優しい睡魔まで

■優しい睡魔まで

不安の音色は　一年前の
かすみはじめた　小さな偶然
出会うことが　当たり前に見えて
後ろ姿なんて　記憶になかった
別れの匂いは　私には無縁で
キミに重ねることもなかった
たぶん　それが唯一の自信で
たぶん　それが唯一の失敗

もちろんわかっている
ネジは左には回らない
一日　たたずんでいたら
一年　眠っていたら
明け方の私から　始められるだろうか
窓を開けて　空気を入れかえないと
恥ずかしい記憶も　思い込みの望みも
瞬く間の窒息死

酸素の足りない頭の中で
いくら考えても　見えてはこない
ケイタイに意味のない数字を書き込んで
見つめているだけの　くだらないひととき
感想はいくらでも書けるけど
ぴったりのタイトルが浮かんでこない
唯一の失敗？　瞬く間の窒息死？
不安の音色？

ノートを閉じて　目をつむって
ただキミを思い出そう
そうして数分すれば　
きっと優しい睡魔が訪れる