前回のブログ
「親に置いていかれた子猫・Pちゃんのおはなし」の
Pちゃんが、ゆうべ死にました。
Pちゃんがうちで保護されたのは
昨年の11月26日。
死んだのは1月25日。
まるまる2ヶ月間
わが家を癒してくれました。
前の話を読んでいただければおわかりになることと思いますが
うちは商売をやっていて
店舗付き住宅です。
食品を扱っているので
動物は飼わないようにしてきました。
うちの倉庫で生まれて
親に置いてきぼりにされた子猫。
家では飼えないので
倉庫の隅に「にゃんこエリア」をつくり
「Pちゃん」という名前をつけて
育てました。
人間に接したことがなく
怖がってなかなか懐いてくれなかったPちゃん。
保護して3週間後の私の誕生日に
とつぜん「ミャアー」と鳴きながら膝に乗ってきて
のどをゴロゴロ鳴らしてくれました。
それからは
うそのように人見知りしなくなったPちゃん。
商品の配送をしてくれるドライバーさんが
倉庫に納品している間
ちょこんと横に座って見学していました。
「かわいいですね」
ドライバーさんたちに言われ喜んでいた
親バカならぬ飼い主バカの私。
倉庫は夜間、冷蔵庫以下の気温になるほど冷えます。
でも万が一のことを考え、電気を使う暖房器具は使えません。
あまりに寒くて可哀想なので
冷え込んだ大みそか、湯たんぽを買ってきてやりました。
この湯たんぽはPちゃんのお気に入りとなり
熱いお湯を入れ替えてやるたびに
みゃあ~とかわいい声で寄ってきました。
保護したときは、生後1ヶ月。
母乳しか飲んだことがなく
ネズミより少し大きいぐらいの、大人の片手に乗る大きさでした。
みるみる大きくなり、倍以上の大きさに。
「おっきくなったね~!」
保護当時を知る人たちは一様に驚いていました。
キャットフードを1日に4回食べていました。
エサの時間になると、私の姿を見るだけで「みゃあ!みゃあ!」と鳴いてまとわりついてきました。
お皿に入れようとすると、まだ入っていないのに
お皿の周りをぐるぐるまわります。
「こらこら、そんなことしたらお皿に入れにくいよPちゃん」
毎回同じセリフの繰り返し。
いつも、しきりに耳を掻くPちゃん。
「猫疥癬かなあ。早めにお医者さんに見てもらおう」
こういう時のために、買っておいた猫用のキャリーに入れ
初めての動物病院。
「ノミもダニもいませんよ。きれいな耳です。
発育状況もいいですね。歯が全部まだ乳歯だから、いずれ生えかわります。
掻きすぎて湿疹ができているから、薬を出しましょうか」
優しい先生の言葉にひと安心。
ワクチンや避妊手術のことも教えてもらいました。
「これからもよろしくお願いします」
そう言って、帰りの車の中で
「Pちゃん、よかったね!疥癬じゃないって!健康だって!」
おびえて鳴くPちゃんに、一所懸命に声をかけました。
病院でもらった薬の袋です。
ちゃんと「ピーさま」と書かれていて
思わず微笑みました。
そして次の日。
Pちゃんの住んでいる倉庫は
店の向かいにあります。
5メートルぐらいの道路をはさんでいます。
昼はとても車の通行が多いのですが
夜は格段に少なくなります。
昼は車が怖いので
倉庫から道路に飛び出さないPちゃんですが
夜は車が少ないことと
私たち家族が自宅に帰ってしまってひとりぼっちになるので
ここ最近、道路に飛び出すようになりました。
危ない!
