鴨着く島

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鹿児島県で初の感染者が出る

2020-03-27 13:53:11 | 災害
ついにと言うべきか、やっとと言うべきか、鹿児島県内で初めての新型コロナウイルス感染者が出た。

一週間前に九州では長崎・佐賀・鹿児島の三県が感染者無しだったのに、佐賀・長崎に続き、昨日、県内初の感染者が出たと報道された。

感染者は英国在住の40代女性の会社役員とかで、故郷の姶良市に帰って来てから体調不良を訴え、「帰国者・接触者センター」に連絡後の検査で陽性と判明したそうだ。

佐賀にしても長崎にしても海外渡航者もしくは都市部からの移入者に感染者が出たが、今度の鹿児島の例も海外からの移入者であった。

鹿児島は沖縄や大阪で流行初期に感染した旅行関係者(タクシー運転手やバス運転手・ガイドなど)と同じ条件の関係者が多かったにもかかわらず、一人も感染者が出なかったのが不思議だったが、今回もそういう濃厚接触による感染者ではなかった。

その意味では相変わらず不思議さは続いている。だが、その女性の濃厚接触者(県内在住)が感染したら、そうも言ってられない。


今度の発症者がそうであるように、海外からあるいは他県からの移入者の圧倒的に多い東京の小池知事は、一昨日、東京への人の流入を防ぐため近郊各県とともに「移動の自粛」を表明した。

折しも昨日は一日としてはこれまで最も多い41人の感染が判明しており、小池都知事の杞憂は一層深まった。

一昨日の会見では集団感染の危険性を避けるために「首都封鎖」なる用語まで使って苦境を吐露したが、たしかに人々が、過密のため好むと好まざるとにかかわらず時々刻々濃厚接触をせざるを得ない東京圏では、クラスタ―感染が発生した場合、感染者が一瞬のうちに飛躍的に増えるだろう。

首都圏の過密は今に始まったことではなく、古くから言えば江戸の昔からだが、明治以降、その密度は増す一方で、大正関東大震災と米軍による大規模空爆(空襲)の時期を除いて、戦後も一貫して増え続けた。

30年近く前にあった空前の好況(バブル経済)で最高潮に達した後、バブルがはじけてからは瞬間的に「首都分散」のような動きも見られたが、阪神淡路大震災で関西圏が危うくなるとその考えは薄れていった。

今はメディアや情報というデジタル産業が首都圏にひしめき合い、東京一極集中はとめどもなく進んでいる。若者の動向もそういったデジタル産業への指向のためか、以前に増して地方を離れて東京圏に集まるようになって来ている。

地方は高齢化・少子化とともにそのような青年層の地方離れで、高齢化・少子化に拍車がかかっているのが現状だ。

自由社会であるから青年層のそういった動きを止めることはできないが、今度のような疫病の流行や、今後そう遠くない時期に来るであろう「大震災」が、人口の集中した首都圏で起きた時の人的・社会的損失を考えると恐ろしくなる。

私は日本維新の会を積極的に支持しているわけではないが、「大阪都構想」による首都機能分散にはおおいに期待している。今秋再び府民投票に掛けるそうだが、多くの大阪府市民の賛意を願っている。

日本の首都東京の機能マヒは国内のみならず世界的にも大変なロスを生む。首都機能の分散に早過ぎるということはない。もはや「杞憂で終わればいいが・・・」などと悠長なことを言っている場合ではないとさえ思う。