本物の裁判を見てきた。駅の駐輪場に鍵を掛けずに駐輪してあった自転車を無断で持ち出したというものだった。
そこで、占有離脱物横領罪と聞き慣れない言葉が出て来た。窃盗罪とちょっと違うのだ。ネットによると、遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者と出ていた。罰は1年以下、10万円以下。それに対して窃盗罪は10年以下、50万円以下と出ている。窃盗罪とは他人の物、財産を窃取した者で一儲けするために盗み事。
自転車置き場で鍵のかかっていない自転車を持ち出したら窃盗罪?占有離脱物横領罪?裁判官の判断ひとつで決まる。
今度の裁判の被告人は前科何犯で再び罪を犯す可能性が大きい。「これから寒くなると、公園のベンチで寝るより刑務所の方がいいよとわざと罪を犯すものがいるよ」と一緒に傍聴していた仲間が言っていた。
自転車を盗んだぐらいでいちいち刑務所へ入れていたらお国も大変だ。そうならないように裁判官は懇々と諭す。裁判官のイメージとはずいぶんかけ離れていた。検察官は2年の実刑を望んだ。それに対して弁護人は「鍵を掛けないのが悪い。監視カメラや見張り人を置かない方が悪い」と弁護。ちょっとバカバカしいことだが弁護人としては仕方がないことだろう。
反省する気のない罪人のために裁判をしなければならないとは情けない。
裁判官はどう判断するだろう。その日の結審はなかった。裁判官ハンマーで机をたたくシーンを期待していた傍聴人をがっかりさせた。
裁判は此の裁判所で1番大きな法廷であった。裁判官席は9つある。最近話題の裁判員制度で民間から選ばれた6人の裁判員が座れるようになっている。
裁判員は抽選で選ばれるということで自分もその席に座ることになるかも知れないと思うとちょっと怖い。でもそれはないだろう。その前に裁判員に適さないとはじかれるに違いない。