一計を案じた私は
夜、Pちゃんが倉庫でエサを食べているすきに
倉庫の入り口に柵を置くようにしました。
柵を突破しようとするPちゃんにこちら側から
「じゃあね、おやすみPちゃん。また明日ね」
と声をかけ、シャッターを閉めます。
Pちゃんの寂しそうな顔に毎回悲しくなりながらも
「家の中で飼えないからしかたないの。ごめんねPちゃん」。
そんな日が何度か続くと
Pちゃんは柵を置かなくても
道路に飛び出さなくなりました。
私は油断していました。
Pちゃんも油断していました。
病院に行った次の日は
店の集金日で配達もあり、なかなかPちゃんと遊んでやれませんでした。
店からふと倉庫を見ると
Pちゃんが倉庫の前に座ってこちらを見ていました。
いつもはそんなところにはいないのに。
首をかしげ、寂しそうな顔でこちらを見ていました。
配達から帰ってくるのが少し遅くなりました。
Pちゃんのエサの時間も遅くなりました。
おなかがすいたPちゃん、ゴミ箱の中のキャットフードの袋を漁っています。
そんなことしたことがないのに。
「これこれPちゃん、ゴミ箱の中に入らないで。今ごはんあげるから」。
フードをお皿に入れようとすると
いつものように「みゃあ~」と鳴きながらクルクル回ります。
「ごめんねー、遅くなって」。
そして、夜。
いつものように、倉庫のシャッターを下ろす前に
Pちゃんにフードをあげに行きました。
でもその前のエサの時間がいつもより遅かったので
まだあまりお腹がすいていないようでした。
じゃあ先にPちゃんの湯たんぽのお湯をとりかえよう。
私が湯たんぽをとると、Pちゃんが「持ってかないで!」と言うように、湯たんぽにしがみつきました。
「Pちゃん、熱いお湯に替えないと。ほら、もう冷たいでしょ?」
そう言いながら、湯たんぽを取り上げました。
Pちゃんはというと、トイレに走って行っておしっこをし始めました。
よし、おしっこしてる間に湯たんぽのお湯を替えてこよう。
私は店に戻って湯たんぽの水を捨て、熱いお湯を入れました。
湯たんぽを持って外に出ると
店の前にPちゃんが倒れていました。
Pちゃん?!
一瞬、寝ころんでいるのかと思ったのですが
あわてて近寄ると
Pちゃんの口から血が出ていました。
Pちゃん!Pちゃん!
抱き起こすと
目は開いているけれど、眼球が動きません。
口も開いたままで、血が流れています。
Pちゃん!なんで?なんで?Pちゃん!
かすかに心臓が動きました。
病院!病院!Pちゃん死んじゃう!
Pちゃんを抱いて店の中に飛び込むと、夫が出てきました。
「Pちゃんが!Pちゃんが車にはねられた!動物病院に電話してえ!」
私は泣きながら叫び
PちゃんPちゃんPちゃんPちゃんPちゃーーーーーん!
と、Pちゃんを床に置いて呼び続けました。
私の声に驚いて
2階で受験勉強していた次男が走ってきました。
次男は猫が大好きで、小さい頃から飼いたくて飼いたくて
やっと飼えたPちゃんを、妹のように可愛がっていたのです。
きのう行った病院に夫が電話しましたが
遅い時間なので誰も出ません。
「あかん、時間外やから繋がらん」
夫が言いましたが
「どこの病院でもいいから電話してえ!Pちゃん死んじゃう!」
私は叫びました。
救急病院を紹介してくれる市のサービスに夫が電話しました。
「おい、この辺の病院はどこも急患でいっぱいだから、名古屋の病院まで行かないとだめらしい。
けど、もう無理やろ…。瞳孔が開いちゃってる…」
夫がPちゃんを見て言いました。
「でもさっき心臓動いてた…病院いけば…」
私は泣きながら言いましたが、確かにもう心臓も動いていません。
わぁぁぁぁぁぁぁぁあ!
Pちゃんごめんねごめんね!
私のせいで死んじゃった!
私がエサの時間ずらしちゃったからだめだった!
エサを食べてる間に湯たんぽを替えればよかったんや!
前のエサが遅かったから、時間ずれちゃった!
倉庫の外にでたら、うしろについてくるのわかってるのに!
