隠れ家-かけらの世界-

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「極刑を!」と単純に締める番組~日テレ「スッキリ」

2006年04月18日 14時26分27秒 | テレビにプチコメント
■視聴者をバカにしてると思うよ。

 今朝、またまた徹夜明けで、日テレの朝の情報番組「スッキリ」観てしまった…(この前さんざん言いたい放題やったのに、実は好きなんじゃない?とか思われそう。そんなことは絶対にないです、って強調するところが怪しい?)。
 今朝は光市で起きた若い母子の強姦殺人の裁判が取り上げられていた。この裁判では、前回、被告人の弁護士が他の業務のために欠席したことで(理由はどうであれ、この件は被害者の遺族の皆さんの心情云々以前にひどいことだと思う)、それに関しての弁護士の会見が行われたらしい。
 この事件は被害者の夫をはじめとする遺族がメディアに対して怒りや憤りをきちんと表明し、「極刑を」という意志を伝え、そのやりきれない思いを一般の人たちも受け止めている。その心中を第三者が安易に書き表すことは傲慢だし失礼なことだと思っている。なんの罪もない妻や幼い子どもを失い、夫や遺族のやりばのない思いを私なりに想像するするしかない。「極刑を」と望む気持ちも、彼らの中ではきっと報道されるものよりももっと複雑だろうし深いものだろうと受け止めている。
 私が今朝思ったのは、そういう遺族の思いではなく、たとえ「報道番組」ではないにしても(あれは絶対に「報道」じゃないし)一応は「情報番組」と言われている番組で、あんなに薄っぺらく「死刑」について語り合っていいのかな、ということ。
 視聴者はバカじゃないから、みんなそれぞれにいろいろなことを感じたり考えたりしているはず。凶悪な事件、特にいたいけな子どもたちが犠牲になる事件が増えて、怒りを爆発させ、「目には目でしょ!」と思っている人もいるだろう。池田山小学校事件のように、なんだか訳がわからぬままに死刑が確定して刑が執行されて、「あれでは遺族もやりきれないんじゃないかな」と心を痛めている人だっているだろう。
 さまざまな裁判結果を見聞きして疑問を抱いた子どもの「ねえ、お母さん。人を何人殺したら死刑になるの?」「悪いことをした人はみんな死んじゃえばいいのにね」という言葉に、なんと答えたらいいのか悩んでいる母親だっているだろう。
 きっと遺族の捉え方だって千差万別だろう。「早く死刑に」と思っている人ももちろんいるだろうし、我が子がなぜこんな目にあわなければならなかったのかを知りたい、という思いから、被告である犯人の内面を納得がいくまで明らかにしてほしいと望む遺族もいるにちがいない。
 私自身も正直なところ、揺れる気持ちを抱いたままだ。ある意味、生きて罪をつぐなうことのほうが意味があるようにも思えたこともあったし、国家が法のもとに殺人を執行していの?という甘っちょろい思いもある。不幸な生い立ちを思えば、更生する可能性だってあるんじゃないの?と言えば、「どんなにひどい状況のもとで育っても立派に生きている人だっているじゃない」と反論されてしまうだろう。「遺族じゃないから、そんな悠長なことが言えるのよ」(賢い人はこういう言い方はしないと思うけど)、と言われると何も語れない。
 かつては死刑廃止論が今よりも優位(という言い方もヘンだが)だったような気がする。そういう考えのもとに運動をしている人権派の法律家などに対して、以前ほどの共感は寄せられていないんじゃないかな。一般の人はともかくメディアでは。やはり凶悪な犯罪が増え、子どもたちがその犠牲者になるケースが増えていくにつれて、報道のしかたも微妙に変化してきたような気がする。「罪を憎んで人を憎まず」なんて、もう死語かもしれない。
 でも少なくとも、街頭でパネルをもって、「死刑に賛成ですか、反対ですか」と尋ねて多数決をとるような、そういう問題ではないだろう。
 でも今朝の「スッキリ」はまさにそのレベルだったのだ。一応法律のプロは招いていたけれど、あまり意味はなく、「凶悪犯は死刑でしょ」という、最初から決められていたレールに乗って番組は進行し、深い発言もなく終わってしまった。とあるカリスマ主婦のタレントは、眉間にしわを寄せた訳知り顔の表情で、「どういう根拠で、そういう人(死刑廃止論者のこと)はそういうことを(なんじゃ、はっきり言えよ!)言うの?」と聞いてくるありさま。例の司会者は司会者で「俺にも子どもがいるし、そういうことがあったら極刑を、と思うでしょうね」の発言で締めようとしていた。
 そういう個人の思いだけで語って、それで情報番組といえるの? 視聴者の(つまりは「主婦の」)目線に立った番組作り、ってこういうことをいうのか? 主婦の皆さん、怒らなくちゃダメですよ。あの連中は皆さんをバカにしています。
 視聴者のさまざまな思いや関心を幅広く受け止めて、少しでも深く問題を取り上げていくのが、メディアの、テレビの、最低限の使命ではないだろうか。バラエティーではないんだし。
ふ~、疲れたけど、ちょっと「スッキリ」(って、こんなことが番組の制作意図だったりして)。
もう二度と見ないぞ、あんな番組!

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