鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

辺野古基地問題

2018-12-20 10:07:57 | 日本の時事風景

今朝のテレビ朝日「羽鳥モーニングショー」で、タレントのローラが政治的発言に踏み込んだ――として取り上げられていた。

内容は「辺野古基地建設反対署名活動というのがあり、ローラ自身もインターネットで署名をしたことをツイッターで発信したところ、この2日間で5万人近い署名が集まり、アメリカ大統領府へ送る条件に達した」というものだ。

アメリカの大統領府への署名活動による意見送付は「30日以内に10万名以上の署名を得ることが条件」だそうで、今度の辺野古基地建設反対署名活動はその条件をクリアーしたという。

ローラにはツイッターのフォロワーが520万もあるというから、彼女の署名とツイッターによる拡散が署名の大量集積に寄与したことは間違いない。

アメリカ大統領府からは受諾後60日以内に何らかの応答があるのが原則という。

確かに何らかの応答はあるだろうが、しかし、「日本政府が日米安全保障条約と日米地位協定にのっとって辺野古基地建設を結論したことであり、アメリカとしては普天間基地の移設という約束を果たすことがファーストである」という回答がせいぜいだろう。

残念ながら、今回の辺野古基地建設反対署名活動から一歩進んで、日米同盟(安保及び地位協定)への反対まで行かないと根本的な解決にはならない。何しろ日米安保があるから沖縄をはじめ日本全土に米軍基地が置かれており、地位協定があるから米軍基地ファーストになっているのだ。

1950年の正月にマッカーサーは「日本国憲法は自衛権を否定していない」との見解を示し、自衛隊の創設を促したが、同じ正月にイギリスが前年の10月に建国された共産中国を承認してしまったために、慌てた米国が極東の共産化を防ぐために「沖縄を恒久基地化する」(GHQ声明)となってしまった(米国は毛沢東に敗れた非共産の蒋介石政権を支えていたからだ)。

しかし今はすでに毛沢東主義もスターリニズムも過去のものとなり、共産化への懸念は払しょくされた。沖縄の米軍基地は無用になった。

国連憲章上も「二国間の軍事的な取り決めは一時的なもので、紛争が起きた場合、国連安全保障会議に委ね、仮に武力紛争に至った場合は同会議の決定に基づき多国籍軍によって解決する」とあり、日米安全保障条約という名の二国間軍事同盟は一時的なものでなければならないのである。

国際上もまれな二国間軍事同盟たる日米安保は「世界的には非常識だが、日本では常識」の最たるものなのだが、多くの日本人はこれに気づいていない(先月の半ばだったか、テレビ番組「そこまで言って委員会」で、元海兵隊の一員だったというアメリカ人が「日米安保は日本人の方から廃棄しては困るから継続してくれと言ってきたんですよ」と言っていたが、上で述べた「極東の共産化を防ぐというアメリカ側の要請」こそが根底にあったのを無視している妄言だ)。

米中対立や米ロ対立もかねての「共産主義対自由主義」の冷戦構造的な対立ではなく、彼らは同じ国連の安全保障理事会常任理事国となっている。戦争をする懸念はまずありえないし、中国が沖縄を占領するなんてこともあり得ない。

もっとも米軍が撤退したあと、広大な基地は大幅に縮小され、一部に自衛隊が配属されて沖縄本島及び先島の防衛に当たることになるため、沖縄から軍事基地が完全になくなることはあり得ない。あくまでも専守防衛に資するだけの自衛隊の存在は必要である。

沖縄県民投票が2月に行われるが、アメリカ大統領府がそれまでに何と言ってくるか。その回答によってはかってない反対運動が起きる可能性がある。

しかし、それも政府は無視するだろう。「日米安保と地位協定の方がファースト」なのが日本の対米従属的立ち位置だからだ。

こんな従属国家はいやだ。日米安保を廃止して、日本は専守防衛力を持った永世中立国を宣言すべきだ。世界がそれを待っている。