何のために柵を用意してたんや!
Pちゃん、私を追いかけて道路渡ってきたんやね…。
私が店の中に入ったら、ちょうど車が来て
いつもは車が来たらあわてて倉庫の中にかくれるのに
倉庫の反対側にいたから、戻ろうとして飛び出したんやね…。
ごめんねごめんねごめんねPちゃん!
私のせいで死んじゃった!
わんわん泣き叫ぶ私を夫と次男が抱え上げ
「おまえのせいじゃない!Pの寿命やったんや」
「お母さんのせいじゃないよ。絶対違うよ」
交互に声をかけてくれましたが
「私がエサの時間ずらしたから~!
柵もせずに湯たんぽ持って外へでたから~!
Pちゃんが追いかけてくるのわかってるのに~!
私が湯たんぽにお湯入れてる間にPちゃん死んじゃった~!
さっきまでPちゃん、湯たんぽとるなってしがみついてたのに
トイレでおしっこしてたのに
なんでなんでなんでPちゃ~ん!
こんなに血が出てかわいそうに…。
かわいそうにPちゃん
痛かったね、痛かったね、ごめんねPちゃぁぁぁぁん!」
私は号泣しました。
親が死んだ時も、ここまで泣き叫びませんでした。
「ほら、そんな冷たい床の上にPを置いてやるな。
もう家の中に入れてやれよ。
あったかい部屋に寝かせてやれ」
夫が倉庫からPちゃんの段ボールベッドを持ってきました。
ベッドにPちゃんを寝かせ
そのままファンヒーターのある部屋に置きました。
「Pちゃん、ほら、暖かいでしょ。
私たちはこんな暖かい部屋に住んでるんやよ。
Pちゃんは寒い倉庫に住ませて、ごめんね。ごめんね。
あんな寒いとこにずっといて、Pちゃん偉かったね」
「ほーら、P。あったかいやろ。
世の中にこんなあったかいもんがあるとは知らんかったやろ」
口々にPちゃんに声をかけました。
次男が一所懸命にPちゃんの目を閉じさせようとしていましたが
「Pちゃん、全然目を閉じてくれんよ。お母さんの方ばかり見てる」
と言いました。
血だらけのPちゃんの口と鼻を拭いてやりましたが
頭を動かすたびに鼻血が出ます。
頭のてっぺんを撫でてやると、出っ張ったものに触りました。
「頭蓋骨が割れてるよ。だから頭を動かすと鼻血が出るんや」
次男がぽつりと言いました。
その夜は
Pちゃんの隣に布団をしいて寝ました。
猫と一緒に寝ていた子供時代を思い出し
「Pちゃん、きょうは暖かいとこで寝ようね。
私ね、Pちゃんと一緒に寝るのが夢やった」
朝になり
「Pちゃん、おはよう」と声をかけてPちゃんを見たとたん
またまた涙が止まらず
「Pちゃん!Pちゃん!Pちゃん!」
と号泣する私の声を聞いて、次男が2階から降りてきました。
次男は私の両肩を抱え
「お母さん、いつまでも泣いてたら、Pちゃん成仏できんよ。
お母さんのことが心配で、Pちゃんも困っちゃうよ」。
次男はいつも
「俺の部屋にPちゃんが寝てて、朝はPちゃんが起こしてくれるのが理想やなあ。
んで、俺のうしろからとんとんって階段降りてくるの」
と口癖のように言ってました。
猫が好きで、でも飼っちゃだめだと言われてて
やっと猫が飼えて夢のような生活だった次男。
悲しくてしかたないはずなのに、涙を見せずに私を励ましてくれます。
なんて情けない親だ、私。
ふたりでPちゃんの体を初めて洗ってやりました。
「ほーらPちゃん、気持ちいいでしょ。
いっつも耳のうしろ掻いてたね。
洗ったから、もう痒くないよ。
お医者さんがね、Pちゃんはノミもダニもいなくてきれいですよって。
成長の具合もいいですねって」
体を乾かしてやると
いつものPちゃんのニオイがしました。
夫はこのニオイを「ケモノ臭い」と言っていましたが
そのたびに「いいニオイやん。私、猫のニオイ好きやよ」と言い返してました。
Pちゃんのニオイがする。
頭も、お腹も。
私、Pちゃんのニオイが好き。
