鴨着く島

大隅の風土と歴史を紹介していきます

44歳から77歳まで(岸田新内閣)

2021-10-04 10:10:00 | 日本の時事風景
新しい閣僚20名(総理を入れれば21名)が任命され、そのうち初入閣が13名(総理を数に入れれば14名)、ちょうど3分の2が新人というフレッシュな内閣が誕生した。

女性は3名で、前の菅内閣よりは増えたが、それ以前の安倍内閣と同じである。その3人の中に総裁選を争った野田聖子さんがいて、新設の「こども庁担当大臣」として入閣している。本望というべきだろう。

年齢的にもフレッシュはフレッシュだ。その中でも、牧島かれんという芸能人と間違われそうな名の女性議員が「デジタル担当相」に抜擢されたが、御年44歳というから実に若い。

同じ40歳代はもう一人いて、今度新設された「経済安全保障担当大臣」になった小林鷹之議員が46歳。

他の年齢構成は50代が5人、60代が11人(岸田総理を入れれば12人)、そして70代が2名となっている。このうち70代2名は揃って77歳だから、ダントツで高齢である。

組閣の前に唱えられた「老・壮・青のバランス」は確かに取れている。

バランスと言えば、自民党政権では出身派閥のバランスが注目される。

新聞によると、細田派4,旧竹下派4,麻生派3,二階派2,岸田派3(総理を入れれば4)、無派閥3、公明党から1ということで、こっちは今度幹事長を退任した二階さんの派閥がやや遠ざけられたが、そう大きなアンバランスには見えない。

ところが自民党執行部の役員人事では、二階派は完全に干されてしまった。誰一人役員になれなかったのだ。

自民党の役員は総裁以下、組織運動本部長まで11のポストがあるのだが、そのどれにも二階派はいなくなった。要するに「排除」された。

幹事長に麻生派の甘利氏、政調会長に無派閥で総裁選に出た高市早苗氏、総務会長に派閥横断的総裁選挙をと若手グループを立ち上げた福田達夫氏(所属は細田派)。この福田氏は首相経験のある福田康夫氏の子息で54歳と若い。

そのほかしばらくぶりの副総裁に麻生太郎・麻生派会長が就任した。選挙協力の御礼人事だろう。

驚いたのが、チョイ役に過ぎない「広報本部長」になった河野太郎氏だ。河野氏は麻生派だが、最初、総裁選出馬を思い止まるよう麻生氏から説得されていた。

しかし地方の自民党党員の河野氏支持は圧倒的で、麻生氏としてもそれは無下にできなかったのだろう、渋々、立候補を容認した。

出る以上は勝たせたい、ということで、河野氏の持論である「脱原発」を声高に唱えるな、原発は現状維持だと言えーーという選挙戦での作戦を「伝授」したようである。

この「変節」を敏感に感じ取ったのが党員票で、岸田氏へもだが、明確な右派のビジョンを語る高市氏にも流れてしまったようだ。

案の定、蓋を開けたら、稀に見る接戦で、国会議員・地方党員票合わせて764票のうち、どちらも250票余りでわずか1票差。この時点で派閥の領袖たちからは支持の少ない河野氏の敗北が決まった。

ただ河野氏への冷遇が続くのは、今度の衆議院議員選挙までだろう。

この岸田政権が、選挙で大敗しないまでも大きく議席を減らしたら、今度決めた閣僚や党役員の首のすげ替えが行われるだろうからである。

「脱原発」はもともと野党的な政策であり、自民党支持者でなくてもこの「脱原発」を唱える河野氏がいるから自民党に一票投じようという選挙民が野党支持に回るかもしれないのだ。

今度の衆議院議員選挙は解散によらない任期切れでの選挙になる可能性が高い。

記念すべき第100代目の総理大臣となった岸田氏の手腕が、あと1か月余りで問われることになる。


(追記)
先ほど臨時国会において衆参両院で岸田氏の総理就任が多数決で決まったが、その報道の中で、正式なのかどうかは分からないのだが、今度の衆議院議員選挙は、今の国会の期日の最終日である14日に解散があり、19日に公示され、31日が投開票日だとあった。

大方の予想より少なくとも一週間早まったようである。イタリアのローマでG20が開かれるのが10月30日・31日であり、岸田首相はそれへの参加を表明していたので、当然その後の総選挙だろうと誰しも思っていたのだが・・・。

総理大臣が新しく指名され、新たな内閣が生まれた直後は支持率が高いーーのが通例で、これを見逃す手はあるまいと早々の選挙になったようだ。