鴨着く島

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スペイン風邪と新型コロナ感染

2022-04-26 10:07:04 | 災害
昨晩10時のNHK番組「映像の世紀」では1918年から20年にかけて大流行したスペイン風邪の光景を映し出していた。

スペイン風邪はインフルエンザのことで、流行の発生地となったのはアメリカカンザス州にあった陸軍基地であったようだ。冬になるとカナダから越冬地を求めてカモの飛来する川があり、そのカモがウイルスの媒体になった可能性が考えられるという。

そこの兵員にまず感染者が現れ、その後基地内に流行したのだが、折しも第1次世界大戦の最中で、この基地からヨーロッパの戦線に出陣した一行が上陸地のフランスで流行らせたらしい。

その後は毎年秋から冬にかけて第3波まで繰り返し、感染者総数は全世界で約5億人、死亡者は4000万という大パンデミックになった。スペイン風邪という名になっているのは、スペインにおける感染によってはじめて「インフルエンザウイルスによる大流行」と発表されたからである。

感染キャリアの兵隊を送ったアメリカも、ヨーロッパで最初に流行したフランスでも、軍事上の秘密事項として扱い、外部には公表しなかったというから悪質だ。

奇しくも今日の新聞報道では、新型コロナウイルスの世界の感染者数が5億人を突破したようで、スペイン風邪の患者数と肩を並べた。

ただ当時の世界人口は15億から20億、今日の世界人口は70億余と総数に違いがあるので、単純に比較はできない。スペイン風邪の感染率は30%から25%にもなる。世界の3人から4人に一人は罹患したのだ。

そして死者数の割合も桁違いに大きかった。スペイン風邪では何と8%である。現在の世界のコロナの死者数は620万であるから、致死率は1.24%で、スペイン風邪の7分の1と極めて少ない。医療体制の充実度からすれば当然と言えば言える。

日本でのスペイン風邪も、世界と同様3波があり、第1波では2000万、第2波では200万、第3波では20数万と波を数えるほどに劇的に減っていった。

しかし当時の人口を考えると感染率は極めて高く、30%を超えていた。死者数は40万くらいだったようだから、新型コロナ感染に比べると感染率も致死率もどちらも圧倒的に高い。(※4月25日現在の日本の感染者総数は769万、死者数は2万9千。致死率は0.4%)

鹿児島県内では、3月末から4月初旬の春休みと組織の人事移動に伴う人の動きがあった頃には、一日当たり800名を超えるような日が数日続き、その後も高止まりの感染者数で推移していたが、この1週間前頃からは500名を切り400名、300名台と減少し、今朝の発表では374人であった。

住んでいる鹿屋市でもその傾向が顕著で、一時は一日当たり100名を突破する日があったが、今朝は14名とぐんと少なくなっている。

しかしこの頃の減少傾向も、続くのはゴールデンウイーク前までだろう。行楽地の人出ラッシュが手ぐすねを引いて待っているのだからしょうがない。

せいぜい免疫力をアップしてウイルスを寄せ付けない(引き込まない)ようにしよう。