次男と二人で動物供養のお寺にPちゃんを連れて行きました。
お寺の人に「花とPちゃんの好きだったものを持ってきてください」と言われていたので
Pちゃんが母猫のおっぱいを思い出していつも吸っていた手袋
キャットフード
湯たんぽ
いつも遊んでいたプラスチックのミカン
そして花屋さんでブーケを作ってもらいました。
お寺に着いたら
Pちゃんの大好きな雪が降ってきました。
先月の雪の日、生まれて初めて雪を見たPちゃんは
はしゃぎまわって、雪を食べようとしたぐらい喜んでいました。
「ほら、Pちゃんの大好きな雪やよ。みてごらん」
次男がPちゃんの顔を出させました。
お坊さんに供養していただき
Pちゃんの位牌を納めました。
最期のお別れの時は
Pちゃんの顔を見てまた涙がとまらなくなりました。
たくさんの位牌を見た次男は
「こんなに大勢ともだちがいたら、Pちゃんも寂しくないよ」
と言いました。
「Pちゃんのお骨は観音像の下に埋めます。
位牌は6年間ここにありますから、いつでも見に来てください」
お寺の人に言われ、また涙。
ほんとに情けない親だ、私。
そしてお寺から帰ってきて
このブログを書いてます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
写真をほとんど撮ってやれなかったのが心残りですが
保護した当時のPちゃん。
倉庫の隅っこを走り回って逃げていたので
顔がまっくろに汚れています。
飼うことになり、トイレを買ってやったのですが
トイレだとわからず、隠れ場所だと思って
遊んでいます。
死ぬ1週間前。
寒いので、日の当たる場所をみつけてひなたぼっこ。
同じ日。
柱に上るのが大好き。
目が大きくてまん丸で、ちょっとタレ目のかわいい子でした。
顔がうまく撮れなかったので
きのう撮ってやるつもりでした。
でも配達で帰宅がおそくなったので撮れず。
まさかその夜に死ぬなんて
思ってもいなかった。
気持ちの整理ができてないので長文になってすみません。
読んでくださった方、ほんとにありがとうございました。
「親に置いていかれた子猫・Pちゃんのおはなし」の
Pちゃんが、ゆうべ死にました。
Pちゃんがうちで保護されたのは
昨年の11月26日。
死んだのは1月25日。
まるまる2ヶ月間
わが家を癒してくれました。
前の話を読んでいただければおわかりになることと思いますが
うちは商売をやっていて
店舗付き住宅です。
食品を扱っているので
動物は飼わないようにしてきました。
うちの倉庫で生まれて
親に置いてきぼりにされた子猫。
家では飼えないので
倉庫の隅に「にゃんこエリア」をつくり
「Pちゃん」という名前をつけて
育てました。
人間に接したことがなく
怖がってなかなか懐いてくれなかったPちゃん。
保護して3週間後の私の誕生日に
とつぜん「ミャアー」と鳴きながら膝に乗ってきて
のどをゴロゴロ鳴らしてくれました。
それからは
うそのように人見知りしなくなったPちゃん。
商品の配送をしてくれるドライバーさんが
倉庫に納品している間
ちょこんと横に座って見学していました。
「かわいいですね」
ドライバーさんたちに言われ喜んでいた
親バカならぬ飼い主バカの私。
倉庫は夜間、冷蔵庫以下の気温になるほど冷えます。
でも万が一のことを考え、電気を使う暖房器具は使えません。
あまりに寒くて可哀想なので
冷え込んだ大みそか、湯たんぽを買ってきてやりました。
この湯たんぽはPちゃんのお気に入りとなり
熱いお湯を入れ替えてやるたびに
みゃあ~とかわいい声で寄ってきました。
保護したときは、生後1ヶ月。
母乳しか飲んだことがなく
ネズミより少し大きいぐらいの、大人の片手に乗る大きさでした。
みるみる大きくなり、倍以上の大きさに。
「おっきくなったね~!」
