブ!という感じ。
 並び立つジョンとポールのオーラとチャーミングなリアクション、斜めに向かうジョージのギター、バックで穏やかな笑顔でプレイするリンゴ。
 ビリー・プレストンの巧みな指先の映像。よい仕事をされています。
 近くのビルの屋上や、下の道路でライブを楽しんだり、目をひそめたりする人たちの「今」、交渉に明け暮れる若い警官とのやりとり。
 配信とは異なる高揚感で、やはり思い切って出かけてよかったと思いつつ、帰りの電車に揺られる。



 これは、映画『LET IT BE』のいわゆる海賊版?
 弟が所有していたもので、どうやって手に入れたかは、もう確かめることもできない。

 若いときに映画を見た私と相方の感想は、見事に相反する。
 バンド末期の4人の暗い雰囲気が脳裏に残っている私と、「バンドとして思ったより仲よくセッションしてたよ」と言う相方。
 それは海賊版を見てもあまり変わらなかったなあ。
 今は何でも、海外のことだって、ネットで瞬時に情報を得られる。でもあのころは違った。
 洋楽に詳しい大人たちは正確な情報を手にしていたかもしれないけれど、まだまだだった私なんかは、解散後にリリースされたアルバム『Let It Be』に収録された大部分の曲が、『Abbey Road』より前に録音されたものだなんて、知っていたんだろうか? あとで知ったんだろうか? それがもう定かじゃない。
 だからなのか、『Let It Be』は長いこと、好きじゃないアルバムだった。
 今は大好きな「Get Back」も「Don't Let Me Down」も、ずっとあとになって胸に届くようになったんだ。

 だから、今回の配信『The Beatles : Get Back』を観て、彼らが疲弊したり、諍いを繰り返したり、シニカルなやりとりをしつつも、音楽を作り、セッションを楽しみ、ジョークをとばしていた映像を目の当たりにして、とてもうれしかった。
 なんだ、普通に「バンド」じゃないか、デビューのころの初々しさや「単純な」信頼関係はふつうに薄れたのかもしれないけれど、「単純じゃないもの」が自然に生まれて、やっぱり楽しそうじゃないか。
 それでも、離れたものを再び同じレールの上に乗せることはできずに、『Get Back』がアルバムになることはなく、解散後にアルバム『Let It Be』としてリリースされることになる。

 最後のライブ、ルーフトップコンサートでは、「Get Back」「Don't Let Me Down」「I've Got a Feeling」が文句なしにカッコいいし、「One After 909」がわくわくさせる。
 視線が合いそうで合わないツートップのパフォーマンスは限りなくセクシーで、最強だ。
 隣のビルの屋根にいる人とのやりとり、若い警官が「外で録音しても無駄でしょう」「30件も抗議がきている」と言い、困惑の表情を見せる、「ビートルズ? いいね、曲も服もいいね。だけどちょっと騒がしい」、娘さんが結婚したいと言ったら?に「いいね、金持ちだから」と笑った老紳士、「コンサートが見たいわ」と言った若い女性、「なんなの、これは!」と怒っていた女性。
 彼らの演奏とかぶせて、人々の言葉や表情がまさしくライブだ。
 混乱を引き起こしつつ、こうやってさまざまなことを社会に提示して、批判も浴び、それ以上の共感も得て、彼らは時代の先頭を走って、足並みは複雑なリズムを刻むようになり、そうして60年代が終わって70年になったばかりで、「解散!」となった。

 初期のころのキャッチーでかわいい小作品も含めて、「私のプレイリスト」にあるビートルズの曲たちを聴きながら、あの頃、わからなかったことを、もう会えない人たちとの会話を思い出しながら、ああだこうだと一人語りする夜もいいかもしれない。
 そんなことを思っている。


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