NASAは、双子の太陽観測衛星STEREO(Solar Terrestrial Relations Observatory)が太陽嵐の3次元撮影に初めて成功したと発表した。
門家によると、コロナ質量放出(CME)を引き起こす太陽嵐はGPS信号の妨害や電力供給網の混乱を招いたり、人工衛星に障害を引き起こしたりするほか、宇宙飛行士の放射線被ばくの原因になるなど、時として人間活動にさまざまな被害をもたらすという。しかし、今回3次元画像の撮影を実現させた新技術を用いれば、今後はこうした太陽嵐の早期警告が可能になるかもしれない。
2006年秋に打ち上げられたSTEREOは、2機の探査機が対になった観測衛星である。それぞれの探査機が別々の角度で撮影した画像を組み合わせることにより、人間の視覚と同じように対象を立体的にとらえることができる。これら2機のSTEREOによって、これまでにもCMEの画像が撮影されている。
アメリカ、ワシントンD.C.にあるアメリカ海軍研究所の太陽物理学者で、STEREOプロジェクトのメンバーでもあるアンジェロス・ボーリダス氏は次のように話す。
「これまでは、太陽付近で太陽嵐を観測しても、3~7日後にその放出物が地球に到達するときまで、CMEの測定データも経過データも得ることができなかった。だが今では、太陽嵐によって発生したCMEが太陽表面から地球に到達するまでの様子を観測することができる上、それらの画像を基に太陽嵐そのものを立体的に再構成することが可能になった」。今回の研究成果は近く、「Geophysical Research Letters」誌に掲載される予定である。
太陽嵐は、太陽の外層大気からプラズマや磁気エネルギーが突発的に激しく放出される現象だが、従来の地上からの観測技術では、地球に向かって来る太陽嵐の速度を特定することはできなかった。だがSTEREOは、2つの異なる角度から太陽嵐を観測できるため、地球に向かって来るものも含め、あらゆる太陽嵐の方向と速度を特定することができる。
またSTEREOは、太陽嵐の構成粒子を捕捉したり、太陽面爆発に伴う磁気現象の特性を計測したりすることも可能だ。こうして得られたデータは、太陽嵐と地球磁場との相互作用を解明する有力な手掛かりとなる。このようにして太陽嵐への理解が深まれば、われわれ人類はさまざまな危険をもたらす太陽嵐に十分対処することができるようになる。
メリーランド州グリーンベルトにあるNASAゴダード宇宙飛行センターでSTEREOプロジェクトに関わっているマイケル・カイザー氏によると、今回3次元画像の撮影を実現させた新技術を用いれば、地球に被害をもたらすような現象が宇宙で発生しても、その影響が現れる24時間前には、警告を発することができるはずだという。ちなみに現在の技術では、12時間前にしか警告は出せない。
コロラド州ボールダーにあるアメリカ海洋大気庁(NOAA)宇宙天気予報センターに在籍する物理学者のビック・ピゾ氏は、「宇宙天気を2つの異なる位置から観測できれば、予測の精度は格段に高くなる。以前から考えていたことではあるが、それが今や現実のものとなった」と話す。
ただピゾ氏によると、太陽活動は現在、ここ数十年間で最も弱い水準にまで低下しているため、新技術の成果が本格的に現れるのはこれからだという。「現在、地球に到達する太陽嵐は、小規模なものばかりだが、いずれは大規模な太陽嵐が次々にやってくるだろう」。これについては、ボーリダス氏も同意見のようだ。「準備は既に整っている。後は太陽活動が再び活発化するのを待つだけだ」。
門家によると、コロナ質量放出(CME)を引き起こす太陽嵐はGPS信号の妨害や電力供給網の混乱を招いたり、人工衛星に障害を引き起こしたりするほか、宇宙飛行士の放射線被ばくの原因になるなど、時として人間活動にさまざまな被害をもたらすという。しかし、今回3次元画像の撮影を実現させた新技術を用いれば、今後はこうした太陽嵐の早期警告が可能になるかもしれない。
2006年秋に打ち上げられたSTEREOは、2機の探査機が対になった観測衛星である。それぞれの探査機が別々の角度で撮影した画像を組み合わせることにより、人間の視覚と同じように対象を立体的にとらえることができる。これら2機のSTEREOによって、これまでにもCMEの画像が撮影されている。
アメリカ、ワシントンD.C.にあるアメリカ海軍研究所の太陽物理学者で、STEREOプロジェクトのメンバーでもあるアンジェロス・ボーリダス氏は次のように話す。
「これまでは、太陽付近で太陽嵐を観測しても、3~7日後にその放出物が地球に到達するときまで、CMEの測定データも経過データも得ることができなかった。だが今では、太陽嵐によって発生したCMEが太陽表面から地球に到達するまでの様子を観測することができる上、それらの画像を基に太陽嵐そのものを立体的に再構成することが可能になった」。今回の研究成果は近く、「Geophysical Research Letters」誌に掲載される予定である。
太陽嵐は、太陽の外層大気からプラズマや磁気エネルギーが突発的に激しく放出される現象だが、従来の地上からの観測技術では、地球に向かって来る太陽嵐の速度を特定することはできなかった。だがSTEREOは、2つの異なる角度から太陽嵐を観測できるため、地球に向かって来るものも含め、あらゆる太陽嵐の方向と速度を特定することができる。
またSTEREOは、太陽嵐の構成粒子を捕捉したり、太陽面爆発に伴う磁気現象の特性を計測したりすることも可能だ。こうして得られたデータは、太陽嵐と地球磁場との相互作用を解明する有力な手掛かりとなる。このようにして太陽嵐への理解が深まれば、われわれ人類はさまざまな危険をもたらす太陽嵐に十分対処することができるようになる。
メリーランド州グリーンベルトにあるNASAゴダード宇宙飛行センターでSTEREOプロジェクトに関わっているマイケル・カイザー氏によると、今回3次元画像の撮影を実現させた新技術を用いれば、地球に被害をもたらすような現象が宇宙で発生しても、その影響が現れる24時間前には、警告を発することができるはずだという。ちなみに現在の技術では、12時間前にしか警告は出せない。
コロラド州ボールダーにあるアメリカ海洋大気庁(NOAA)宇宙天気予報センターに在籍する物理学者のビック・ピゾ氏は、「宇宙天気を2つの異なる位置から観測できれば、予測の精度は格段に高くなる。以前から考えていたことではあるが、それが今や現実のものとなった」と話す。
ただピゾ氏によると、太陽活動は現在、ここ数十年間で最も弱い水準にまで低下しているため、新技術の成果が本格的に現れるのはこれからだという。「現在、地球に到達する太陽嵐は、小規模なものばかりだが、いずれは大規模な太陽嵐が次々にやってくるだろう」。これについては、ボーリダス氏も同意見のようだ。「準備は既に整っている。後は太陽活動が再び活発化するのを待つだけだ」。