保護当時を知る人たちは一様に驚いていました。
キャットフードを1日に4回食べていました。
エサの時間になると、私の姿を見るだけで「みゃあ!みゃあ!」と鳴いてまとわりついてきました。
お皿に入れようとすると、まだ入っていないのに
お皿の周りをぐるぐるまわります。
「こらこら、そんなことしたらお皿に入れにくいよPちゃん」
毎回同じセリフの繰り返し。
いつも、しきりに耳を掻くPちゃん。
「猫疥癬かなあ。早めにお医者さんに見てもらおう」
こういう時のために、買っておいた猫用のキャリーに入れ
初めての動物病院。
「ノミもダニもいませんよ。きれいな耳です。
発育状況もいいですね。歯が全部まだ乳歯だから、いずれ生えかわります。
掻きすぎて湿疹ができているから、薬を出しましょうか」
優しい先生の言葉にひと安心。
ワクチンや避妊手術のことも教えてもらいました。
「これからもよろしくお願いします」
そう言って、帰りの車の中で
「Pちゃん、よかったね!疥癬じゃないって!健康だって!」
おびえて鳴くPちゃんに、一所懸命に声をかけました。
病院でもらった薬の袋です。
ちゃんと「ピーさま」と書かれていて
思わず微笑みました。
そして次の日。
Pちゃんの住んでいる倉庫は
店の向かいにあります。
5メートルぐらいの道路をはさんでいます。
昼はとても車の通行が多いのですが
夜は格段に少なくなります。
昼は車が怖いので
倉庫から道路に飛び出さないPちゃんですが
夜は車が少ないことと
私たち家族が自宅に帰ってしまってひとりぼっちになるので
ここ最近、道路に飛び出すようになりました。
危ない!
一計を案じた私は
夜、Pちゃんが倉庫でエサを食べているすきに
倉庫の入り口に柵を置くようにしました。
柵を突破しようとするPちゃんにこちら側から
「じゃあね、おやすみPちゃん。また明日ね」
と声をかけ、シャッターを閉めます。
Pちゃんの寂しそうな顔に毎回悲しくなりながらも
「家の中で飼えないからしかたないの。ごめんねPちゃん」。
そんな日が何度か続くと
Pちゃんは柵を置かなくても
道路に飛び出さなくなりました。
私は油断していました。
Pちゃんも油断していました。
病院に行った次の日は
店の集金日で配達もあり、なかなかPちゃんと遊んでやれませんでした。
店からふと倉庫を見ると
Pちゃんが倉庫の前に座ってこちらを見ていました。
いつもはそんなところにはいないのに。
首をかしげ、寂しそうな顔でこちらを見ていました。
配達から帰ってくるのが少し遅くなりました。
Pちゃんのエサの時間も遅くなりました。
おなかがすいたPちゃん、ゴミ箱の中のキャットフードの袋を漁っています。
そんなことしたことがないのに。
「これこれPちゃん、ゴミ箱の中に入らないで。今ごはんあげるから」。
フードをお皿に入れようとすると
いつものように「みゃあ~」と鳴きながらクルクル回ります。
「ごめんねー、遅くなって」。
そして、夜。
いつものように、倉庫のシャッターを下ろす前に
Pちゃんにフードをあげに行きました。
でもその前のエサの時間がいつもより遅かったので
まだあまりお腹がすいていないようでした。
じゃあ先にPちゃんの湯たんぽのお湯をとりかえよう。
私が湯たんぽをとると、Pちゃんが「持ってかないで!」と言うように、湯たんぽにしがみつきました。
「Pちゃん、熱いお湯に替えないと。ほら、もう冷たいでしょ?」
そう言いながら、湯たんぽを取り上げました。
Pちゃんはというと、トイレに走って行っておしっこをし始めました。
よし、おしっこしてる間に湯たんぽのお湯を替えてこよう。
私は店に戻って湯たんぽの水を捨て、熱いお湯を入れました。
湯たんぽを持って外に出ると
店の前にPちゃんが倒れていました。
Pちゃん?!
