隠れ家-かけらの世界-

今日感じたこと、出会った人のこと、好きなこと、忘れたくないこと…。気ままに残していけたらいい。

夏 今年も八月

2010年08月15日 13時32分45秒 | プチエッセイ
■「ディアハンター」は青春映画
 私はディアハンター」という映画が好きだ。だぶん「ずっと変わらず好きな映画」の5本の指に入ると思うくらいに。
 
クリストファー・ウォーケン(ニックには、一時、恋心を抱きました)もメリル・ストリープもこの映画で知った(ロバート・デ・ニーロは「タクシー・ドライバー」ですでに知っていたけど)。
 何回も観たし(最近は、なぜか“あえて”観ないけど)、「
君の瞳に恋してる」を聴くたびに脳裏によみがえるのは、戦争に行く若者たちを送る歓送会の、やけに明るく、悲壮感を見事に隠しきったあの光景だ。
 優れた映画だという評価も高いけれど、私には反戦映画ではない。たぶん、同じようにとらえている人も多いだろう。あれは青春映画だって。そして、極上の友情の映画だって。
 後半の物語の胸をかきむしられるような進行が残酷であればあるほど、前半に延々と続くパーティーの光景が際立つし、男二人の鹿狩りのシーンが感動的に重なる。
 私には、ああいう状況であればこそ芽生えた男同士の心の交わりや、友を思う気持ちの強さや、残された男と女の愛が、悲しく美しく、そして輝く。平和で呑気で自由な時代に生きていたら、絶対に巡り会えないような時の連続だ。
 だから、私にとっては、あの映画は「反戦映画」ではなく、また一時言われていた「愛国心の映画」「アメリカ礼賛の映画」でもなく、優れた青春映画なのだ。それはそれで十分なことだ。

■それでも知りたい過去
 映画やドラマの「反戦」は、本当はとても難しい。受け止めるほうにも問題があるだろうし、とくに私のような、「のめりこみ+妄想」の輩には、せっかくの製作者の意図が正確に伝わっていないという怖さがある。自分でもよくわかっている。
 だからドキュメンタリーでOKかというと、そうとも言えない。ドキュメンタリーこそ、真実を取捨選択しなければならないわけで、製作者サイドの手が入るし、ナレーションや映像やBGMで演出される部分もある。
 そういうことを言っていたらキリがないわけで、そこまで追及する気はないんだけど・・・。
 そして、それでも私たち「…知らない世代」は、それなりになるべく正確に知っておかなければならない、あるいは知っておきたい過去がたくさんあるわけで、それを「戦争」というテーマにしぼれば、NHKの「証言シリーズ」は大きな意味をもっていると思う。
 見逃している回もたくさんあるのだけれど、
ココでじっくり見られることがわかった。
 もし興味のある方は、「ご覧になる前に」というところもぜひ読んでみてください。

 今日も息苦しくなるような暑い一日になりそう。
 この終戦記念日が誕生日だという女性は、「今年も無事に今日を迎えたわ」と電話口で明るい声をあげた。今年で86回目の8月15日だ。
 あの終戦の15日からは65年。
 気の遠くなるような時間の長さだが、彼女に尋ねれば、きっと言うだろう、「あっという間、という気もするわね」。



追記
 全然関係ないけど、今朝の「朝日新聞」朝刊の「読書特集」。
 音楽家と本を結びつけた、おもしろい企画だった。
 サンボマスターの山口さんの記事を読んで、改めて、彼の言葉を裏打する文学性と、またコピーライターとしての深い才能に納得したのです。

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