一瞬、寝ころんでいるのかと思ったのですが
あわてて近寄ると
Pちゃんの口から血が出ていました。
Pちゃん!Pちゃん!
抱き起こすと
目は開いているけれど、眼球が動きません。
口も開いたままで、血が流れています。
Pちゃん!なんで?なんで?Pちゃん!
かすかに心臓が動きました。
病院!病院!Pちゃん死んじゃう!
Pちゃんを抱いて店の中に飛び込むと、夫が出てきました。
「Pちゃんが!Pちゃんが車にはねられた!動物病院に電話してえ!」
私は泣きながら叫び
PちゃんPちゃんPちゃんPちゃんPちゃーーーーーん!
と、Pちゃんを床に置いて呼び続けました。
私の声に驚いて
2階で受験勉強していた次男が走ってきました。
次男は猫が大好きで、小さい頃から飼いたくて飼いたくて
やっと飼えたPちゃんを、妹のように可愛がっていたのです。
きのう行った病院に夫が電話しましたが
遅い時間なので誰も出ません。
「あかん、時間外やから繋がらん」
夫が言いましたが
「どこの病院でもいいから電話してえ!Pちゃん死んじゃう!」
私は叫びました。
救急病院を紹介してくれる市のサービスに夫が電話しました。
「おい、この辺の病院はどこも急患でいっぱいだから、名古屋の病院まで行かないとだめらしい。
けど、もう無理やろ…。瞳孔が開いちゃってる…」
夫がPちゃんを見て言いました。
「でもさっき心臓動いてた…病院いけば…」
私は泣きながら言いましたが、確かにもう心臓も動いていません。
わぁぁぁぁぁぁぁぁあ!
Pちゃんごめんねごめんね!
私のせいで死んじゃった!
私がエサの時間ずらしちゃったからだめだった!
エサを食べてる間に湯たんぽを替えればよかったんや!
前のエサが遅かったから、時間ずれちゃった!
倉庫の外にでたら、うしろについてくるのわかってるのに!
何のために柵を用意してたんや!
Pちゃん、私を追いかけて道路渡ってきたんやね…。
私が店の中に入ったら、ちょうど車が来て
いつもは車が来たらあわてて倉庫の中にかくれるのに
倉庫の反対側にいたから、戻ろうとして飛び出したんやね…。
ごめんねごめんねごめんねPちゃん!
私のせいで死んじゃった!
わんわん泣き叫ぶ私を夫と次男が抱え上げ
「おまえのせいじゃない!Pの寿命やったんや」
「お母さんのせいじゃないよ。絶対違うよ」
交互に声をかけてくれましたが
「私がエサの時間ずらしたから~!
柵もせずに湯たんぽ持って外へでたから~!
Pちゃんが追いかけてくるのわかってるのに~!
私が湯たんぽにお湯入れてる間にPちゃん死んじゃった~!
さっきまでPちゃん、湯たんぽとるなってしがみついてたのに
トイレでおしっこしてたのに
なんでなんでなんでPちゃ~ん!
こんなに血が出てかわいそうに…。
かわいそうにPちゃん
痛かったね、痛かったね、ごめんねPちゃぁぁぁぁん!」
私は号泣しました。
親が死んだ時も、ここまで泣き叫びませんでした。
「ほら、そんな冷たい床の上にPを置いてやるな。
もう家の中に入れてやれよ。
あったかい部屋に寝かせてやれ」
夫が倉庫からPちゃんの段ボールベッドを持ってきました。
ベッドにPちゃんを寝かせ
そのままファンヒーターのある部屋に置きました。
「Pちゃん、ほら、暖かいでしょ。
私たちはこんな暖かい部屋に住んでるんやよ。
Pちゃんは寒い倉庫に住ませて、ごめんね。ごめんね。
あんな寒いとこにずっといて、Pちゃん偉かったね」
「ほーら、P。あったかいやろ。
世の中にこんなあったかいもんがあるとは知らんかったやろ」
口々にPちゃんに声をかけました。
次男が一所懸命にPちゃんの目を閉じさせようとしていましたが
「Pちゃん、全然目を閉じてくれんよ。お母さんの方ばかり見てる」
と言いました。
血だらけのPちゃんの口と鼻を拭いてやりましたが
頭を動かすたびに鼻血が出ます。
頭のてっぺんを撫でてやると、出っ張ったものに触りました。
「頭蓋骨が割れてるよ。だから頭を動かすと鼻血が出るんや」
次男がぽつりと言いました。
その夜は
Pちゃんの隣に布団をしいて寝ました。
猫と一緒に寝ていた子供時代を思い出し
「Pちゃん、きょうは暖かいとこで寝ようね。
私ね、Pちゃんと一緒に寝るのが夢やった」
朝になり
「Pちゃん、おはよう」と声をかけてPちゃんを見たとたん
またまた涙が止まらず
「Pちゃん!Pちゃん!Pちゃん!」
と号泣する私の声を聞いて、次男が2階から降りてきました。
次男は私の両肩を抱え
「お母さん、いつまでも泣いてたら、Pちゃん成仏できんよ。
お母さんのことが心配で、Pちゃんも困っちゃうよ」。
次男はいつも
「俺の部屋にPちゃんが寝てて、朝はPちゃんが起こしてくれるのが理想やなあ。
んで、俺のうしろからとんとんって階段降りてくるの」
と口癖のように言ってました。
猫が好きで、でも飼っちゃだめだと言われてて
やっと猫が飼えて夢のような生活だった次男。
悲しくてしかたないはずなのに、涙を見せずに私を励ましてくれます。
なんて情けない親だ、私。
ふたりでPちゃんの体を初めて洗ってやりました。
「ほーらPちゃん、気持ちいいでしょ。
いっつも耳のうしろ掻いてたね。
洗ったから、もう痒くないよ。
お医者さんがね、Pちゃんはノミもダニもいなくてきれいですよって。
成長の具合もいいですねって」
体を乾かしてやると
いつものPちゃんのニオイがしました。
夫はこのニオイを「ケモノ臭い」と言っていましたが
そのたびに「いいニオイやん。私、猫のニオイ好きやよ」と言い返してました。
Pちゃんのニオイがする。
頭も、お腹も。
私、Pちゃんのニオイが好き。
次男と二人で動物供養のお寺にPちゃんを連れて行きました。
お寺の人に「花とPちゃんの好きだったものを持ってきてください」と言われていたので
Pちゃんが母猫のおっぱいを思い出していつも吸っていた手袋
キャットフード
湯たんぽ
いつも遊んでいたプラスチックのミカン
そして花屋さんでブーケを作ってもらいました。
お寺に着いたら
Pちゃんの大好きな雪が降ってきました。
先月の雪の日、生まれて初めて雪を見たPちゃんは
はしゃぎまわって、雪を食べようとしたぐらい喜んでいました。
「ほら、Pちゃんの大好きな雪やよ。みてごらん」
次男がPちゃんの顔を出させました。
お坊さんに供養していただき
Pちゃんの位牌を納めました。
最期のお別れの時は
Pちゃんの顔を見てまた涙がとまらなくなりました。
たくさんの位牌を見た次男は
「こんなに大勢ともだちがいたら、Pちゃんも寂しくないよ」
と言いました。
「Pちゃんのお骨は観音像の下に埋めます。
位牌は6年間ここにありますから、いつでも見に来てください」
お寺の人に言われ、また涙。
ほんとに情けない親だ、私。
そしてお寺から帰ってきて
このブログを書いてます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
写真をほとんど撮ってやれなかったのが心残りですが
保護した当時のPちゃん。
倉庫の隅っこを走り回って逃げていたので
顔がまっくろに汚れています。
飼うことになり、トイレを買ってやったのですが
トイレだとわからず、隠れ場所だと思って
遊んでいます。
死ぬ1週間前。
寒いので、日の当たる場所をみつけてひなたぼっこ。
同じ日。
柱に上るのが大好き。
目が大きくてまん丸で、ちょっとタレ目のかわいい子でした。
顔がうまく撮れなかったので
きのう撮ってやるつもりでした。
でも配達で帰宅がおそくなったので撮れず。
まさかその夜に死ぬなんて
思ってもいなかった。
気持ちの整理ができてないので長文になってすみません。
読んでくださった方、ほんとにありがとうございました。
Pちゃんは親に捨てられ、お腹をすかし寒空をたった一人不安でさまよいもっと早く天国に行かなくて良かったと思います。2か月という短い期間でしたが、暖かく優しい飼い主さんに恵まれたのですから。写真が幸せ語っていましたよ。私もイヴが少しでも幸せだったと今日から思うことにしました。お互い残されたもの同士辛いですが頑張るしかないですね。今日ネットで「虹の橋」というペットロスさん達のお勧めの詩を読みました。号泣しましたが少し救われるお話でした。
私もPちゃんを亡くしてから、いろんなサイトを検索しました。
多くのサイトで語られていたことは、ペットが亡くなると、飼い主は「自分のせいだ」「あの時、自分がああしていれば…」と自分を責め、ペットに対して謝罪をし続けるが、いつまでもそう思っていると、ペットは成仏できない。
飼い主を心配して、いつまでも彷徨うことになるそうです。だから「ごめんなさい」ではなく、「ありがとう」と思い続けることがペットのためなんですって。
私もお葬式から帰ってきた時は号泣しまくりましたが、毎朝毎晩Pちゃんのいた場所で手を合わせる時、「今日もありがとう」と声を出すようにしました。
おかげで初七日も、お寺で泣かずにお勤めできました。
四十九日までは、七日ごとにお参りするようにしています。不思議なことに、お参りの日(月曜日)は必ずPちゃんの大好きな雪が降るんです。きのうも全国的に雪でしたよね…。
「虹の橋」も見つけました。ほんと、救われる話ですよね。
イヴちゃん、IVEにゃ~さんに愛されて、とても幸せなねこちゃんだったんですね。
文面からひしひしと伝わってきます。
ずっとIVEにゃ~さんのそばにいてくれてますよ、イヴちゃん。
とても愛されたねこちゃんだから、IVEにゃ~さんを守ってくれるはずです。
ペットって、必ず愛してくれた人に恩返ししてくれると信じてます。沢山の方が経験されてるそうです。
お互い、悲しみを超えていきましょうね。
ご訪問ありがとうございました!
ご訪問ありがとうございます。
エントリ読ませていただきました。
お互いつらい思いをしましたね…。
ご冥福をお祈りいたします。
天国で2匹のPちゃんが出会えているといいなと思います。
これからもよろしければこちらのブログにも遊びに来てください。
「猫のPちゃん」で検索したらaoikagiさんのブログがヒットしたので、読ませていただきました。
そうですね。おっしゃる通り、天国で2匹のPちゃんが一緒に遊んでくれていればいいですね。
少し元気がでました。ありがとうございます。
もう一度会いたくてたまりません
小太郎くんが亡くなって間もないのでしょうか。お辛いお気持ちよくわかります。
私ももうすぐ2年になりますが、Pちゃんのことを思わない日は1日もありません。毎日花瓶の水を取り替え、月命日にはお寺へお参りに行ってます。
いつもPちゃんがそばにいる、と思うことでなんとか泣かずに生きています。
小太郎くんもいつもそばにいてくれてますよ。きっと。